稲荷神社といえば、全国各地にたくさんありますよね。
なかには、伏見稲荷や祐徳稲荷、最上稲荷、豊川稲荷のように規模が大きく、参拝者も多い稲荷神社もあります。
実は、福山市内にも大きな稲荷神社があるのです。
それは福山市草戸町(くさどちょう)にある「草戸稲荷神社」。
草戸稲荷神社は、平安時代に創建されたという古い神社。
そして福山市内では最多、広島県内では二番目に初詣客が多いのです。
福山周辺に住んでいるかたのなかには、初詣や七五三で参拝したというかたもいるかもしれません。
また草戸稲荷神社は、ビルのようにそびえ立つ巨大な本殿も有名です。
上からは、福山市街が一望できる見晴らしの良さ。
さらに草戸稲荷神社のおみくじは、大吉の上に「大大吉」があるのです。
そんな備後地方有数の神社である、草戸稲荷神社の歴史や魅力を紐解いてきましょう。
記載されている内容は、2020年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
草戸稲荷神社のデータ
名称 | 草戸稲荷神社 |
---|---|
別名 | |
鎮座地 | 広島県福山市草戸町1467 |
電話番号 | 084-951-2030 |
駐車場 | あり |
御祭神 | 宇迦之御魂神 (うかのみたまのかみ) 保食神 (うけもちのかみ) 大己貴神 (おおなむちのかみ) ※大国主命(おおくにぬしのみこと)のこと |
御利益 | 五穀豊穣、商売繁盛、安産祈願、交通安全、良縁祈願、起業成就、病気平癒、無病息災、家運降昌など |
御朱印(初穂料) | あり(300円) |
拝観時間 | ・参拝:随時 ・本殿開門:午前8時〜午後4時 ・受付所:午前9時〜午後4時 |
受付時間 | 午前9時〜午後4時 |
休観日 | なし |
拝観料 | なし |
拝観料・初穂料の納め方 |
|
トイレ | 洋式トイレ 和式トイレ |
ホームページ | 草戸稲荷神社 |
マイカーで行く場合
草戸稲荷神社へマイカーで行く場合、行き方はいくつかあります。
一番わかりやすいと思われる、芦田川の西岸の土手を通る道を紹介。
まずは、芦田川西岸にある「法音寺橋東詰(ほうおんじばし ひがしづめ)」丁字路を目指しましょう。
法音寺橋東詰交差点を西へ曲がり、法音寺橋を渡ります。
北(国道2号線方面)から来た場合は右折、南(市営体育館方面)から来た場合は左折です。
法音寺橋を渡ったところに「法音寺橋西詰」丁字路があります。
そのまま西へ直進しましょう。
すると、すぐに常福橋(じょうふくばし)を渡ります。
常福橋を西に渡ったところで、道が大きく南(進行方向左)側にカーブ。
このカーブ地点のところに、北(進行方向右)側に入る脇道があります。
この脇道を入ってください。
脇道のところに明王院の看板が立っていますので、目印となります。
脇道に入って約50メートル直進してください。
すると、今度は進行方向左に土手下へ降りる脇道があるので、ここを降りましょう。
脇道のところには草戸稲荷神社の看板が立っているので、目印にしてください。
土手を降りて約100メートルで、進行方向右側に草戸稲荷の駐車場があります。
ここに駐車して参拝してください。
駐車場から北(国道2号線方面)へ約100メートル直進すると、草戸稲荷の境内です。
なお、草戸稲荷の駐車場の南側(進行方向手前側)に隣接して、明王院の駐車場がありますので、間違えないようにしましょう。
交通機関で行く場合
公共交通機関で草戸稲荷へ行く場合は、福山駅前バスロータリーから路線バスで向かいます。
草戸稲荷へ向かう駅前バスロータリー発のバスの便は、以下のとおり。
- 5番乗り場 トモテツバス 鞆線(草戸大橋バス停下車)
- 5番乗り場 トモテツバス 鞆線 明王院経由(明王院前バス停下車)
