福山市の鞆の浦で毎年開催されている「鞆・町並ひな祭」。
2021年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりましたが、「潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~」として、鞆の浦歴史民俗資料館・太田家住宅・鞆の津の商家の3か所でお雛さまが展示されています。
また、例年にくらべると少ないものの、路地を歩いているとお雛さまを飾っている商店をちらほらと見かけることができました。
昔ながらの風情が残る鞆の浦の町並みでお雛さまをめぐる「潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~」をレポートします。
記載されている内容は、2021年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
「潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~」のデータ
名前 | 「潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~」 |
---|---|
期日 | 2021年2月1日(月)~3月28日(日) ※開催期間、営業時間は施設により異なる ●鞆の浦歴史民俗資料館:2月11日(木・祝)~3月21日(日)午前9時~午後5時 ※月曜休館 ●太田家住宅:2月・3月の土・日・祝日 午前10時~午後5時 ※通常の定休日は火曜日(祝日の場合は翌日) ●鞆の津の商家:2月11日(木・祝)~3月21日(日)の土・日・祝日 午前10時~午後4時 |
場所 | 福山市鞆の浦:鞆の浦歴史民俗資料館・太田家住宅・鞆の津の商家 |
参加費用(税込) | ●鞆の浦歴史民俗資料館(一般150円、高校生まで無料) ●太田家住宅(一般400円、小学生200円) ●鞆の津の商家(無料) |
潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~ の開催概要
潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~ の詳しい内容を少しずつ紹介しましょう。
潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~
福山市の鞆の浦では、毎年2月中旬から3月中旬にかけて「鞆・町並ひな祭」が開催されます。
商店や町家、約100か所に、代々伝わる雛人形が展示される人気のイベントです。
しかし、第19回目となる予定だった2021年の「鞆・町並ひな祭」は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりました。
2021年は「潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~」として、鞆の浦歴史民俗資料館・太田家住宅・鞆の津の商家の3か所でお雛さまが展示されています。
イベントのタイトルとなっている「潮待ち」の意味を知っていますか。
船の動力がない時代は、海の潮の流れ(潮流)をうまく使って航海をする必要がありました。
潮の満ち引きで生まれる潮流に乗って船は鞆の浦に寄港し、また次の潮を待って出港するというサイクルがあり、次の潮を待つことを「潮待ち」と呼んでいたのです。
瀬戸内海のほぼ中心にあり、交通や輸送などの面で重要な港として多くの船が行き来した鞆の浦は、仙酔島などの島々が自然の防波堤となっており、「潮待ち」に適した場所でした。
船で訪れた商人たちが潮待ちをしている気分を想像しながら、のんびりとお雛さまをめぐりましょう。
開催期間・入場料
開催期間、営業時間は施設により異なります。
施設 | 開催期間 | 営業時間 |
---|---|---|
鞆の浦歴史民俗資料館 | 2月11日(木・祝)~3月21日(日) ※月曜休館 | 午前9時~午後5時 |
太田家住宅 | 2月・3月の土・日・祝日 ※通常の定休日は火曜日(祝日の場合は翌日) | 午前10時~午後5時 |
鞆の津の商家 | 2月11日(木・祝)~3月21日(日)の土・日・祝日 | 午前10時~午後4時 |
太田家住宅・鞆の津の商家は土・日・祝日のみ見学できます。
鞆の浦歴史民俗資料館と太田家住宅は入場料が必要、鞆の津の商家は入場無料です。
施設 | 入場料 |
---|---|
鞆の浦歴史民俗資料館 | 一般150円、高校生まで無料 |
太田家住宅 | 一般400円、小学生200円 |
鞆の津の商家 | 無料 |
潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~ の見どころ
まずは鞆の浦歴史民俗資料館へ
鞆の浦歴史民俗資料館は、鞆港や瀬戸内海の島々を一望できる高台にあります。
鞆の浦に伝わる伝統漁法や保命酒、祭りなど、瀬戸内の歴史・文化に関する資料を見学できる施設です。
入場料は一般150円、高校生まで無料。
2月11日(木・祝)~3月21日(日)は新春企画展「雛祭」展が開催され、鞆の浦の商家に伝わる雛人形が特別に展示されています。
展示室は撮影不可(ロビーは撮影可)です。
入口に入ってすぐのロビーで、さっそく雛人形が迎えてくれました。
▼右手前が昭和初期の段飾りで、左奥が大正時代の御殿(ごてん)飾りです。
御殿飾りとは、江戸末期頃に大阪と京都を中心に登場した建物を主体とした豪華な雛飾りのこと。
立派な御殿の中に、お内裏(だいり)さまとお雛さまがちょこんと座っていました。
▼少し進むと、さらに立派な御殿飾りが。幅28.8センチメートル、高さ101センチメートル、奥行105センチメートルもあります。
もはや、どこにお内裏さまとお雛さまがいるのかわかりません。
華やかな御殿は、京都の御所の正殿・紫宸殿(ししんでん)をイメージしたものといわれています。
