鞆の浦は、スタジオジブリ作品『崖の上のポニョ』の舞台のモデルとなったことで知られています。
そのスタジオジブリの宮崎駿(みやざき はやお)監督がデザインを考えたという食事処・宿があるのを知っていますか?
それは「御舟宿 (おんふなやど) いろは (以下 いろは)」。
しかも、いろはの建物は江戸時代末期に、あの坂本龍馬 (さかもと りょうま)が訪れたという歴史的に重要な建物なのです。
昔ながらの町家の雰囲気を味わいながら、鞆を代表する鯛などの料理を楽しめ、宿泊できる施設・御舟宿いろはについて、魅力を解き明かしましょう。
記載されている内容は、2020年12月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
御舟宿 いろはのデータ

名前 | 御舟宿 いろは |
---|---|
住所 | 広島県福山市鞆町鞆670 |
電話番号 | 084-982-1920 |
駐車場 | あり 4台 |
営業時間 | 【飲食】 午前11時〜午後2時 【宿泊】 午後3時チェックイン、午前10時チェックアウト |
定休日 | 不定休 |
支払い方法 |
現金・PayPayのみ 【宿泊】 現金・クレジットカードのみ |
予約の可否 | 可 【食事】 7名以下は予約不可、7名以上は予約必須 【宿泊】 予約可能 |
座席 | 【1階:食事処】 全28席 ・2人がけテーブル席:1卓 ・4人がけテーブル席:3卓 ・8人がけテーブル席:1卓 ・6人がけ座敷:1卓 【2階:宿】 <部屋> ・かけおちもの部屋:5名まで(12畳) ・みんなで部屋:6名まで(4畳+10畳) <設備等> ・備品:歯ブラシ、歯磨き粉、フェイスタオル、石鹸、コップ、バスタオル、浴衣 ・風呂:屋内共同 ・共同の休憩スペースあり |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | ・ベビーカー入店可能 ・子供用食器あり |
バリアフリー | ・食事のみ車椅子入店可能 ・トイレは非対応 |
ホームページ | 御舟宿いろは |
自動車での行き方
福山市街地方面から自動車で行く場合は、県道22号線(福山鞆線)を進んでください。
鞆地区に入り、鞆港で県道22号線は丁字路に突き当たります。
この丁字路を進行方向右(北)に曲がりましょう。
そのまま道なりに走ります。
途中、道は進行方向右にゆるやかに曲がります。
丁字路から約120メートル進むと、進行方向右手に御舟宿いろはの店舗、その向かいの進行方向左手に駐車場が見えます。
駐車場は4台分です。
なお、鞆港の丁字路から御舟宿いろはまでの道は一方通行です。
交通機関での行き方
公共交通機関は、JR福山駅から路線バスに乗ります。
福山駅南口(ばら公園口)の駅前バスロータリーの5番乗り場から、トモテツバスの「鞆港・鞆の浦」行きに乗ってください。
「鞆港」バス停で下車します。
鞆港バス停は、県道22号線が鞆港の丁字路に突き当たる地点にあります。
以降は、自動車での行き方と同じです。
坂本龍馬が「いろは丸事件」の談判をした築220年の歴史ある町家

いろはは、鞆にある古い町家を改装した食事処・宿です。
建物は築およそ220年。
1800年前後の江戸時代後半に建てられました。
実はいろはの建物は江戸時代末期に、坂本龍馬が訪れた建物なのです。
1867年5月(慶応3年4月)に、龍馬ら海援隊(かいえんたい)が乗った船「いろは丸」と、紀州藩(和歌山藩)が乗った船「明光丸」が、笠岡市・笠岡諸島の六島周辺で激突。
その後、いろは丸が沈没してしまいました(いろは丸事件)。
近くにある港町だった鞆に龍馬らと紀州藩が上陸し、龍馬らは商家だった桝屋清右衛門宅に、紀州藩は圓福寺(えんぷくじ)に滞在します。
そして、龍馬らと紀州藩のあいだで賠償の談判(交渉)がおこなわれました。
その談判がおこなわれた場所のひとつが、現在のいろはの建物なのです。
当時のいろはの建物は「魚屋 萬蔵 (うおや まんぞう)」という陶磁器を扱う商人の店舗・自宅でした。
現在もいろはの建物は「旧魚屋萬蔵宅」と呼ばれています。

