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santo(サント)~ 鞆鍛冶の技術を伝える工房で鍛造体験

santo(サント)~ 鞆鍛冶の技術を伝える工房で鍛造体験

遊んどこ / 2023.11.30

福山市鞆町の東北端には、「鉄鋼団地」と呼ばれる鉄鋼関係の工場が並んだ一帯があります。そのなかで、ひときわ目を引く建物がsantoです。
潮待ちの港として栄えた鞆では、船をメンテナンスするために多くの鍛冶(かじ)が活躍していました。船の錨(いかり)や船釘などを作ってきた伝統的技術を鍛造(たんぞう)といいます。
その鍛造の体験プランがあると知り、santoを訪れました。

記載されている内容は、2023年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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santo(株式会社三暁)のデータ

santo
名前santo(株式会社三暁)
所在地福山市鞆町後地26-30
電話番号080-9956-3341
駐車場あり
5台(満車の場合は隣の工場内に駐車可)
開館時間午前11時~午後6時
休館日月、火、水
営業時間外も営業可能な場合があるので、問い合わせを。
イベント出展などで臨時休業する場合もあり。詳しくはInstagramで確認。
入館料(税込)
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • PayPay
予約について
鍛造体験の予約は https://sangyoco.co.jp/experience/ へ。
タバコ
トイレ
子育て
バリアフリー
ホームページsanto

santoで鍛造を体験

santo

2022年8月のオープン以来、福山近辺はもちろん遠方からも多くのお客を集めているsanto。他にはなかなかない、鍛造体験ができる施設です。

鍛造とは

鍛造とは、熱した金属を叩いて形を作る技術のこと。固いままの金属を曲げるのには大きな力が必要ですが、熱すると柔らかくなり小さな力でも形を作れるようになります。
錨などを作る伝統的な技法として鞆に伝わっていた鍛造を守り、広く人々に知ってもらうために、株式会社三暁(さんぎょう)は、2022年8月にsantoをオープンさせました。

鍛造体験では金属のプレートをハンマーで叩き、フライパンやトレイなどの形を作ります。

いざ、体験

最初に簡単な説明を受け、何を作るかを選びます。

鍛造体験

四角いフライパン・丸いフライパン・両手付きのフライパン・トレイなど、さまざまな種類を用意してありました。

「このフライパンで肉を焼くと味が違います。熱の伝わり方が影響するんだと思います。もやしのように水分が多い野菜を炒めるときにも、これだとカラッと炒められるんですよ」

代表取締役の早間寛将(はやま ひろまさ)さんが説明してくれました。

2.3mmと3.2mm、2種類の金属板が用意されています。厚さが蓄熱性に関係するため、アウトドアで料理をしたいなら厚いほうがオススメだそうですが、その分重くなります。軽いほうが使いやすいのではと、筆者らは2.3mmを選びました。

鍛造体験

続いて作業着やヘルメット、靴カバーなどを渡されました。デニムの作業着が福山らしいですね。耳にはギュッと耳栓も詰めました。

身支度

santoに隣接する三暁の第三工場で、いよいよ鍛造体験が始まります!
まずは選んだ金属板を、真っ赤に燃えるコークス炉で熱します

鍛造体験

金属板が少し赤みを帯びてきましたが、温度を測ると800℃台でした。

鍛造体験

鍛造の適温は1,000〜1,100℃だと説明がありました。普段、そのような高温に接することがないのでイメージしにくいですが、大変な温度だとはわかります。
しかし、1,300℃を超えると金属そのものが溶けてしまいます。ようすを見ながら加熱し、ここだというところを見極めるのです。

鍛造体験

さあ、金属板がすっかり赤くなりました!炉から下ろして、叩いていきます。

鍛造体験

ハンマーを両手で持って叩きましょう!思ったよりも力の要る作業ですが、小気味の良い音がカンカンと工場内に響くのも楽しくて、夢中になって叩いてしまいます。
全体が均一になるように、場所を変えながら叩いていくのがコツだそうです。

