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店主・森下 雄介さんへインタビュー
福山でめずらしい泡系鶏白湯ラーメンを楽しめ、夏季のつけ麺も魅力的な鶏泡そば 草戸ベース。
店主の森下雄介(もりした ゆうすけ)さんに開業の経緯やラーメンの特徴やこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
西洋料理の世界からラーメンの世界へ
開業の経緯を教えてほしい。
森下(敬称略)
もともと私は京都出身で、京都でフランス料理やイタリア料理の料理人をしていました。
料理の道へ進んだのは、子供のころに親の仕事が忙しかったりして、自分で料理をつくっていたからです。
またテレビ番組の『料理の鉄人』も好きでして、将来は料理の道へ進もうと思っていました。
やがて調理の専門学校へ通いながら、アルバイトで飲食店で働いて料理について学び、卒業後にフランス料理の道へ進むことにしました。
ラーメンはもともと大好きだったんですが、あくまでプライベートでの話。
フランス料理やイタリア料理の店はやってみたいという気持ちはありましたが、ラーメン店を出したいなんて思っていませんでした。
転機になったのは、2010年代はじめごろから京都でさまざまな進化形のラーメン店が登場し出したことですね。
東京や大阪などの大都市で生まれた、洗練された新しいラーメンが、京都にもドンドン出てきたんです。
それでラーメンの世界はすごくおもしろくて奥が深そうだと感じ、自分もラーメン店をやってみたいと思うようになりました。
そんなとき、私たち夫婦が福山へ引っ越すことになったんです。
妻の親族が福山にいるのでなじみのある土地ですし、引っ越すタイミングで福山でラーメン店を開業することにしました。
草戸ベースがオープンしたのは、2022年(令和4年)3月です。
福山にないスタイルだった「泡系鶏白湯ラーメン」で勝負
「泡系鶏白湯ラーメン」というめずらしいスタイルのラーメンにした理由は?
森下
福山はラーメン店自体は多いですが、尾道系などの醤油ラーメンや豚骨ラーメンが多いです。
だったら福山でほかにないような、新しいラーメンで勝負したいと思いました。
そこで当時の福山ではほぼ知られていない、未知のラーメンだった泡系鶏白湯のラーメン店を出すことにしたんです。
泡系鶏白湯は京都ではすごく流行っていて、私も好きなラーメン。
京都が発祥ともいわれています。
ぜひ福山のみなさんに食べてもらいたいラーメンです。
ラーメン店開業にあたりラーメンの修業は?
森下
実はラーメンの修業らしい修業はしていません。
ラーメン店で働きましたが、修業というよりもラーメン店運営のノウハウを知るために働いていました。
なので、自分で食べ歩いた経験と独学でラーメンをつくり上げています。
フランス料理などでの経験も活きていますね。
泡系鶏白湯ラーメンの「泡」は、どんな意味や効果が?
森下
泡はブレンダーを使って、スープを泡立てています。
通常、ラーメンスープは鶏油(チーユ)とほかの液体が分離します。
泡立てることによって、鶏油と液体が強制的に乳化するんです。
乳化=油と水が混ざること
ちょうどドレッシングを振って混ぜるのを思っていただければ、わかりやすいかもしれません。
そして泡立てたスープを、手鍋で温めていきます。
泡立てることでスープに空気が入り、さらに温めると中の空気が膨脹します。
するととても口あたりがよくなり、クリーミーで軽やかな独特な味わいになる効果があるんです。
またラーメンを食べ進めていくと、乳化した鶏油と液体がじょじょに分離していきます。
すると今度はとろみのある味わいになるんです。
味の変化が楽しめるのも、泡系鶏白湯のポイントですね。
全部をおいしく食べてもらいたいから、手間がかかっても自家製にこだわる
こだわっている点について聞きたい。
森下
スープはたくさんのモミジ(鶏の足)をメインに、豚足など複数の素材とともに約8時間煮込んでダシを取っています。
塩味のカエシはフランスのゲランド塩をメインに、モンゴルや国内の塩を5種類使用。
醤油味のカエシは九州産の醤油を7種類使い、乾物も加えています。
福山のかたの好みとして、甘めの醤油を好む傾向があるので。
もちろん、スープ以外にもこだわっています。
麺は、全粒粉入りの平たい中太麺です。
福山あたりではあまりないタイプではないでしょうか。
小麦は北海道産の「春よ恋」という品種と、三重県産のモチッとした食感の品種をブレンドしています。
ちなみに現在、当店のラーメンは同じ麺です。
また、具材はすべて自家製。
全部をおいしく食べてもらいたいので、手間暇かけています。
チャーシューは、豚の肩ロースのレアチャーシュー。
レアといっていますが、7〜8時間かけて63度を保つ低温調理でつくっているんです。
肩ロースは赤身が多いので、低温調理によって肉のうまみが増します。
またメンマは太めなのが特徴で、通称「材木メンマ」。
チャーシューやメンマが一番時間がかかり、どちらも4日かかりますね。
ほかにはラーメンなど料理の見栄えにこだわっています。
これはフランス料理の経験が活きていますね。
内外装はあえてラーメン店らしさを抑えてカフェ風に
店舗自体もラーメン店っぽくない雰囲気だが、外観や内装にもこだわりが?
