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草戸稲荷神社 〜 福山市街を一望できる壮観な巨大本殿。「大大吉」のあるおみくじも

草戸稲荷神社 〜 福山市街を一望できる壮観な巨大本殿。「大大吉」のあるおみくじも

観とこ / 2020.11.13

草戸稲荷神社の宮司・石井伸弥さんに話を聞きました

草戸稲荷神社:宮司 石井伸弥さん

福山でも有数の参拝者数と大きな本殿を有し、古い歴史と伝統行事のある草戸稲荷神社。

草戸稲荷神社の宮司・石井 伸弥(いしい しんや)さんに、神社の創建や歴史などの話を聞きました。

草戸稲荷神社は平安時代初期に創建され、江戸時代に福山藩主が現在地に遷座(せんざ)

草戸稲荷神社:全景
草戸稲荷神社の創建は、いつごろなのか聞きたい。

石井 (敬称略)
創建は、大同2年(807年)です。
空海(弘法大師)が、現在の草戸稲荷神社の南隣にある明王院(当時の名は常福寺)を開いたとき、明王院の鎮守(守り神)として祭ったのが当社の始まりといわれています。

最初は、現在の鎮座地よりも少し東側でした。
昔の推定鎮座地は、今の芦田川の中です。

その場所には、中世に「草戸千軒(くさどせんげん)」と呼ばれるほど栄えた町がありました。
草戸稲荷神社も草戸千軒の町の中にあったといわれています。

なぜ現在の場所に草戸稲荷神社が遷ったのか?

石井
昔の草戸稲荷神社の鎮座地、つまり草戸千軒があった場所は、古くは芦田川の河口近くでした。

時代が下るにつれ周辺が開発されて、芦田川の河口が南に移動していきます。
そのため、草戸千軒と呼ばれた町は芦田川の中洲の中になったのです。

そして、たびたび洪水の被害にあうようになります。

詳しい資料が残っていないので詳細は分かりませんが、草戸稲荷神社も何度か被害を受け、社殿が流されるなどしたようです。

そして江戸時代になり、福山城が建てられて水野 勝成(みずの かつなり)が初代福山城主になりました。
寛永10年(1633年)に、勝成公によって草戸稲荷神社が再建されたという記録があります。

その後、承応4年(1655年)になると勝成公の孫で三代城主の水野 勝貞(みずの かつさだ)公が、現在の地に草戸稲荷神社を遷しました。

草戸稲荷神社の遷座は、勝貞公の父で二代城主だった水野 勝俊(みずの かつとし)公の病気の回復を祈願するためです。

草戸稲荷神社には八幡神社もあるが、そちらの歴史は?

石井
草戸八幡神社も古い神社です。

ただし草戸稲荷神社以上に資料が残っておらず、草戸の地に古くからあった神社であること以外、詳しいことはわかりません。

一説によると、現在草戸稲荷神社の西およそ2キロメートルの地点、瀬戸町長和に鎮座する福井八幡神社から分霊を祭ったともいわれていますが、時代なども不明です。

なお、福井八幡神社は承和元年(834年)に宇佐八幡宮の分霊を祭ったといわれています。

地元の声から大きな本殿に建て替えることに

草戸稲荷神社:鳥居・本殿
昔は今ほど巨大な社殿ではなかったと思うが、どういった経緯で今の社殿になったのか。

石井
以前は、今ほど大きな社殿ではありませんでした。

とはいっても、決して小さいというわけではなく、立派な社殿ではありましたよ。

ただ、水害対策で川の土手が昔よりもしっかりとした大きなものになっていきました。

そのため土手の上から社殿を見下ろすような感じになったんです。
地元のかたから、これは神様に対してあまりよくないのではないかという声が上がっていました。

さらに土手が邪魔して社殿が見えずらくなり、地元以外のかたがお参りするときに場所がわかりづらくなったという声もあったんです。

そこで社殿も古くなっていたこともあり、社殿を建て替えることになりました。

そのときに地元のかたが協力して、建て替えるなら大きな社殿にしようということになって、今のような大きな社殿が生まれたのです。

今の社殿に変わったのは、昭和59年(1984年)のことでした。

草戸稲荷神社:昔の写真
昔の草戸稲荷神社の写真
古い社殿を建て替えるのは、もったいない気もする。

石井
神社には、「遷宮(せんぐう)」という神事があります。

伊勢神宮では20年に1度、全国の神社でも数十年に1度、真新しい社殿に建て替えられます。

もったいないと思われるかもしれませんが、神社にとっては「常若(とこわか=常に新しい状態であること)」という考えにもとづく、大事な神事でもあるんですよ。

おみくじの大大吉は古くからある

草戸稲荷神社:本殿上からの眺め
おみくじに「大大吉」があるのはめずらしいが、いつからあるのか。

石井
おみくじに大大吉があるのは、全国でも数えるほどの神社だけだと聞いています。

ただ、いつから当社のおみくじに大大吉があるのかは記録がないのでわかりません。

先代の宮司が、先々代の宮司の時代からすでに存在していたと聞いています。
ですから少なくとも、明治時代にはすでに大大吉があるおみくじはあったことになりますね。

もちろんそれよりも昔からあった可能性もじゅうぶん考えられます。

神様のおかげを身近に感じてほしい

草戸稲荷神社:稲荷橋
最後に、読者へメッセージはある?

石井
まずは、お参りしてもらうことが大切だと思っています。

参拝の目的が本殿の上からの景色だったり、おみくじだったり、御朱印だったりするのは、あくまでお参りするきっかけです。

ですので、お参りして神様に手を合わせたとき、神様のおかげを身近に感じてほしいですね。

地元のかた以外でも、ぜひお気軽にご参拝ください。

草戸稲荷神社は備後有数の神社

草戸稲荷神社は人気の初詣スポットですが、ふだんはあまり参拝しないかもしれません。

福山市内でも歴史のある神社ですので、初詣以外でもぜひ参拝してみてはいかがでしょうか。

また観光や仕事などで福山に来たかたも、ぜひ福山で有数の草戸稲荷神社にお参りし、神様に手を合わせてみてください。

草戸稲荷神社のデータ

草戸稲荷神社:社殿
名称草戸稲荷神社
別名
鎮座地広島県福山市草戸町1467
電話番号084-951-2030
駐車場あり
御祭神宇迦之御魂神 (うかのみたまのかみ)
保食神 (うけもちのかみ)
大己貴神 (おおなむちのかみ) ※大国主命(おおくにぬしのみこと)のこと
御利益五穀豊穣、商売繁盛、安産祈願、交通安全、良縁祈願、起業成就、病気平癒、無病息災、家運降昌など
御朱印(初穂料)あり(300円)
拝観時間・参拝:随時
・本殿開門:午前8時〜午後4時
・受付所:午前9時〜午後4時
受付時間午前9時〜午後4時
休観日なし
拝観料なし
拝観料・初穂料の納め方
  • 現金
トイレ
ホームページ草戸稲荷神社
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アサノ ・ヨウスケ

フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。地域情報サイトも運営。カメラ片手に街を散策。あなたの知らない備後地方を切り取り、備後の奥深さを伝えます!

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草戸稲荷神社:本殿

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