「Focus」を作った2人の代表にインタビュー
アプリを作った学生代表の高平一世さんと、サポートした福山シティFC代表の岡本佳大さんの思いを聞きました。
大学アプリ運営委員会代表 高平一世さん
そもそもアプリって、簡単に作れるものなんですか?
高平(敬称略)
はい、実は意外に簡単です。
従来のアプリ開発にはプログラミングの知識が必須で、「コード」を書いていく必要がありました。
しかし、コードをまったく書かずにアプリが作れる「ノーコード」のツールがあるんです。
普通にMicrosoft PowerPoint(マイクロソフト パワーポイント)を操作するような感覚で、ここに画像を置いて、こっちには文字を置いて、と直感的に作れます。
へえ!そうなんですね。5人の委員の皆さんで分担しながら作業したのですか?
高平
アプリを作るのは基本的には私がやり、飲食店の情報収集はAさん、プロモーションはBさんなど、それぞれが得意なことを分担しながら進めました。
高平さんは4年生ですから、かなり忙しかったのでは?
高平
実は、卒業研究や就職活動と並行して卒業企画実行委員会や大学祭実行委員会にも関わっています。
それでも、今しかできないことをやりたい、学生でいるのもあと数か月しかないので何か残していきたい、とアプリ開発に踏み切りました。
すごいですね!周りの学生さんの反応はどうですか?
高平
アプリを作る、と言った段階から期待してもらっていました。
「アプリを入れたぞ!」との声を聞くとすごくうれしいですが、まだ実現できていない機能については「あれはいつできるんだ?」と言われています。
実現できていない機能とは?
高平
福山市立大学には、学生がサークル単位で常時使える部室や学生用の研究室がなく、学生が何か活動をするときには、体育館やゼミ室などの空き状況を見て「施設予約」し、場所を確保する必要があります。
この手続きをアプリでやりたいのですが、まだ機能していません。
高校生向けページも気になります。反応はありますか?
高平
これからですね。
2021年の大学祭は一般公開されずに学内だけのものとなったので、高校生に告知できませんでした。
2022年度のオープンキャンパスに向けて学生の声を届けたいですし、この大学に入るとアプリ開発ができる、なんてこともアピールしていけたらいいなと考えています。
もし、福山シティFCさんの協力がなかったらアプリは完成していたと思いますか?
高平
正直な話、アプリ開発の技術自体は自分たちでやってきたので、協力がなくても完成していた可能性はあります。
しかし、福山シティFCさんが背中を押してきっかけを作ってくれなかったら、今の形にはなっていないでしょうね。
アプリ開発の感想と、読者へのアピールをお願いします。
高平
学生の私たちが、アプリを開発できたのは貴重な経験でした。
よりよいアプリにするために組織として引き続き活動していきたいですし、この大きな学びを多くの学生に共有したいと思っています。
これからますます面白くなるので、ぜひ、アプリを使ってみてください。
また、福山シティFCさんと学生との連携活動はアプリだけではありません。
これから第2弾、第3弾と発信していくので、注目してもらえたらうれしいです!
福山シティFC代表 岡本佳大さん
まず率直にお聞きします。サッカークラブにとって、学生の活動をサポートすることにどんなメリットがあるのでしょうか?
岡本(敬称略)
極論かもしれませんが、私は直接的にクラブにメリットがなくてもいい、と思っています。
私たちのミッションは、活力のある福山の町を作ること。
私たちが持っているリソースを学生たちや大学に還元することによって、福山の未来が明るくなることがゴールであり、ファンやサポーターを増やすことを目的にしているわけではありません。
メジャーなスポーツであるサッカーですが、サッカーファンは日本の人口のたった5パーセントしかいないのです。
サッカーファンに刺さるコンテンツを必死に考えても、5パーセントにしか刺さりません。
ですから、考えるべきことは「サッカーに興味がない人たちをどうやって巻き込んでいくか」です。
私たちが社会と学生を結びつける存在になれればいい、そう思って福山市立大学と提携を結びました。
メリットがなくていい?
岡本
そうです。私たちのサッカークラブは、多くのスポンサー企業に支援をいただいていて、今700社を超える企業とのつながりがあります。
企業の課題のひとつは、学生を採用しても2〜3年で辞めていくという、採用のミスマッチです。
企業はしっかりと自社のことを知ってもらって優秀な学生をリクルートしたい、そして学生は本当に自分に合った会社に勤めたい、私たちはこの架け橋になれるのではないかと。
今、学生たちや大学と一緒に進めているプロジェクトは4つあります。
私たちが間に入ることで、学生を企業や地域社会とつなげたり、大学側が学生たちの意見を吸い上げたりサポートしたりできるようになれば、それでよいのです。
なるほど。とても大きなものを見ていることがわかりました。学生と話をするにあたっては、何から始めたのでしょうか。
岡本
まずは君たちのことを知りたい、と言いました。
Z世代と呼ばれる25歳アンダーの学生たちの思考は、32歳の私とは違います。
これからの未来を作っていくのは彼らですから、彼らの思考を理解しないと私たちのほうが取り残されてしまうのです。
ですから、今何を考えて学生生活を送っているのか、何に興味があるのか、どんな行動をしていて、どんな未来を歩んでいきたいのか、そのなかでどこに課題を感じているのか、そういったことをヒアリングするところから始めました。
アプリ開発については、具体的にどのようなアドバイスを?
岡本
高平くんが感じていた課題には、大学生活を満喫したくても大学の施設を有効活用できていない、新型コロナウイルス感染症拡大防止を優先するあまり学生同士のつながりが希薄になっている、といったものがありました。
だから、より情報を集めやすくするとか、オンラインで学生同士が交流するとか、施設利用申請をオンラインでできるとか、そういうものが欲しい、それを大学アプリを開発することで解決したいのだと。
ただ、勝手に作っていいものなのか、それにかかるお金はどこから出せばいいのか、そういったことを大学とどう調整すればいいかわからない、とのことでしたので、私が間に入りました。
つまり、伝えたのは大人とどのように交渉するかの How to の部分です。
岡本さんは、学生たちのアプリ開発の動きをどのように評価していますか。
岡本
一番素晴らしいのは、彼らが卒業したあとも持続できる大学アプリ運営委員会という組織を作った点ですね。
彼らには、「自分にしかできないやり方でやれば、卒業後に自分で自分の首を絞めてしまう、そこをどう解決する?」とだけ問いかけていました。
自分で考えて行動する力を身につけることが、今後社会ですごく大事ですから。
また、一人ひとりが自分の強みを活かせるような組織になろう、とも伝えました。
たとえば議事録を取るのがめちゃくちゃうまいとか、タイムマネジメントは完璧だとか、自分の個性を組織に還元して、それぞれのポジションで輝けるようになればいいのです。
岡本さんのやり方を学ぶ機会を持てたことは、学生たちに大きな影響を与えたのではないかと思います。では、福山シティFCさんから、備後地域の皆さんに伝えたいことがあれば教えて下さい。
岡本
そうですね。よかったらぜひ、試合を観にきてください!
また、私たちはSNSに力を入れて試合のことや選手のことを発信していますので、少しでもチェックしていただけるとありがたいなと思います。
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アプリ開発も連携も「活力のある未来を作ること」がゴール
2人の話を聞いて感じたのは、アプリ開発も学生のサポートも、どちらも「人と人とをつなぎ、活力のある未来を作ること」がゴールなのだ、ということです。
未来を見据えている学生やFCに協力を惜しまない人たちがいて、そして彼らはその人たちの思いとともにゴールへと向かっています。
今後のFocusと福山シティFCの動きから、目が離せそうにありません。