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“半分”開業 iti SETOUCHI ~ フクヤマ=セトウチに創造の波を起こす ストリート型複合施設

“半分”開業 iti SETOUCHI ~ フクヤマ=セトウチに創造の波を起こす ストリート型複合施設

知っとこ / 2022.10.31

福山城築城400年の記念日(2022年8月28日)から、早くも2か月が経過しようとしています。

築城記念日から約ひと月後の2022年9月30日、祝賀ムードの余波を受けるように、JR福山駅にほど近い西町に、新しい施設「iti SETOUCHI(イチ セトウチ)」がオープンしました。

閉館した「エフピコRiM(リム)」1階をリノベーションしてオープンした同施設は、駅前再生を担う三之丸エリアにあり、その拠点としての動向が注目されています。

オープン時に「Continue Construction 半分開業」と掲げ、ユニークな営業スタイルを採っているiti SETOUCHI。

この記事ではとくに現代アート事業に注目し、官民連携により生まれ変わった大型商業施設ではどのようなことができるのか取材しました。

記載されている内容は、2022年10月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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iti SETOUCHIのデータ

名前iti SETOUCHI
住所広島県福山市西町1丁目1−1
電話番号084-959-3481
駐車場あり
24時間営業 150円/30分
第1駐車場のみ最初の1時間どなたでも無料
【入庫後24時間毎】最大700円
【午前8時~午後6時】最大600円
【午後6時~翌午前8時】最大500円

▽第1駐車場
 広島県福山市西町1-1-1 1F
▽第2駐車場
 広島県福山市三之丸町13-18
▽第3駐車場
 広島県福山市西町1-1-1 1F
営業時間午前10時~午後9時
定休日なし
支払い方法
    各施設により異なる
ホームページiti SETOUCHI

Continue Construction 半分開業? iti SETOUCHI

福山電業株式会社の手がけるiti SETOUCHIは、「福山の未来をつくるクリエイティブ・プラットフォーム」を事業のコンセプトに据え、小さなまちや公園、あるいは名称の由来でもある「市」を想起させる自由度の高さが特徴です。

国内外の食品や雑貨が並ぶ「NEED THE PLACE SETOUCHI」
国内外の食品や雑貨が並ぶ「NEED THE PLACE SETOUCHI」

コワーキングスペース(2022年11月オープン)、シェアキッチンやものづくり工房など、小売・飲食店だけではない多目的な利用に応じ、新たなモノ・コトを生み出しながら、人々をつなぐ複合施設を目指しています。

各種の観葉植物が目を惹く「グリーンショップ ナカノ」
多様な観葉植物が目を惹く「グリーンショップ ナカノ」

以下のように一階フロアの施設内を6つのテーマに区分することで、さまざまな利用法を提案。

それぞれの掛け合わせにより、思いもよらぬ方向に展開するかもしれません。

  • Market:「美味しいモノを地域から」
  • Working:「暮らしと働くを身近に」
  • Making:「自由なモノづくりを応援」
  • Rental:「どう使うかはアイデア次第」
  • Park:「都市の中の“小さなまち”」
  • Create:「みんなの希望をつくる場所」
ネオレトロな喫茶「カレー・カリフォルニー」
ネオレトロな「喫茶 カレー・カリフォルニー」

2022年10月現在は7店舗が営業していますが、今後、段階的にさまざまな店舗がオープンの予定です。

物販
  • NEED THE PLACE SETOUCHI(地元野菜・惣菜・淹れたてコーヒー・国内外食品)
  • BETTER BICYCLES 福山店(自転車・関連商品販売・洗車サービス)
  • グリーンショップ ナカノ(観葉植物販売)
飲食
  • UDON HANABI(創作うどん&おにぎり)
  • 喫茶 カレー・カリフォルニー(カレー&コーヒー)
  • Laughter Doughnuts(ドーナツ&ドリンク)
  • ヴァッシュ 福山駅前店(チーズケーキ)
ベタバイでお馴染み 尾道発「BETTER BICYCLES」