もともとは萬蔵という名前のかたが魚屋をしていたようですが、その後は屋号として名前を残し、業態は時代によっていろいろ変わっていたそう。
魚屋萬蔵宅は明治以降、雑貨店などいろいろな店として利用され、最後は呉服屋となったあとに2年ほど空家となってしまいました。
その後、坂本龍馬ゆかりの歴史ある建物を残すため、鞆で空き家再生を手掛けていたNPO法人 鞆まちづくり工房が中心になって、魚屋萬蔵宅を残し活用する活動を始めたのです。
そして鞆の浦を気に入った映画監督の宮崎駿氏が、町家をデザインしました。

魚屋萬蔵宅は宮崎監督のデザイン画を元にリノベーションされ、食事処・宿として生まれ変わり、2008年(平成20年)に御舟宿いろはとしてオープンしました。
1階は地元ならではの料理が楽しめる食事処

いろはの1階は、食事処です。
店内は昔の町家の建物を生かしており、歴史を感じさせます。






店内では、鞆滞在中の宮崎監督のいろはのデザイン案を展示しています。


龍馬と紀州藩が談判をした可能性が高い部屋
気になるのが、坂本龍馬らと紀州藩は、いろは(魚屋萬蔵宅)のどこで談判をおこなったかということではないでしょうか。
実は、魚屋萬蔵宅で談判がおこなわれたことは記録されていますが、どの部屋でおこなわれたかまでは記録されていないのです。
魚屋萬蔵宅の再生に関わったかたのあいだでは、2階でおこなわれたのではないかといわれていました。
再生にあたり、歴史の専門家に調査を依頼したところ、2階が日常の場所として使用され始めたのは明治以降の可能性が高いことが判明。
家の形状・間取りなどを考えると、1階で談判がおこなわれた可能性が高いと推測されました。

談判がおこなわれた可能性が高い部屋は、なんと6人がけの座敷席として飲食に利用できるのです。
坂本龍馬が座ったかもしれない部屋に自分も座って食事ができると考えると、ワクワクしてしまいます。
いろはの食事メニュー
いろはではすべての食事を店内で調理しており、鞆の浦・福山などにゆかりのある料理が味わえます。


いろはの食事メニューのうち、メインとなるのは4種類の膳(ぜん)です。
どれも鞆名物である鯛(タイ)を使った料理が楽しめます。

とくに「鯛漬け」はいろはのオリジナルで、名物料理です。
いろはのメニューのなかから、おすすめのものを紹介しましょう。
「いろは御膳」はいろはの名物・鯛漬けが楽しめる

「いろは御膳」(1,450円)は、いろはの一番人気のメニュー。
いろは御膳は、いろは名物・鯛漬けをメインとした膳です。
内容は鯛漬けのほか、ごはん、口取り、小鉢、香物、茶漬け用のダシ汁がそろいます。

鯛漬けは、瀬戸内海の鯛の切り身を酒・昆布などに一週間以上漬け込んだものです。

鯛漬けは日本酒をふんだんに使って寝かせるので、刺身とは違う、熟成された濃厚なうまみが楽しめますよ!
鯛漬けは、お客からも大変好評のいろはの自信作だそう。

鯛漬けは、コリコリとし弾力がある力強い歯ごたえです。
とても身が締まっていておいしい。
身をかみしめると、鯛の身のうまみ・風味が染み出てきます。
同時に、酒の甘みや特有の風味もほんのりと口内に広がってきました。
そこにワサビ醤油を少しつけると、さらにおいしくなります。
ごはんと鯛漬けがあと数口となったところで、ダシ汁をかけて茶漬け風で楽しみましょう。
ダシ汁は火で温められています。

茶漬け用のダシ汁はサッパリとしながら奥深い味わいで、ダシだけでもおいしいです。
ダシの風味と鯛漬けの風味、鯛自体のうまみが一体となり、また新たなおいしさを楽しめました。
なお、「鯛づくし御膳」(2,300円)や「アボカド丼御膳」(1,450円)でも鯛漬けが食べられます。

鯛づくし御膳は、いろは御膳に鯛の兜煮(かぶとに)や季節の小鉢が付いたもの。
アボカド丼御膳は、鯛漬けとアボカドの相性がいいことからメニューに加わったそう。
「うずみ重膳」は福山の郷土料理・うずみをいろは流のスタイルで

「うずみ重膳」(1,850円)もおすすめで、人気のメニューです。

「うずみ」は福山市の郷土料理。
ごはんの下に具材を敷き、汁をかけて食べる料理です。
江戸時代に福山藩が倹約令を出したため、豪華な具をごはんの下に隠して食べるようにしたのが始まりといわれます。
名前は、具をごはんの下にうずめるので「うずめた身」という意味です。

