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Re:ef(リーフ) ~ 北木島の石を使ったアクセサリーでつなぐふるさとの思い

Re:ef(リーフ) ~ 北木島の石を使ったアクセサリーでつなぐふるさとの思い

買っとこ / 2023.10.03

「MAMAN」オーナー・アクセサリープランナー 井本恵梨さんにインタビュー

北木島の石を使ったアクセサリーでつなげていきたい思いとは、具体的にどんなものなのか、井本恵梨さんに話を聞きました。

MAMAN 井本恵梨さん

「Re:ef」がつなげる思い

井本さんが「Re:ef」がつなげていきたい思いとは、どんな思いですか?

井本(敬称略)

まずは、おばあちゃんの「島に帰りたい」という思いから始まりました。

私にとって北木島は、父の実家で、おばあちゃんの家がある場所。

おばあちゃんはずっと島で暮らしていましたが、体調を考え島を離れ本土で暮らすようになり、その後、施設へ入りました。

コロナ禍で会えなくなり、容体があまり良くないことが増えてきた2021年冬、NHK岡山のテレビ番組「@(あっと)okayama」の「石に恋して 〜北木島からのおくりもの〜」という企画で、私はアクセサリー制作について取材を受けたんです。

その番組の企画のなかで、おばあちゃんにアクセサリーをプレゼントするきっかけをいただきました。

施設で過ごすおばあちゃんは元気だったけど「島に帰りたい」とよく言っていて。

なので、ふるさとシンボルである北木石を使ったアクセサリーを渡して、島のことを思い出してもらえたらと思いました。

Re:ef 北木石のアクセサリー

結局、コロナ禍だったため、直接はおばあちゃんに会えず、動画で思いを伝えた形だったんですが。

そのあと、おばあちゃんは体調崩し、3か月後に亡くなりました。

島に帰れないまま。

おばあちゃんが大好きな海の見えるところに、お墓を建てました。

北木島で育った父も、ふるさとへのそういう思いがあるだろうと思います。

北木島

番組の放送はもう2年以上前(初回放送日: 2021年4月9日)ですが、今でもその番組を見て、アクセサリーを買い求めてくださるかたがいらっしゃいます。

「なんで、石でアクセサリーを?」と聞かれることが多く、北木島の話と、おばあちゃんの話をすることが多いです。

アクセサリーを買ってくれたかた、知ってくれたかたが、「自分のふるさとを思い出した」、「私もおばあちゃんが島に住んでいて…」と話してくださることもあります。

そのおばあちゃんに、「プレゼントで贈ります」というかたも。

こんなふうに、ふるさと見て思い出すものをつなげていくことを、アクセサリーを通してやっていきたいんです。

Re:ef 北木石のアクセサリー

井本さんがアクセサリーをつくることで大切にしていることは?

井本

最初は、北木島の石を知っている人でも墓石のイメージが強いと思って、若者に向けて明るく北木石を発信できればという気持ちでした。

でも、今は自分の気持ちもだいぶ変わってきました。

手にしてくださるかたと話すことで、つなげてくれる思いを想像できるようになったからです。

Re:ef 北木石のアクセサリー

私は、イベント出店や出品が決まると、実際に行って、そこに合うイメージで制作するんです。

訪れるかたの年齢層を聞いて、その場に飾っているアートなど見て、アクセサリーがその場の雰囲気とかけ離れないように

たとえば、愛知県の「高浜市やきものの里 かわら美術館」に出品させていただいたときは、かわらの街なので伝統的なイメージを持ちました。

一緒に出品された作家さんは、土や水など自然のものを使って造形されることもあり、そのときのアクセサリーは、かわいらしさよりも、アーティスティックなものに仕上げました。

「高浜市やきものの里 かわら美術館」の出品用に制作したアクセサリー
「高浜市やきものの里 かわら美術館」の出品用に制作したアクセサリー

こうして、それぞれの場所に合わせて制作したほうが、そこにいるかたの心に響くと思うんです。

ワークショップもされていますね

井本

アクセサリーづくりのワークショップについても、開催場所によって、その都度内容を変えています。

丸亀お城まつり2023 写真提供:井本恵梨さん
丸亀お城まつり2023 写真提供:井本恵梨さん

たとえば笠岡市の「竹喬(ちっきょう)美術館」では日本画の絵の具とコラボレーションしてほしいというご要望をいただき、時間を長めにしました。

北木石を広めることは一緒ですが、ワークショップの時間も、つくるものも、毎回バラバラで、対象についても小さい子から大人までそれぞれ。

つくったあと、アクセサリーを身につけてほしいと思っているからなんです。

手軽につくりすぎると、のちのち身につけなくなることもよくあるので。

お守りとして持ってもらえるような、深いワークショップがいいなと思ってやっています。

深まる北木島との絆

北木島に訪れることはありますか?