▼お内裏さまとお雛さまは、御殿の向かって右手奥に発見しました。
展示室には、男女ペアの雛人形「内裏雛」の原型といわれている「古今雛」や、昭和初期に広まった版画雛軸、台紙に綿をかぶせ布で包んだ立体的な押絵雛などをガラス越しに見ることができます。
パンフレットに大きく掲載されている七段飾りもありました。
人形の数は少なく、約140点もの道具がずらりと並ぶ、珍しい雛飾りです。
旧商家に伝わるものということで、大きさと道具の数々から、豪華な暮らしぶりが想像できます。
2階には「ひな祭絵手紙募集」で集まった作品が展示されていました。
なんと、フランスからの応募も。
鞆の浦のお雛さまには、世界中にファンがいるのです。
建物も見どころ 鞆の津の商家のお雛さま
鞆の浦歴史民俗資料館の次には、鞆の津の商家へ行くことをおすすめします。
階段と坂道を降りてすぐの場所にあるからです。
鞆の津の商家は土・日・祝日のみ入場できます。入場料は無料です。
江戸時代末期には商家だった建物で、鞆の典型的な町家づくりとなっており、福山市重要文化財に指定されています。
母屋と土蔵から成り、そのどちらにも2月11日(木・祝)~3月21日(日)の期間限定で雛人形が飾られていました。
昔ながらの風情ある町家と、雛飾りの真っ赤な緋毛氈(ひもうせん)の雰囲気がとても合っています。
豪華絢爛(ごうかけんらん)な御殿飾りの雛人形が3つ並んでいました。
かわいらしい吊るし飾りも鞆の浦の町家によく似合います。
昔ながらの狭くて急な階段にも、小さな飾り雛が。
土蔵の中にも、雛人形を発見しました。
手前の白馬は、鞆の浦に伝わる夏の伝統行事「八朔(はっさく)の馬出し」で引き回される木製の白馬です。
かつて貿易で栄えた鞆の浦には、大阪や神戸、名古屋から船で運ばれてきた豪華で珍しい雛人形を買い取るお金持ちがたくさんいました。
代々伝わる雛人形で、鞆の浦歴史民俗資料館に預けられているものも多くあり、鞆の津の商家では鞆の浦歴史民俗資料館所蔵の雛人形を展示しています。
圧巻!太田家住宅のお雛さま
鞆の津の商家から太田家住宅までは約300メートル、歩いて4分ほどで到着します。
途中の石畳や商店に風情があるので、楽しみながら歩きましょう。
国の重要文化財に指定されている太田家住宅は「保命酒屋中村家」として栄え、特産品の保命酒など、酒類の醸造が行われていた建物です。
入場料は一般400円、小学生200円。潮待ちの雛散歩の期間中、2月・3月は土・日・祝日のみ入場できます。
主屋を取り囲むように土蔵や酒蔵があり、その中を見学可能です。
主屋には、多くの客人をもてなすため、たくさんの部屋が設けられています。
その部屋ごとに、さまざまな雛人形が飾られていました。一部を紹介します。
入口で出迎えてくれたのは、ずらりと並ぶ男の子の人形「裃雛(かみしもびな)」。
「よい人とご縁がありますように」と願いを込めて、女の子が生まれた家に贈る男の子の人形で、戦前に関東で流行したそうです。
ひとつひとつ表情や髪型が違います。
隣には明治時代の大木平蔵の段飾りが。
大木平蔵は京都で江戸時代から200年以上続く老舗「大木人形店(通称:丸平)」の雛人形師。
当主は代々、大木平蔵を襲名し、2021年現在の当主は七代目です。
伝統の技で将軍家や皇室に愛されてきた歴史があります。
小さな折本は手描き。趣向が凝らしてあります。
太田家住宅には大木平蔵による雛人形が、ほかにも飾られていました。
大木平蔵作「胡蝶の舞」。楽しそうに舞を披露していて、それぞれの人形の表情の豊かさに、こちらまで頬がゆるみます。
部屋の中央に座っていたお内裏さまとお雛さまも大木平蔵作。
ケースに入っておらず、扇や衣装の細やかなつくりをじっくりと間近に見ることができました。
ほかに驚いたのは日本最大級の雛人形「享保雛(きょうほびな)」。人間が座ったサイズとほとんど変わらない大きさです。
きれいな日本庭園も見どころのひとつ。
一見、ふつうのお庭に見えますか?
よく見ると、小さな雛人形がいるんです!
思わず見知らぬおばあちゃんと「かわいいですねぇ」と話しながら見入ってしまいました。
庭だけでなく部屋の中にも、目を凝らすとかわいい雛人形がたくさん見つかります。
たとえば「のぞき雛」。
なんと、仲良くふたりでお風呂に入っています。
立派で貴重な雛人形が飾られながら、かわいらしい遊び心も満載の太田家住宅。
江戸時代、長寿を祝うために作られた「百歳雛」という雛人形を見つけました。
年を重ねたお内裏さまとお雛さまが座っています。
この日も幅広い年齢層のかたが雛人形を見に来ていて、人形を愛でる気持ちは時代を経ても、年を重ねても変わらないものなのだと実感しました。
おわりに
幼いころ、家族で雛人形を飾り付けるときのわくわくした気持ちを思い起こしました。
お雛さまにとっては、一年に一度の晴れ舞台。
春が近づき、外に出やすくなった季節だからこそ、雛人形に彩られた鞆の浦を潮待ち散歩してみませんか。
「潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~」のデータ
名前 | 「潮待ちの雛散歩 ~三家三様のお雛様~」 |
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期日 | 2021年2月1日(月)~3月28日(日) ※開催期間、営業時間は施設により異なる ●鞆の浦歴史民俗資料館:2月11日(木・祝)~3月21日(日)午前9時~午後5時 ※月曜休館 ●太田家住宅:2月・3月の土・日・祝日 午前10時~午後5時 ※通常の定休日は火曜日(祝日の場合は翌日) ●鞆の津の商家:2月11日(木・祝)~3月21日(日)の土・日・祝日 午前10時~午後4時 |
場所 | 福山市鞆の浦:鞆の浦歴史民俗資料館・太田家住宅・鞆の津の商家 |
参加費用(税込) | ●鞆の浦歴史民俗資料館(一般150円、高校生まで無料) ●太田家住宅(一般400円、小学生200円) ●鞆の津の商家(無料) |