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店長の河村悠里さんへのインタビュー

福山市今町の鉄道高架下に生まれた、デザートピザが魅力のカフェギャラリー「&Q(アンク)」。
店長の河村悠里(かわむら ゆうり)さんに開業の経緯やコンセプト、こだわりなどを聞きました。
地域に再びにぎわいを取り戻す「フクハチコウカPJ」

開業の経緯を教えてほしい。
河村(敬称略)
まずは、当店を運営している株式会社umika(ウミカ)について説明します。
umikaは福山市中心部・福山駅周辺を中心に、まちづくり・地域の活性化に関わる事業をする企業です。
クリエイティブの力でローカル、つまり身近な生活環境である「人・企業・地域が生み出すものの魅力」に新たな価値を見出すことで、まちづくりにつなげていこうと考えています。
この理念のもと、「まちづくりのクリエイティブチーム」として、事業企画・建築デザイン・商品開発・地域活性化などの取組をしているのです。
シェアキッチンの「Little SETOUCHI(リトル セトウチ)」や、まちづくりを担う人材の育成ワークショップ「まちの空想俱楽部」などもumikaがおこなっており、「フクハチコウカPJ(プロジェクト)」も担っています。
JR福山駅の東部・今町地区の山陽新幹線・山陽本線高架下には、8店舗分のテナント区画があるのですが、そのうち7区画が10年以上空き店舗のままでした。
隣接の福山本通商店街や福山市役所などから高架下活性化の声が上がったことで、JR西日本とumikaの協創プロジェクトが誕生することに。
高架下区画をリニューアルするとともに新たな店舗を誘致し、周辺地区に人の流れとにぎわいを取り戻すフクハチコウカPJが動き出したのです。
そのフクハチコウカPJの1店舗として、umika初の直営飲食店をすることになりました。それが&Qです。2025年(令和7年)5月にオープンしました。
初めて飲食店運営に取り組む四つの理由

なぜ直営店未経験の企業が、店舗を出すことに?
河村
理由はおもに四つ。
一つ目は、地域の人の居場所をつくること。二つ目は、「生きたショールーム」としての機能。
三つ目は、フクハチコウカPJを運営するだけでなく、実際に営業することで、入居者と同じ目線で考えること。そして四つ目は、カフェギャラリーへの憧れです。
一つ目の理由の「地域の人の居場所をつくる」とは。
河村
umika代表の谷田恭平(たにだ きょうへい)は、建築家を本業としています。建築家としての視点や思いによるものです。
建築家として「人の居場所づくり」は、大きなテーマの一つ。カフェという形態は、地域の居場所として機能する点が魅力だったと聞いています。
二つ目の理由の「生きたショールーム」についても教えてほしい。
河村
そして、&Qをただの商店ではなく、私たちumikaという企業のショールームのような存在にしたかったのです。
&Qに来れば、umikaが持つ空気感とか、好きなものとか、テイストなどが伝わるような店。これが「生きたショールーム」の意味です。

三つ目の理由については?
河村
三つ目の理由については、フクハチコウカPJはテナント8区画もありますから、そのうち1区画を自分たちで運営してみようと考えました。
私たちumikaは、シェアキッチンという施設の運営は経験してきましたが、飲食店や小売店を直接運営した経験はありません。
入居者と同じ目線で考えることは、テナント管理上で必要だと感じています。
まだオープンして数か月(取材時点)。今後、生かせる機会が出てくるのではないでしょうか。
四つ目の「カフェギャラリー」については?
河村
「カフェギャラリー」は&Qのコンセプトで、カフェとギャラリーを一体としたものを指します。
カフェギャラリーというコンセプトが生まれたきっかけは、代表・谷田が、かつて葉山(神奈川県)のカフェギャラリーを訪れたことです。
谷田は、美術作家の永井宏が提唱した「生活の芸術化=ネオフォークロア」などの考えに感銘を受け、自身でもそのような店を運営してみたいと思い、ずっとカフェギャラリーの構想を温めていました。
そしてフクハチコウカPJでカフェを運営することになり、憧れであったカフェギャラリーという形を、ついに実現したのです。
自分たちの空気感やテイストが伝わる店が「生きたショールーム」になり、同時に谷田自身の夢だったカフェギャラリーも実現。さらに、生きたショールームとしての環境が人を呼び寄せて居場所となる。
店の運営経験は、フクハチコウカPJの運営にも生かせる。そういうサイクルを生み出したいですね。
「問いを持って生きる」を体現する場所
「&Q」という名称の由来は?
河村
「アンク」という読みは、古代エジプト語に由来しています。古代エジプトの言葉で「生きる」という意味です。
「Q」は英語で「QUESTION(クエスチョン)」、つまり「問題」「問い」ということ。
「&Q」と書いて「アンク」と読むことで、「問いを持って生きる」という意味を込めています。
当店を訪れたお客様が、当店を通じて心が豊かになったり、新しいものに触れて感性が広がったり、発見があったりといった経験をしてほしいという願いを表したものです。