- 6番乗り場 トモテツバス 新川線・尾道線・早戸線(神島橋西詰バス停下車)
- 6番乗り場 中国バス・トモテツバス 明王台線(神島橋バス停下車)
- 7番乗り場 中国バス 坂部線・郷分線(明王院入口バス停下車)
「明王院前」バス停は、草戸稲荷からもっとも近いバス停です。
しかし、運行本数が少ないので気をつけてください。
運行本数の多さでは、「草戸大橋」バス停か「神島橋西詰」バス停で下車するのが無難です。
草戸稲荷神社は平安時代初期に創建された備後地方有数の神社
草戸稲荷神社は、福山市草戸町にある神社です。
JR福山駅から南西へ約1.8キロメートルの場所に鎮座しています。
芦田川の西のほとりの山際に位置し、すぐ南側には国宝があることで知られる明王院という立地です。
創建は平安時代初期、大同2年(807年)にさかのぼります。
とても古い時代からある神社です。
また目の前に芦田川が流れていて、中世の時代にはそこに通称「草戸千軒(くさどせんげん)」と呼ばれた町があり、当時の芦田川河口の港町として大いに繁栄しました。
草戸稲荷神社も昔は、草戸千軒の町中にあったのです。
そして現代では、草戸稲荷神社は備後地方有数の参拝客数をほこる神社になっています。
また草戸稲荷神社は、広島県内の神社仏閣で二番目に初詣客数が多い神社です。
初詣には約40万人が参拝し、元日だけでも約15万人の初詣客が訪れます。
▼駐車場から境内までの参道はふだんは何もありませんが、初詣と祭のときにはたくさんの露店がならび、にぎわうのです。
なお駐車場は約100台あり、初詣のときなどは芦田川東岸の河川敷が臨時駐車場となります。
草戸稲荷神社は、福山市民にとって身近な神社です。
福山市在住の私も、初詣や七五三などで参拝しました。
なお草戸稲荷神社はホームページのほか、各種SNSも運営しています。
ぜひ見てみてください。
草戸稲荷神社の見どころ
草戸稲荷神社の境内には、さまざまな見どころがあります。
代表的なものを順に紹介していきましょう。
本殿は地上3〜4階相当の巨大さ!福山市街を一望
草戸稲荷神社の最大の見どころは、やはり巨大な本殿です!
高さは約23メートルあり、遠くからでも草戸稲荷神社の朱色の本殿が見えます。
▼近くから見上げると、圧巻の迫力!
本殿の下に拝殿があり、参拝はここでもおこなえます。
しかし本殿に上っても拝めるのです。
せっかくなので本殿の上まで行ってみます。
なお、本殿に上れる時間は、午前8時から午後4時までです。
これ以外の時間は、門が閉まって上れません。
下の拝殿での参拝は、いつでも可能です。
▼本殿へ上る入口は、向かって左手にあります。
▼階段をひたすら上っていきましょう。
▼最上部に到着。
▼最上部まで上ったら、そこが本殿です。
▼拝殿と同じようにお賽銭(さいせん)もありますので、二拝一礼一拝で拝みましょう。
本殿の前は展望台のようになっています。
▼本殿前からは、福山市街が一望できました。
見晴らしは最高です。
まさに絶景。
本殿から見たとき、目の前を流れている芦田川の中に、むかし草戸千軒と呼ばれた町があったのです。
▼望遠鏡もありました。
望遠鏡で見るには、20円を投入してください。
なお、階段は一方通行です。
降りるときは、上ってきた階段とは逆側、本殿に向かって右側の階段から降りていきましょう。
おみくじは全国でも数少ない「大大吉」がある!
神社といえば、おみくじを連想するかもしれません。
もちろん草戸稲荷神社でも、おみくじを引けます。
ただし草戸稲神社のおみくじは、一般的なおみくじと少し違うのです。
普通はおみくじで一番縁起がいいとされるのは、大吉ですよね。
▼なんと、草戸稲荷神社のおみくじには大吉より縁起がいい「大大吉(だいだいきち)」があるのです!