叩いているうちに徐々に温度が下がってくるので、再び金属板を熱してまた叩きます。

鍛造体験
鍛造体験

金属板の全体をまんべんなく叩けたら、今度は型に載せて叩いていきました。これできれいなフライパンの形ができあがるのですね。

鍛造体験
鍛造体験
鍛造体験

形ができてきました!叩き残しているところはないか、形は整っているかを、横から見て確認します。

鍛造体験

最後にフライパンの柄の角度がちょうどよくなるように、立ち上がりの部分を調整しました。

鍛造体験
鍛造が終わった状態のフライパン
鍛造が終わった状態のフライパン

続いては仕上げの工程です。火花や水が飛び散るので、ここからは工場の人にお任せします。

鍛造体験

その間に刻印をどうするか、ううむと悩みました。アルファベットと数字から組み合わせが可能ですが、選んだのは今日の日付の刻印です。
使用前に必要な油ならし(フライパンの表面に油の膜を作って焦げ付きにくくさせること)もお願いすると、併設のキッチンで手際良く仕上げてくれました。

油ならし

ハンマーの跡である槌目(つちめ)がくっきりとついた、世界にたったひとつのフライパンの完成です!

出来上がり
刻印

所要時間は1時間と少しでしたが、人数によって長くなることもあるそうです。

santo について

cocineroのフライパン

santoは「道具を作って、使う」をテーマにしたフラッグシップショップ(旗艦店)です。

鞆と鉄鋼

かつて潮待ちの港として栄えた鞆の浦。潮の流れが変わるのを待って停泊している数日間を利用して、錨(いかり)や船を修理しようとするお客さんが多くいました。そこで繁栄したのが「船鍛冶」です。

全国でも有数の鉄の産地であった中国山地に近い港町である鞆には、多くの鉄や燃料となる炭などが集まりました。また、戦乱の世から泰平の世に移り、刀鍛冶が船鍛冶へと仕事を変えていったため、鞆では船釘や錨の生産が盛んでした。福山城天守の鉄板張は、鞆で作られた可能性が高いと考えられています。

2023年現在でも、鞆には株式会社三暁を含めておよそ70もの鉄鋼関連の会社があります

▼鉄板張の福山城

株式会社三暁とは

およそ70年前に鍛冶屋としてスタートした株式会社三暁は、3D設計技術や数値制御装置を組み込んだ旋盤機械など、先端機器を用いた高品質なものづくりをする会社です。
工場や船舶用のフック、土木建築用の金物などを製造し、未来を創っています。

santoが生まれるきっかけとなったのは2016年、廃業することになった鉄工所の工場と社員を三暁が引き継いだことでした。100年以上錨を作り続けてきた貴重な技術を埋もれさせてはいけない、なんとかして次の世代に残したいと、代表の早間さんは考えました。

鍛造技術を残すために生み出したのが、家具ブランドの「TAonTA(タオンタ。フィンランド語で「鍛造」)」と、アウトドアブランドの「cocinero(コシネロ。スペイン語で「料理人」)」です。
TAonTAの家具の特徴は自由鍛造を取り入れたデザインです。職人が一つずつハンマーで叩いて作った脚に天板や座板を取り付けたテーブルや椅子は、他にはない独特の味わいを持っています。

