鞆の浦・お宿と集いの場 燧冶(ひうちや) ～ 地域に根差した「やさしいお宿」を目指して。介護施設が運営するバリアフリー対応の古民家宿

初めて訪れたときから、海の美しさと懐かしい町並みに心を奪われた鞆の浦。

どこかノスタルジックな雰囲気がただよう鞆の町は、自然と心が子供に帰ってゆくような思いがします。

「鞆の浦・お宿と集いの場 燧冶(ひうちや)」は、そんな鞆の浦にある古民家宿です。

年齢、性別、国籍、障がいのあるなしにかかわらず、「だれでも泊まれるやさしいお宿」をコンセプトに、宿にはさまざまな工夫や思いやりがちりばめられています。

朝の海、夕暮れの町。暮らすように鞆の浦を楽しめる、今までなかったお宿ではないでしょうか。

鞆の浦に住む地域の人とともに考え、コミュニティを育んでいく。

そんな、やさしさにあふれたお宿「鞆の浦・お宿と集いの場 燧冶」を紹介します。

築90年の古民家宿「鞆の浦・お宿と集いの場 燧冶(ひうちや)」

県道22号線沿い、鞆郵便局の近くにある海沿いのお宿「鞆の浦・お宿と集いの場 燧冶(ひうちや：以下　燧冶)」。

築90年の古民家を改装した燧冶は、2019年11月にオープンした新しいお宿です。

燧冶を運営する「有限会社親和」は、「さくらホーム」などの介護施設を手掛けている会社。

作業療法士でもある燧冶代表の羽田知世(はだ ともよ)さんは、さくらホームのスタッフとともに燧冶の運営を担っています。

お宿の名前の「燧冶」は「ひうちや」と読み、ちょっと珍しい名前です。
ちなみに、羽田さんのお父さんが名付け親だそうですよ。

燧冶の燧(ひうち)は、鞆の浦に面した海の四国側に位置する海域である「燧灘(ひうちなだ)」から取りました。

そして、冶(や)という字には「古いものに手を加え、より輝かせる」という意味があるそうです。

燧冶の目の前には「安国寺下」のバス停があり、福山駅から30分ほどの距離です。

また、駐車場も7台分完備されています。

車いすで安心のスロープと日本庭園

まずは玄関から中庭に向かいましょう。
お宿のコンセプトを体現するようなものが中庭にあるのです。

ところで中庭にある踏み石、なんとお庭を掘り返したら出てきた石を再利用しているとのこと。

もともとあったものを活用し、もっと素敵にするアイディアに驚きました。

さて、中庭に着きました。
▼ウッドデッキに板のようなものが渡されていますね。

これは、車いすの人でもそのまま入れるように作られたスロープです。

燧冶は、年齢・性別・国籍問わず誰もが当たり前の生活を送れるように社会の環境を整えていく、「ノーマライゼーション」という考えを大切にしているお宿。

▼1階の部屋から見ると、入り口からそのままスロープが繋がっているのがわかります。

車いすの人が、介助の手を借りることなく自分の力で宿泊する、宿泊できるような環境を作る。

そんな思いも、「やさしいお宿」のコンセプトに込められているのです。

バリアフリー対応のユニバーサルルーム

では、燧冶のなかを見ていきましょう。

▼こちらは1階にあるユニバーサルルーム。

お庭のスロープからそのまま入ることができる、バリアフリー対応のお部屋です。

介護用ベッド(電動ベッド)が完備され、モダンで落ち着いた雰囲気の室内。

▼トイレ、洗面所、シャワールーム完備、すべてフラットな造りになっているので、車いすでの移動も安全です。

鞆の浦の潮風を感じるツインルーム

2階には2つの部屋があります。

▼こちらは海側に面したツインルーム。

お部屋の調度品も趣があり、レトロでかわいらしいお部屋です。

気持ちの良い窓辺に座り、ゆっくりと景色を眺める。そんな贅沢(ぜいたく)な時間も様になります。

夕暮れ時の海の色、朝日に染まる鞆の浦の風景。
どの時間でも美しい鞆の浦が味わえるなんて素敵ですね。

最大6人が宿泊可能な大部屋

▼こちらが燧冶で一番「古民家らしさ」を感じる大部屋です。

建具などは当時のまま、築90年の趣が感じられるお部屋となっています。

布団での就寝となるので、最大6名まで利用できますよ。

また合宿やゼミ、ヨガ教室などにも活用されています。

▼2階の大部屋からは、庭師さんが丹精込めて完成させた中庭が見えます。

まるで親戚の家に来たような、古民家の良さが感じられるお部屋です。

なお、1グループで3部屋を使う一棟貸しも可能なので、詳しくはお宿まで問い合わせてください。

お庭を見渡すレンタルスペース、共同キッチン

1階の中庭に面した居間は、レンタルスペースとしても利用できます。

Wi-Fiも完備され、セミナーや勉強会、趣味の集まりにぴったり。14畳と広さも十分です。

お庭からは、優しい光が降り注ぎます。

本当に心の底からほっと癒される、良い眺めですね。

▼筆者が一目惚れしてしまった共同のキッチン。

なんて使い勝手のよさそうな台所だろう…と思わず感心してしまいました。

▼鍋や包丁などの台所用品も、ばっちりそろっています。

燧冶では食事の提供がないので、鞆の浦の新鮮な材料をそろえて、わいわいお料理もいいですね。

なお、キッチンを利用する場合は事前の申し出が必要です。

家族で、仲間と、ひとりでのんびり。
どんなシーンでもやさしく寄り添ってくれそうなお宿「燧冶」。

しばらく滞在してみたいなぁ、なんて思わず考えてしまいます。

そんな鞆の浦のやさしいお宿、燧冶代表の羽田知世さんにインタビューをしました。

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