森下
そうなんです!
ラーメン店は、ガッツリと食べるガテン系のようなイメージの店が多いです。
これだと苦手なかたもおられて、入店しづらいお客様もいると感じました。
そこでカフェのようなオシャレで洗練されたイメージの外観や店内にこだわり、業者にお願いしたんです。
またフランス料理の経験を生かし、盛り付けなどの見た目にもこだわっています。
おかげさまで、いい意味で「ラーメン店っぽくない」といわれることも多いんです。
お客様も、女性グループや女性の一人客が多いですね。
福山につけ麺文化を広めるため、あえて夏季はつけ麺専門に
夏季につけ麺・まぜそばのみの提供にしているが、理由は?
森下
夏につけ麺・まぜそばだけしかしないことについては「思い切ったことをしますね」と驚かれることが多いです。
理由のひとつは、ほかの店がやっていないから。
だいたいの店は通常の温かいラーメンと、つけ麺など冷たい麺の両方やりますよね。
めずらしいから、ほかの店と差別化できます。
もうひとつの理由は、福山につけ麺の文化を広めたいからです。
福山はつけ麺を出している店が、少ないと感じています。
つけ麺文化を根付かせる、草の根運動のような気持ちでやっていますね。
つけ麺しかメニューになければ、つけ麺を選ばざるを得ません。
なかには、つけ麺しかないと諦めて帰えられる方もいます。
しかし「せっかくなので食べてみよう」「食べてみたらおいしかったので、また食べたい」というお客様が多いですね。
ちなみにつけ麺・まぜそばの期間は暖簾(のれん)を青色にして、すぐわかるようにしています。
つけ麺・まぜそばを出していない期間は、白い暖簾です。
今後は時季限定メニューを増やしていきたい
今後やってみたいことや、展望などがあれば教えてほしい。
森下
季節に合わせた、時季限定メニューをもっと増やしたいですね。
そして毎年固定のようなスタイルでできたらと思っています。
この時季に草戸ベースに来たら、このメニューが食べられるようにしたいです。
あとは、思ったより学生のお客様が少ないのがさみしいと感じています。
私の出身地・京都は学生が多い街なので、なおさら感じますね。
だから高校生や大学生など学生さんにもっと来てもらえるように、がんばりたいです。
あと、ゆくゆくは人を雇って人材育成をし、2号店を出してみたいという気持ちがあります。
そのときは、片方の店はつけ麺専門店のような形で、両店舗で特徴を変えてみたいですね。
福山ではめずらしい泡系鶏白湯の店、草戸ベース
泡系鶏白湯ラーメンという福山でめずらしいラーメンを提供する草戸ベース。
夏につけ麺の専門店になるというアイデアもユニークだと思います。
それだけでなく、具材のひとつひとつまでこだわった、ていねいなラーメンづくりも魅力です。
オシャレな雰囲気の店内で、ぜひ店主の思いのつまったラーメンやつけ麺を味わってみてください。
鶏泡そば 草戸ベースのデータ
名前 | 鶏泡そば 草戸ベース |
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住所 | 広島県福山市草戸町4丁目10-3 |
電話番号 | 無し |
駐車場 | あり |
営業時間 | 【火〜木曜日】午前11時〜午後3時 【金〜日曜日】午前11時〜午後2時30分、午後5時30分〜午後8時30分 ※ラストオーダーは営業終了30分前 ※材料がなくなりしだい営業終了 |
定休日 | 月、不定休 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 不可 |
座席 | カウンター:10脚(夏季のみ9脚) |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | ベビーカーの入店可能 子供用食器あり |
バリアフリー | |
ホームページ | 鶏泡そば 草戸ベース |