おみくじに大大吉がある神社は、全国でも数少ないといわれています。
草戸稲荷神社に参拝した際には、運試しにおみくじを引いてみてはいかがでしょう。
おみくじをするときは、1回100円を納めてください。
おみくじは、拝殿の賽銭箱の右手にあります。
稲荷橋
草戸稲荷神社と芦田川のあいだに、芦田川の支流・河手川(かわてがわ)が流れています。
芦田川の土手と河手川西側(神社川)の上に架かる、朱色の欄干(らんかん)の太鼓橋が稲荷橋です。
車で来た場合、駐車場から歩いて境内に向かうと土手の下を通るので、稲荷橋を通りません。
一度土手を上がってみると、稲荷橋が見えます。
稲荷橋の東詰から橋と本殿を写真で撮ると、神社らしい雰囲気が出るのでおすすめです。
ただし、橋の東詰は意外と車通りが多く、歩道もないので事故に注意してください。
昔は土手も低く、橋も小さくて欄干もなかったそうです。
鳥居
草戸稲荷神社の境内には、鳥居がいくつかあります。
▼一番大きいのが、本殿の前にある朱色の鳥居です。
▼境内口には朱色と石造りの鳥居が並んであります。
石の鳥居は、古そうです。
▼石の鳥居のうしろにある朱色の鳥居。
▼ほかに境内には、草戸八幡神社の鳥居もあります。
草戸八幡神社
草戸稲荷神社の本殿の向かって右側に寄り添うようにあるのが、草戸八幡神社(くさど はちまん じんじゃ)です。
▼草戸八幡神社の拝殿は本殿の前にあります。
▼拝殿のうしろにある本殿は、稲荷神社ほどではないですが、高さのある本殿です。
▼稲荷神社の本殿から降りてくるとき、八幡神社の本殿がよく見えました。
草戸八幡神社も、草戸稲荷神社と同じく古い時代から草戸の地にある神社です。
境内社
草戸稲荷神社の境内には、境内社(けいだいしゃ=境内の中に祭られている神社)がいくつかあります。
▼三喜稲荷神社 (さんき いなり じんじゃ)
祈祷受付所の前に鎮座しています。
御利益は病気平癒(へいゆ)です。
▼五社稲荷神社 (ごしゃ いなり じんじゃ)
草戸稲荷神社本殿の向かって左側、社務所の向かって右前に鎮座しています。
御利益は、開運招福です。
▼十社稲荷神社 (じっしゃ いなり じんじゃ)
草戸稲荷神社本殿の向かって左側、五社稲荷神社に並んで鎮座しています。
御利益は、商売繁盛、交通安全、入学、就職など。
▼葛木稲荷神社 (かつらぎ いなり じんじゃ)
草戸稲荷神社本殿と草戸八幡神社のあいだに鎮座しています。
御利益は、海上安全や大漁成就などです。
▼笠守稲荷神社 (かさもり いなり じんじゃ)
草戸稲荷神社本殿と草戸八幡神社のあいだ、葛木稲荷に並んで鎮座しています。
御利益は、安産や子宝など。
ほかにも境内社はありました。
草戸稲荷神社の御朱印
草戸稲荷神社では、御朱印をいただけます。
▼草戸稲荷神社の御朱印
▼また草戸八幡神社の例大祭がおこなわれる9月限定で、草戸八幡神社の御朱印もいただけます。
なお草戸八幡神社の御朱印は、御朱印帳に押すのではなく紙に御朱印を押して渡す形になることもありますので、あらかじめ確認しておいてください。
▼御朱印をいただくには、本殿・拝殿の向かって右側にある祈祷受付所に行きましょう。
中にいる神社のかたに、御朱印をもらいたいことを告げてください。
御朱印をいただくには、300円の初穂料が必要です。
草戸稲荷神社の行事
草戸稲荷神社では、さまざまな年間行事があります。
おもな草戸稲荷神社の行事は、以下のとおりです。
行事 | 日 |
---|---|
元旦祭 | 1月1日 |
節分祭 | 2月3日 |
卯之大祭 (コンコン行列) | 5月第2土・日曜 |
七五三詣 | 11月中旬 |
夏越大祓 | 6月30日 |
草戸八幡神社例大祭 | 9月第2土・日曜 |
秋祭 | 11月23日(勤労感謝の日) |
月次祭 | 毎月1日 |
代表的なものを紹介します。
節分祭では豆まきがおこなわれる
節分祭は、2月3日の節分の日におこなわれます。
節分といえば豆まきですよね。
草戸稲荷神社でも、豆まきがおこなわれるのです。
社務所の上から豆がまかれ、多くのかたが豆を拾いに神社に集まり、豆を必死に拾い集めます。
卯之大祭のコンコン行列は伝統的な行事
草戸稲荷神社では、毎年5月の第2土・日曜日に「卯之大祭(うのたいさい)」という祭がおこなわれます。
卯之大祭は、草戸稲荷神社の例大祭です。
旧暦の4月(卯月)におこなわれることが名前の由来になっています。
卯之大祭では祭典のほかに、「コンコン行列」という行事がおこなわれるのが名物です。