井本

子どものころは夏休み、お正月など年に4回くらい行っていました。

おばあちゃんが北木島を離れてからは行く機会がなかなかなかったのですが、今はちょこちょこ行っています。

アクセサリーつくるようになってからですね。

Re:ef 北木石のアクセサリー

テレビ番組の取材のとき、久々に、おばあちゃんが暮らしていたい家に入って。

誰かが出入りしていないと寂しいなと思いました。

おばあちゃんがいなくなって、さらにそう感じるようになって、多くて月一回くらいは行きたくなるようになりました。

何も用事がなくても、海を見に行きたくなるんです。

なんでアクセサリーづくりを始めたのか、思いをつなげるために始めたことを、思い出すために行っているんだと思います。

実は、「石の島ガイド」の研修を受けて、北木島のガイドができるようになりました。

研修の一環で一度、ガイドをすることになっているんですが、2023年7月にMAMANのお客様25人と一緒に行ってきました。

2023年7月に北木島を案内したときのようす 写真提供:井本恵梨さん
2023年7月に北木島を案内したときのようす 写真提供:井本恵梨さん

井本さんの北木島のおすすめスポットは?

井本

私のおすすめは、まず旧映画館・光劇場に行くことです。

北木島の歴史がわかるショートムービーを見られるのですが、私はそれを見て泣きました。

撮影当時の島のみなさんが出演していて、しゃべり方がおばあちゃんとそっくりで。

この人たちも元気でおるから、引き継いでいかんといけんな」と改めて思うんですよね。

みんなにも見てもらいたいと、2023年7月のガイドのときにもコースに入れて、好評でした。

2023年7月 北木島を案内したときのようす 写真提供:井本恵梨さん
2023年7月 北木島を案内したときのようす 写真提供:井本恵梨さん

最初に見てから島を巡ってもらうと、感じ方が変わると思います。

そのあとのおすすめコースは、光劇場から歩いて、東京に行き損ねたといわれる残念石を見て、コロナ禍で叶いませんでしたが中西圭三(なかにし けいぞう)さんが来る予定だった湖上のステージ北木のベニス、そしてを見てほしいです。

北木のベニス
北木のベニス

歩きだと時間がかなりかかってしまいますが、できればおばあちゃんが暮らしていた地域の海「外浅海」がとてもきれいなのでおすすめです。

今後、やってみたいことはありますか?

井本

全国あちこち、お店の一角などでワークショップやポップアップをやってみたいです。

自分が行って、ワークショップを開催したり、アクセサリーを手にとって見てもらったり。

美術館や公民館、エステサロン、車屋、どんな場所でも機会があれば伺いたいです。

そして、アクセサリーをきっかけに、北木島を知ってもらって、来てもらえたらすごくうれしいですね。

北木島でなくても、「故郷に帰ってみよう」とか、「なかなか会えていないあの人に久々に会いに行こう」とか、思い出してもらえたら。

「あなたを思い出して、このアクセサリー、買ったんだよ」と伝えると、プレゼントをもらった人からも喜んでもらえると思うんです。

Re:ef 北木石のアクセサリー

おわりに

井本さんと私が出会ったのは、ちょうど井本さんが北木石でアクセサリーづくりを始めたころ。

もうすぐ4年が経ちます。

印象的だったのが、アクセサリーをつくるようになってから、島を訪れる回数が増えているという話です。

井本さん自身も、アクセサリーづくりを通して、北木島とつながりを深めていることにうれしくなりました。

アクセサリーの購入者との北木島ツアーなども実現するかもしれませんね。

これからの展開が楽しみです。

MAMANのデータ

笠岡 MAMAN
名前MAMAN
住所岡山県笠岡市四番町8-7
電話番号070-2424-1390
駐車場あり
営業時間午前11時~午後5時30分
定休日水、木
臨時休業有
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • 楽天ペイ・au PAY
ホームページMAMAN オンラインショップ
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こばん

こばん

カブで旅するフォトライター。2017年に岡山県浅口市へ移住。大阪府出身。フットワーク軽く走り回り、訪れたくなる備後の情報を紹介します。しまなみ海道が大好きです。

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