TAonTAのスツール

cocineroのフライパン「CNシリーズ」は、パンの部分と持ち手の部分につなぎ目がありません。三暁のハイテク技術と錨を作ってきたローテクの技術の融合のなせる技です。持ち手を長くしているため、焚き火での調理にも適しています。

cocineroのフライパン

2020年には、鍛造を一般の人にも知ってもらいたいと「鍛造体験プラン」を開始しました。実際に鍛造を担当している社員が直々にその技術を伝えるので、鍛造体験は業務の間にしか実施できません。
今までに、鍛造体験に参加した人は100〜200人くらい。はるばる遠くから、この体験のためだけに足を運んで来る人も多いそうです。

santo誕生

santo

ものづくりの技術を伝えるため、そして実際に鍛造製品を手に取ってもらうため、三暁は2022年8月にsantoをオープンしました。

「鉄鋼団地の景色に馴染みながらも、人の目を引く建物にしたい」と考えた早間さんが設計を依頼した人物は、UIDの前田圭介(まえだ けいすけ)さんでした。
鞆町の高台に昭和初期に作られた建築を現代に再生させた「後山山荘」などを見て、古いものと新しいものを融合させるなら、前田さんしかいないと思ったのだそうです。

「前田さんは私たちの思いをそれ以上の形にしてくれました。ビスの色まで1本1本チェックされていましたよ」(早間さん)

santo

建物の入り口には、以前の工場に使われていた扉のサイズを直してはめ込んであります。伝統技術と鞆で鉄にかかわってきた人々の思いとを、未来に伝えていく意志がこの扉から感じられました。

santo

鉄鋼団地に多いグレーのスレート(屋根や外壁に使われる建材)と、TAonTAのテーブルからインスピレーションを得たという鉄の柱と木とを組み合わせた造形に、しばし見とれてしまいます。硬さと柔らかさ、過去と現在と未来とが、溶け合ってこの形を作っているようです。

santo

santoの半分はガラスの壁に囲まれていますが、一部は壁や天井がなく、半屋外の空間になっています。
取材当日はあいにくの雨。天井から入ってきた雨に打たれた植物は、元気を増しているように見えました。

santo

▼前田さん設計のギャラリー

santoでできること

灰皿

santoでできるのは、鍛造体験やショップでの買い物だけではありません。

santo

入り口には暖炉とキッチンが設けられていて、実際にフライパンの使い心地を試せるのです。時々この場所は「焚き火BAR」に変わります。お酒やホットコーヒー、特製の料理やおつまみなどが用意されていて、大人も子どもも焚き火を囲んで和やかな時間を過ごします。

その他、DJを招いてのパーティーやゲストアーティストによるLIVEポップアップストアなど、santoではさまざまなイベントを企画していますので、Instagramをチェックしてくださいね。

「鍛造体験に来て、鞆の浦が観光地であることを初めて知ったという人に、オススメのお店や観光スポットをお知らせすることもよくあります。前田さんの建築を見に来る人もいる。前の道路を車で走っていて、ここはなんだろうと戻ってきてのぞいてくれる人もいる。どんな入り口でも良いんです。ここをきっかけとして、鍛造の技術を知ってもらったり、鞆の浦に興味を持ってもらったりできれば、うれしいですね」と早間さん。

鞆の浦に新たなお客を呼び込む観光施設として、santoはしだいに存在感を高めていっているようです。

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錨の技術が豊かにする現代の暮らし

鍛造体験

錨を作ってきた鍛造の技術を伝える施設がsantoです。
建物を感じに、TAonTAやcocineroの美しい製品を見に、あるいは焚き火を楽しみに、ものづくりの楽しさを味わいに、どうぞsantoへ足を運んでみてください。
伝統の技術が作る豊かな暮らしのスタイルに魅せられて、何度でも訪れたくなってしまうことでしょう。

santo(株式会社三暁)のデータ

santo
名前santo(株式会社三暁)
所在地福山市鞆町後地26-30
電話番号080-9956-3341
駐車場あり
5台(満車の場合は隣の工場内に駐車可)
開館時間午前11時~午後6時
休館日月、火、水
営業時間外も営業可能な場合があるので、問い合わせを。
イベント出展などで臨時休業する場合もあり。詳しくはInstagramで確認。
入館料(税込)
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
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山口 ちゆき

山口 ちゆき

Webライター。夫と息子2人の4人家族。毎日どんなごはんを食べようかと考えている食いしんぼうです。お菓子作りと読書が好き。

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