コンコン行列は、キツネの面を被り法被(はっぴ)を着た地元の子供たちが、神職や巫女(みこ)、武士に扮した人を先頭にした行列で神社の近くを練り歩きます。
キツネ面の代わりに、顔にキツネ風のペインティングをする子供も。
▼コンコン行列では、神輿(みこし)も子供たちが引きながら歩きます。
▼また太鼓も一緒に歩き、ドンドンと太鼓がたたかれるのです。
さらにコンコン行列が歩くとき、みんなで「良い良い転べ、良い転べ」という掛け声を上げます。
これは「良いほうに転がれ」という意味で、「いいことがありますように」という意味です。
▼コンコン行列は、神社を出発して南へ約500メートルのところにある法音寺(ほうおんじ)前まで練り歩きます。
▼そしてUターンして神社まで帰るので、合計約1キロメートルをコンコン行列が練り歩くのです。
神社に帰ってきたら、コンコン行列は終了です。
なおコンコン行列が始まったのは、江戸時代とされています。
とても歴史のある地域の伝統行事なのです。
しかし、現代になって戦争などさまざまな事情によって断絶してしまいました。
昭和60年(1985年)に地元から復活を願う声が上がり、資料を元にしてコンコン行列を再現。
それ以来、ほぼ毎年コンコン行列は開催されています(令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響により中止)。
▼卯之大祭のとき、コンコン行列が通る参道には露店がならびます。
▼さらに境内では福引きも開催。
卯之大祭の日には、神社のお祭りらしい雰囲気となり、盛り上がります。
夏越大祓では茅の輪くぐりなどがおこなわれる
夏越大祓(なごしのおおはらえ)は、毎年6月30日におこなわれます。
1年の上半期を無事に過ごしたことを感謝するとともに、半年間の穢(ケガレ)をはらい、残り半年を真新しい気持ちで過ごしていくための行事です。
夏越大祓では、人形(ひとがた)という人の形をした紙などを使ってお祓いをしたり、茅の輪(ちのわ)を3回くぐる「茅の輪くぐり」をおこなったりします。
八幡神社例大祭では神輿が町内をまわる
9月第2土・日曜日は、草戸八幡神社の例大祭です。
八幡神社が創建された月が9月のため、9月におこなわれます。
土曜日には前夜祭がおこなわれ、備中神楽を舞ったり、和太鼓が演奏されたりするのです。
そして日曜日には祭典がおこなわれ、神輿が草戸町内の11地区をまわります。
昔は神輿を担いでまわっていました。
現在は事情により、神輿をトラックに乗せてまわります。
草戸稲荷神社の祭神
草戸稲荷神社で祭っている神様は、以下の三柱です。
- 宇迦之御魂神 (うかのみたまのかみ)
- 保食神 (うけもちのかみ)
- 大己貴神 (おおなむちのかみ)
宇迦之御魂神は食物の神様で、稲荷神社の主祭神です。
保食神も食物の神様で、日本書紀に登場します。
大己貴神は、大国主神 (おおくにぬしのかみ)のことで、国造りと農業の神様です。
「稲荷」とは「稲成り」に由来しているとされ、稲作をはじめとする農業や農作物を祭る神社だったといわれます。
そのため五穀豊穣(ごこくほうじょう)がおもな御利益とされていますが、時代の変化とともに農業から派生して商売繁盛(しょうばいはんじょう)も願われるようになりました。
また、稲荷といえばキツネのイメージがありませんか?
▼草戸稲荷神社にも、狛犬(こまいぬ)の代わりにキツネがいました。
キツネは、ネズミなどの農作物を荒らす害獣を退治するため、神様(宇迦之御魂神)の使いだと信じられていたためです。
福山でも有数の参拝者数と大きな本殿を有し、古い歴史と伝統行事のある草戸稲荷神社。
草戸稲荷神社の宮司・石井 伸弥(いしい しんや)さんに話を聞きました。
草戸稲荷神社のデータ
名称 | 草戸稲荷神社 |
---|---|
別名 | |
鎮座地 | 広島県福山市草戸町1467 |
電話番号 | 084-951-2030 |
駐車場 | あり |
御祭神 | 宇迦之御魂神 (うかのみたまのかみ) 保食神 (うけもちのかみ) 大己貴神 (おおなむちのかみ) ※大国主命(おおくにぬしのみこと)のこと |
御利益 | 五穀豊穣、商売繁盛、安産祈願、交通安全、良縁祈願、起業成就、病気平癒、無病息災、家運降昌など |
御朱印(初穂料) | あり(300円) |
拝観時間 | ・参拝:随時 ・本殿開門:午前8時〜午後4時 ・受付所:午前9時〜午後4時 |
受付時間 | 午前9時〜午後4時 |
休観日 | なし |
拝観料 | なし |
拝観料・初穂料の納め方 |
|
トイレ | 洋式トイレ 和式トイレ |
ホームページ | 草戸稲荷神社 |