プレオープン時の「Under Construction(アンダー・コンストラクション)」から、現在の「Continue Construction(コンティニュー・コンストラクション)」へ。

あえて改修の不完全さを内装デザインに活かして、屋内に出現したまち(通り)と見立て、変化の過程を目の当たりにできる仕様になっています。

また2023年以降は、東側にオープンストリートを拡張するなど、来訪者の興味を持続させる工夫が凝らされているのです。

東西に延びる広い通路が屋外道路とつながる
東西に延びる広い通路で屋外道路とつなぐ

それは中央公園(福山市霞町)でPark-PFI事業(ガーデンレストラン「Enlee」)にも参入している、福山電業のユニークな試みの光るストリート型施設といえます。

フロアのいたる所にくつろげる滞留スペースあり
フロアのいたる所にくつろげる滞留スペースあり

かつては百貨店(福山そごう[1992-2000])だったiti SETOUCHIは、所在地の西町1丁目1-1の1階に発想を得て、名付けられました。

1を人「i」に見立て、「i+i (iti)」でその結びつきを表しています。

新施設(略してi-SET)は、従来の商業施設に対する人々の価値観のリセット(i-reSET)を促し、創造ベースで人と人との接点を生もうとしています。

そうした意味では、また近年の瀬戸内地域の特色を踏まえると、既存の価値観を問い直す現代アートの役割も軽視できないでしょう。

スチールフェンスで仕切られた レンタルスペース「Cage」
屋外用フェンスで仕切られた レンタルスペース「Cage」

iti SETOUCHIの現代アート事業 「Setouchi L-Art Project」

2021年より iti SETOUCHIの推進する福山市商業施設リノベーション再生事業とともに発足した、コンテンポラリーアートの企画・運営事業

それが「Setouchi L-Art Project」です。

アートの持つ可能性や派生イメージを頭文字「L」ではじまるさまざまな語句に見出し、横断的に結びつけた「L-Art」ビジョンからプロジェクトの名称が生まれました。

「L-Art」ビジョンのキーワードをタイポグラフィで表現した版画作品
「L-Art」ビジョンのキーワードをタイポグラフィで表現した版画作品

「Setouchi L-Art Project」の頭文字を合わせて、通称を「SLAP(スラップ)」とし、英語スラングの「Sounds like a plan (=いい考えだね!)」と掛け合わせています。

SLAP(スラップ)と呼ぶことで、親しみやすいアート事業の姿勢が示されています。

シンポジウム「Art Lives inside You 福山ではじまるSLAP」

2022年10月15日(土)  Setouchi L-Art Project(SLAP)主催のシンポジウムが、iti SETOUCHIのレンタルスペース「Cage」で開催されました。

登壇者は、SLAPの総合ディレクター菅亮平(かん りょうへい)さん、プログラムディレクター香村ひとみ(こうむら ひとみ)さん、ゼネラルマネージャー谷口博輝(たにぐち ひろき)さんの3名。

シンポジウムのテーマ「Art Lives inside You 福山ではじまるSLAP」のとおり、運営メンバーによるSLAPの進める活動についてのトークセッションに加え、参加者を交えた懇親会が行われました。

Setouchi L-Art Project(SLAP)の事業指針「時代の潮流を見極め瀬戸内と世界を繋ぐ芸術文化の創造に貢献する」
SLAPの事業指針「時代の潮流を見極め瀬戸内と世界を繋ぐ芸術文化の創造に貢献する」

わたしの内なるアートに出会う

コンテンポラリー(現代)・アートというと、なにやら難解なイメージがつきまといます。

しかしコンテンポラリーの言葉には、「時間を共有する」という意味があるのです。

SLAPでは利用者とリアルな場を共有し、一緒に作り上げるプロジェクトを目指すと、総合ディレクターの菅さんはプレゼンテーションします。

そもそも「アートを身近に」の呼びかけ自体が、アートとの距離を感じさせる表現です。

「Art Lives inside You」とは、「アートはあなたの中に息づいている」という意味で、人の外側にあるものではないからです。

鑑賞の対象としてのアートだけではなく、当事者的に活用しうるものを生み出したい、とのことでした。

シンポジウムのテーマ 「Art Lives inside You」
シンポジウムのテーマ 「Art Lives inside You」

地域の特色をアートに活かす

また福山空襲(1945年8月8日)後に、電気インフラ復旧を支援した福山電業の功績にならって、アートの力で福山市の持つ埋もれた可能性を拡げられるのではないか、という提言もありました。

