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株式会社サン・クレアの広報 東真貴(あずま まき)さんにインタビュー
株式会社サン・クレアの広報、東真貴(あずま まき)さんにお話を聞きました。
福山に貢献したい、福山の良いところを伝えたい
東
ANCHOR HOTEL FUKUYAMAができたのは2018年の12月です。
わたしたちは、福山オリエンタルホテルを運営していました。
でも満室続きで、問い合わせいただいてもお断りすることが多かったんですよ。
単純に部屋が足りていなかったので、別館を作ろうとしていたんです。
それで2017年に、売り手を探していた近隣のマンションを購入しました。
当初はあまり大きな改装をしないつもりでしたが、いざどんなホテルにしたいか話し合ったときに、やりたいことが炸裂してしまって。
東
これまで、意外と地元との関わりが薄かったんです。
泊まるのは福山外のかただし、ホテルの備品なども地元業者さんとの取引が少なくて、「それってどうかな」と。
30年間福山の地でホテルを営んできたから、福山に貢献したい。
わたしたちは福山のいいところを知っているから、伝えたい。
そう思っていました。
じゃあ、そういうホテルにしたらいいんじゃないか、と。
ANCHOR HOTEL FUKUYAMAをきっかけに、福山を知ってもらったり、福山を好きになってもらったり。
外の人と中の人がつながる場所、拠点のような場所になったら、と願っています。
東
地元の魅力を伝えるといっても、ただモノを置くだけでは、あまり意味がありません。
アートディレクションを入れて、かっこよく福山の魅力を伝えたい、と考えました。
20社以上の地元の企業さんと関わりながら、ANCHOR HOTEL FUKUYAMAができています。
象徴的なアイテムは、デニムと鉄
東
特に象徴的なものはデニムと鉄です。
繊維業って、デザイン・糸・生地・縫製・加工・装飾・販売など、工程別に会社が違うんですよ。
オリジナルアイテムを作る際、会社をコーディネートしてくれたのが、尾道の商業施設「U2」を手掛けた「ディスカバーリンクせとうち」さん。
ベッドスローは吉川織物さん、クッションはカイハラさん、縫製は名和産業さんなど、すべて地元で作りました。
福山はデニムの有数の産地で、行政も力を入れているので、普通のデニムだと見飽きている人もいます。
普通ではないモノを入れることで、地元のデニムの新たな魅力を伝えたいですね。
東
バーのスツールなどを作っている「三暁」さんは、鞆の浦の鉄工団地の中にある鉄工所です。
このスツールは、熱い鉄の塊を叩いて強度を高めつつ形を作っているので、滑らかではなくて面が残っています。
脚のカーブも、惚れ惚れしちゃうんですよね。
三暁さんは、本業はハイテクな技術でモノづくりをしているんです。
あるとき、同じ鉄工団地の中で錨を製造していた工場が、跡継ぎがなく廃業することになったそうです。
錨を作る技術がある会社は日本に数社しかなくて、このままでは技術がなくなってしまうかもしれない。
そこで、三暁さんが工場と職人さんをまるごと買い取りました。
錨製造の技術を後に残していくために、錨だけ作るのではなく、同じ技術を使った家具作りを始めています。
東
小売店でなくてホテルに置くということにも、意味があります。
小売店だとその場で見るだけですけど、ホテルだったら、たとえば浴衣は着て寝て一晩過ごすなど、触れる時間がすごく長いですよね。
アイテムの魅力が確実に伝わると思っています。
「作る人」たちの思いを引き継いで「見せる・伝える」のがANCHOR HOTEL FUKUYAMAの役割かなと思っています。
造船所を眺めるSUPや鍛造体験ができるプランも
東
この辺りでしかできない体験を提供したい、と2020年からはじめました。
1つ目は、SUP(サップ)。
SUP自体はさまざまな場所でできるんですが、瀬戸内ならではのポイントがあって、造船のようすを海から近くで見られます。
おそらく、国内でここだけのプランでしょう。
実は、世界の船の多くを瀬戸内で作っているんです。
船を作っている光景は、瀬戸内の特徴的な景色といえます。
瀬戸内に住んでいると造船所自体は珍しくありませんが、造船のようすを陸から見ることはあっても、海から見ることってあまりないですよね。
わたしが実際に体験したときに、船の大きさが衝撃で感動したので、それを味わってもらえたらいいなと思っています。
2つ目は、三暁さんでの鍛造体験。
鉄を熱してハンマーで叩いて形を整え、アイアントレーを作ります。
体験が面白いし、単純に夏休みの研究にもなります。
工場での体験を企画した理由は、それだけではありません。
職人さんの話を聞いていると、どこも職人を探しているんですよ。
木工も、船も、椅子も、若い人がいないと悩んでいて。
工場は、ふだんはなかなか一般の人は見られません。
でも、その技術や生産者に触れるきっかけを作って、産業持続の一端を担えればいいなとおぼろげには思っています。
鉄だけでなく、デニムでも何かしたいなと企画を考えています。
東
ANCHOR BAR with あき乃で、たではら農園さんの完熟前のみかんを提供しているのも、おいしいだけが理由ではありません。
まず、間引いて捨てられてしまうみかんを使うことで、食品廃棄を減らすことができます。
また、柑橘農家は急斜面での収穫作業は体力的にも大変で、高齢化により廃業するところが増えているんです。
完熟前のみかんを売れるならば、収穫時期が分散できて、事業を継続しやすくなります。
伝えたいのはモノのスペックではなくて、作る人の想い。
公式サイトやジャーナルでも、取材して丁寧に記事を作っています。
地域の魅力を伝えたい、ぶれない想い
東
これからも形を変えながら、地域の魅力を伝えることだけです。
「この街の魅力を伝えたい」、それ以外何もありません。
そこは、ぶれないですね。
ANCHOR HOTEL FUKUYAMAで福山の魅力を体感しよう
おしゃれで居心地のよい空間には、福山・備後でモノづくりする人たちの技術とスピリットが詰まっていました。
筆者にとって、「馴染みはあるし何度か訪れているけれど、まだよく知らない街」だった福山。
ANCHOR HOTEL FUKUYAMAに宿泊したことで、「かっこいい!もっと知りたい!」という気持ちになりました。
心地よく過ごして、おいしく飲んで食べて、できればSUPや鍛造体験もして。
ANCHOR HOTEL FUKUYAMAで、楽しく地域の魅力を体感してみてください。
ANCHOR HOTEL FUKUYAMAのデータ
名前 | ANCHOR HOTEL FUKUYAMA |
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所在地 | 広島県福山市城見町1-1-10 |
電話番号 | 084-927-0995 |
チェックイン | 午後2時~翌日午前2時 |
チェックアウト | ~午前11時 |
支払い方法 |
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施設情報 | 全35室 禁煙ルーム 各部屋に洋式トイレ 夕食なし/朝食つき おむつバケツ、ポット貸し出しあり |
お風呂 | QWEEN BED ROOMは個室内にシャワーブース ANCHOR PENTHOUSEは個室内にバスタブあり 宿泊者は福山オリエンタルホテルの大浴場利用可能 |
Wi-Fi | あり |
駐車場 | あり 福山オリエンタルホテルの敷地内38台、1泊800円 |
ホームページ | ANCHOR HOTEL|アンカーホテル福山 |