デザイン面でのコンセプトなどは?
河村
内外装のデザインは、名称に込めた「問いを持って生きる」を体現したものになっています。さらに言えば空間だけでなく、メニューもそうです。店に関するさまざまな点につながります。
空間に関しては「都市の裏側にある文明」という意味を持たせています。高架下という都市的な場所に、あえて原始的・根源的なものを配置しているのです。
たとえば、ギャラリースペースとして使う丸太。ほかにも石や真鍮(シンチュウ)など置いています。
空間全体が時間軸を表すことをイメージしています。それは、自分自身の立ち位置がわからないと問いを持って生きられないから。
実はピザも、時間軸を表すものと捉えているんです。ピザって地層のように重なっています。ここにも「都市の裏側にある文明」がつながるんです。
飲食経験を買われ、目標だったカフェ運営に携わるように

umikaとして、初の飲食店事業。飲食店のノウハウはどうした?
河村
実はumikaの役員のなかには、現役で飲食店を経営する者や、食品製造・小売を経営する者がいます。そして私自身も実は飲食店経営の経験者なのです。
メンバーに飲食店に携わった者が多いことは、強みになりました。
河村店長はどのような飲食店を経験した?
河村
もともと私は飲食店、特にカフェを運営したいと思っていました。
そのためカフェ運営を目指し、大学は栄養学を専攻。同時に空いたときを活用し、ダブル・スクールとして調理系専門学校にも通い、菓子づくりのノウハウも学びました。
その後、大学在学中にumikaの運営するシェアキッチン「Little SETOUHI」で、タルト店をオープンしたのです。
このご縁により、umikaで事務関連の仕事に携わるようになりました。そしてフクハチコウカPJの事業が生まれ、umika直営のカフェをすることになり、過去の経験から店長として私に白羽の矢が立ちました。
目標だったカフェの運営に携われ、さらに得意の菓子づくりが生かせているので、日々やりがいを感じているところです。
オープンしてからの手応えは。
河村
想像していたより、多くのお客様に来店していただいており、日々忙しくしています。
男女比では、男1割、女性9割といった感じでしょうか。年齢層は非常に幅広く、若い人からご年配まで世代を問いません。お子様連れのお客様も多いですね。
生産者がこだわりを持って栽培した農産物を生かしたい

メニューの特徴を知りたい。
河村
こだわりの食材を使ったデザートカフェとドリンクが看板メニューなことが特徴ですね。
デザートピザは、ピザをやりたかったのはなく、果物を生かしやすかったのがピザだったことが理由。
具体的なメニューより先に、瀬戸内をはじめ、各地のこだわりの果物を使ったメニューを提供するという構想がありました。
そしていろいろと思案した結果、果物を生かしたメニューをつくりやすかったのが、ピザという料理だったのです。
代表・谷田は当店のデザートピザを、ローカルの素材を使い、それをデコレーションすることによって、面白くて驚きを与える創作物と捉えています。
福山周辺では、デザートピザ自体が珍しいのではないでしょうか。だから、個性になります。

デザートピザやドリンクに使う果物のポイントを知りたい。
河村
果物は、生産者様がこだわりや強い思いを持って栽培している農産物を使っています。
エリアは瀬戸内地方に限らず、全国各地にこだわりのある生産者様がいれば使っていき、それを生かしたピザをつくっていきたいです。
生産者様は人づてに紹介されることが多いですね。人が人を呼ぶ状況でして、とてもありがたく思います。
また生産者様のこだわりや思いがお客様により伝わるように、SNSで説明しているのです。
ピザの生地にもこだわりがあるのか。
河村
もちろんです! ピザ生地は、Acci(アッチ)というピザ専門店に、当店専用のものを特注しています。
当店はクリームや果物をたくさん使うため、水分が生地に染み込みにくい生地にしているのが特徴です。そのため弾力が強めで、モチモチとした食感が楽しめます。
さらに、バラ酵母を練り込んでいるんです。バラが市花である福山らしいピザだと思います。
クリームや果物との味わいの相性も抜群です!
今後は果物を生かした新しいメニュー考案も視野に

今後やってみたいことがあれば、教えてほしい。
河村
今はデザートピザをメインでやっています。
今後は、果物を生かした新たなメニュー開発していきたいですね。
いろいろ可能性は秘めていると思いますので、メニューを考えるのも楽しみです。
そして今町のJR高架下を、新たなにぎわいの拠点にしていけたらと思います。
こだわりのデザートピザが注目のカフェギャラリー・&Q

鉄道の高架下という場所にあり、「問いを持って生きる」というユニークなコンセプトを掲げるカフェギャラリーの&Q。
こだわりを持ってつくられた瀬戸内の旬の果物をふんだんに使ったデザートピザは、まるでアート作品のよう。
ギャラリーとしても、地域の居場所としても、魅力的な店ではないでしょうか。
「フクハチコウカPJ」として盛り上がりを見せる、今町の高架下に注目です。
&Q(アンク)のデータ

名前 | &Q(アンク) |
---|---|
住所 | 広島県福山市今町30-1(D区画) |
電話番号 | なし |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前11時〜午後6時 |
定休日 | 火、水 変更の場合あり |
支払い方法 |
※現金利用不可 |
予約の可否 | 可 |
座席 | 全12席 2人がけテーブル席:2卓 4人がけテーブル席:2卓 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | ベビーカーの入店可能 |
バリアフリー | |
ホームページ | &Q(アンク)公式Instagram |