一方参加者からは福山駅前での芸術祭や、デニムを素材とする作品展を望む声も上がり、SLAPの活動でも福山の潜在的な資源を活かす試みも射程に入れていくのだそう。

SLAPの牽引(けんいん)する、iti SETOUCHIを舞台とするアート支援活動への期待が高まります。

瀬戸内・福山の風景写真によるインスタレーション
瀬戸内・福山の風景写真によるインスタレーション

招聘アーティスト 横山奈美 「Shape of Your Words」展

Setouchi L-Art Project(SLAP) の第1回主催事業として、2022年11月3日(木)から12月25日(日)まで、横山奈美 新作個展「Shape of Your Words」を開催。

愛知県在住の横山さんは、細密な写実表現で描かれる絵画であらゆる現代アート作品を手掛けています。

主なテーマは、物を見て描くという行為をとおし、私たちや物に与えられた役割や制度を再考すること。

iti SETOUCHIや福山駅前地域と私たちが、どのように関わっていけるかのヒントが得られそうです。

ワークショップ「そこに在る」を描く

2022年11月26日(土)、横山奈美さんの代表作「最初の物体」シリーズでもモチーフとされた、トイレットペーパーの芯をめぐるワークショッププログラム「『そこに在る』を描く」を開催予定です。

横山さんの作品は、ふくやま美術館で開催中の特別展「リアル(写実)のゆくえ」(2022年11月3日「文化の日」は無料開放)でも出品されています。

当プログラムを通じ、この世界の成り立ちをユーモラスに解きほぐす彼女の眼差しから、自らの日常に向ける視線をクリエイティブに磨くことのできる好機となるかもしれません。

運営事業者の福山電業と知的交流の活性化を黄色のネオン管で表現!?

おわりに

施設名「iti SETOUCHI」を初めて聞いたとき、瀬戸内という間口の広さに、捉えどころのなさを感じました。

しかし福山駅前再生にしろ、市街地だけを見ていては、その対策の視野を狭める可能性があります。

Setouchi L-Art Project(SLAP)は、事業指針に「時代の潮流を見極め瀬戸内と世界を繋ぐ芸術文化の創造に貢献する」と宣言しています。

時代をさかのぼると近代以前、福山城と内湾は入川で結ばれ、鞆の浦は海上交通の要衝(ようしょう)でした。

瀬戸内海から日本全国~海外へとつながり、活発な交易で栄えていた時代の福山のすがたは案外忘れられがちです。

現代アートはときに、そうした時代の隔たりを超える想像・創造力を持ちます。

歴史とは異なる視点で、現代アートが生む感覚的な示唆に未来の行方を求める姿勢に、iti SETOUCHIの長期的な展望をうかがわせます。

iti SETOUCHIのデータ

名前iti SETOUCHI
住所広島県福山市西町1丁目1−1
電話番号084-959-3481
駐車場あり
24時間営業 150円/30分
第1駐車場のみ最初の1時間どなたでも無料
【入庫後24時間毎】最大700円
【午前8時~午後6時】最大600円
【午後6時~翌午前8時】最大500円

▽第1駐車場
 広島県福山市西町1-1-1 1F
▽第2駐車場
 広島県福山市三之丸町13-18
▽第3駐車場
 広島県福山市西町1-1-1 1F
営業時間午前10時~午後9時
定休日なし
支払い方法
    各施設により異なる
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久米真也

久米真也

備後ふくやま在住。「高梁川流域ライター塾」受講。目を向けられなくなった地域の特徴から、実は今でも(今だから)、何らかの価値を見出すことができる。そうした視点で取材をしていきたいと思います。

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