いろはのうずみは、どんな具材が隠されているのでしょうか。
楽しみです。


鯛のそぼろとごはんを食べると、鯛の風味がフワッと口内に広がっていきました。
そして、ほんのりと甘いそぼろの味わいがし、ごはんとよく合います。

鯛の身をほぐしながらごはんとともに食べると、ホクホクとした鯛のうまみと鯛の豊かな風味が楽しめました。
そして、いよいよダシ汁をかけて食べていきます。

そぼろの味わいと鯛の身の風味とともにダシの風味が広がり、サラリと食べられました。
それでいて少し豪華な味わいを楽しめます。
「鯛漬け」は持ち帰り販売もしている

いろは名物の鯛漬けは、なんと持ち帰り販売もしているのです。
鯛漬けは真空包装され、ダシ汁は粉末になっているので、家庭でも鯛漬けが楽しめます。

持ち帰り用鯛漬けは、1パック200g入り(2〜3人前)で1,500円です。
2階は「町家体験」のできる宿
いろはの2階は宿になっています。
客室は「みんなで部屋」「かけもちもの部屋」の2部屋です。

ユニークなネーミングですが、この部屋名は宮崎駿監督の考案なんですよ!
遊び心があっておもしろいと思いました。



いろはの宿は、「町家体験」をテーマにしています。
昔ながらの町家の部屋で宿泊することで、現代の日常ではなかなか味わえない懐かしい雰囲気を楽しめるのが、いろはの醍醐味なのです。
また、いろはの宿泊は夕食・朝食付き。
夕食は地元の旬の食材を中心に使った、和洋折衷の創作料理が楽しめます。


なお各部屋の宿泊料金は時期によって変動します。
詳細は、いろはの公式ホームページを見てください。
「みんなで部屋」は元お座敷だった部屋を活用

「みんなで部屋」は食事処の2階にある客室です。
8畳と6畳の和室二間続きの部屋で、6名まで宿泊できます。
かつては、お座敷としてお客をもてなす部屋だったそう。
壁は、中国山地から掘り出された赤土。

歴史ある雰囲気が濃厚です。


「かけもちもの部屋」は蔵を改装して客室に

「かけもちもの部屋」は、蔵だった建物の2階です。
1階は風呂になっています。
12畳の和室で、宿泊人数は5名まで。
「みんなで部屋」からは2階から廊下がつながっているので、食事処の階段から行けます。




風呂は広々としている
風呂は共同です。
「かけもちもの部屋」がある、蔵だった建物の1階が風呂となります。



風呂は、2組限定の宿とは思えないとても広い空間。

宮崎監督は「旅は大きな風呂にゆったり入り、旅の疲れをとるに限る」と語りました。
その言葉を実現した風呂なんです。
ゆっくりとくつろげる、快適そうな風呂です。
坂本龍馬も訪れた歴史ある町家が、宮崎駿監督のデザインで現代に食事処・宿として生まれ変わった、御舟宿いろは。
スタッフの松居 大祐 (まつい だいすけ)さんへインタビューをしました。
御舟宿 いろはのデータ

名前 | 御舟宿 いろは |
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住所 | 広島県福山市鞆町鞆670 |
電話番号 | 084-982-1920 |
駐車場 | あり 4台 |
営業時間 | 【飲食】 午前11時〜午後2時 【宿泊】 午後3時チェックイン、午前10時チェックアウト |
定休日 | 不定休 |
支払い方法 |
現金・PayPayのみ 【宿泊】 現金・クレジットカードのみ |
予約の可否 | 可 【食事】 7名以下は予約不可、7名以上は予約必須 【宿泊】 予約可能 |
座席 | 【1階:食事処】 全28席 ・2人がけテーブル席:1卓 ・4人がけテーブル席:3卓 ・8人がけテーブル席:1卓 ・6人がけ座敷:1卓 【2階:宿】 <部屋> ・かけおちもの部屋:5名まで(12畳) ・みんなで部屋:6名まで(4畳+10畳) <設備等> ・備品:歯ブラシ、歯磨き粉、フェイスタオル、石鹸、コップ、バスタオル、浴衣 ・風呂:屋内共同 ・共同の休憩スペースあり |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | ・ベビーカー入店可能 ・子供用食器あり |
バリアフリー | ・食事のみ車椅子入店可能 ・トイレは非対応 |
ホームページ | 御舟宿いろは |