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Pekárna(ペカールナ)そらいろ 〜 発酵にこだわり時間が経ってもおいしいパン。噛めば噛むほど自然な甘みが広がる

Pekárna(ペカールナ)そらいろ 〜 発酵にこだわり時間が経ってもおいしいパン。噛めば噛むほど自然な甘みが広がる

食べとこ / 2025.02.21

Pekárnaそらいろの店主・清水さんにインタビュー

店主 清水さん
店主 清水さん

発酵にこだわり、強い信念を感じるパンをつくるPekárnaそらいろ

店主の清水(しみず)さんに開業の経緯やパンづくりのこだわり、今後の展望などを聞きました。

自転車旅・海外留学・農業体験を経てパン屋を目指すように

自転車旅のようす (写真提供:そらいろ)
自転車旅のようす (写真提供:そらいろ)

開業の経緯を知りたい。

清水(敬称略)

7人兄弟姉妹の6番目として育ちました。
だから、小さいころから自分のことは自分でする生活。

料理も自分で好きなものをつくっていたので、料理の世界に興味を持つようになったんです。

とはいっても、社会に出たら料理の仕事をしようとまでは思っていませんでした。

学校卒業後、もっといろいろなことを知りたいと思いまして、日本一周の自転車旅に出たんです。

自転車旅のときの名刺 (写真提供:そらいろ)
自転車旅のときの名刺 (写真提供:そらいろ)

このとき親から中小企業診断士のかたを紹介してもらい、一人で会いに行きました。

そしてそのかたに「自分の将来の仕事を探す旅をしたい」と相談したんです。

すると、全国のいろいろな中小企業の人を紹介されました。

自転車旅をしながら、紹介された人に会いに行き、場合によってはそこで少し働かせてもらったりしたんです。

カレーパン
カレーパン

自転車旅でパン屋になろうと決意した?

清水

いいえ。自転車旅を終えて、たくさんの経験を得られましたが、具体的な夢は見つかりませんでした。

その後、海外のかたと話をしたいと思っていたので、語学留学のためにイギリスへ渡ることにしたんです。

お金もあまりないので、向こうで働きながら学びました。

その合間に欧州を中心に、いろいろなところに旅に行きましたね。

語学学校で知り合った友人の故郷とかを回りました。

農業研修のようす (写真提供:そらいろ)
農業研修のようす (写真提供:そらいろ)

語学学校が終わって帰国して、ふと昔は料理に興味があったことを思い出します。

料理には食材が必須であることから、農産物に興味を持ちました。

そこで、因島(いんのしま)にあった発酵企業に研修員として1年間受け入れてもらうことになったんです。

その企業では農業研修を受け、農業について学びました。

農業をしていたある日、突然「パン屋を目指そう」とひらめいたんです。

チェコに住む日本人に日本のパンを食べてもらいたい

オレンジ
オレンジ

なぜ、突然パン屋がひらめいた?

清水

それは、わかりません(笑)

さきほど話した、イギリスの語学学校時代、チェコ在住の友人を訪ねにチェコへ行ったことがあるんです。

そのときのことを突然思い出しまして。

チェコなど海外には、日本特有の菓子パンや惣菜パンがあまり普及していません。

チェコに住む永住権の資格を取得した日本人に日本のパンを食べてもらいたい
日本のパン、とくにメロンパンを食べてもらいたいなぁという思いがフッと浮かんできたんです。

そらいろメロンパン
そらいろメロンパン

その直後に「そうだ、パン屋になろう」と思ったんです。

日本のパンを食べて、故郷を思い出してもらいたい。

それで、パン屋の開業を決意しました。

ガーリックボール
ガーリックボール

思いついたあと、すぐにパン屋に?

清水

思いついてすぐというわけではありません。

農業研修の期間が終わったあと、香川県にいる知人がパン屋を紹介してくれました。

そこで3年半ほど働かせてもらいながら、パンづくりについて勉強したんです。

やがて西日本を中心にいろいろなパン屋で働き、修業を重ねていきました。

タルティーヌ各種(左からタマゴ、トマト、トマトとウィンナー、キノコ)
タルティーヌ各種(左からタマゴ、トマト、トマトとウィンナー、キノコ)

その後、一度パン屋の修業を離れ、福山市の食品系の卸会社で働くことにしたんです。

働きながら、休日は自宅でパン教室をやりました。
約4年間で、150人くらいパン教室で教えましたね。

友人知人や近所のかたなどを呼び、みんなで自分たちでつくったパンを食べたりもしていました。

そんなとき、パンの写真を出していたSNSを見た福山本通商店街のパンイベントの実行委員長に「そんなにパンが好きなら、商店街のパンイベントの実行委員会に入ってみたら?」と誘われ、入ったんです。

そしてパンのマルシェのスタッフとして参加したのですが、イベントを通じてふたたびパン屋を目指したいと思うようになりました。

その後、実行委員長が商店街の物件をいろいろ紹介してくれたんです。
紹介された物件の中から、かつて書店だった物件に決定。

そして2018年(平成30年)5月6日、本通商店街の一角にパン屋をオープンしました。

店名の由来はチェコ語と本屋のイメージから

移転前のPekárnaそらいろの外観(2023年撮影)
移転前のPekárnaそらいろの外観(2023年撮影)

店名の由来は?

清水

まず「Pekárna(ペカールナ)」ですが、チェコ語で「パン屋」という意味です。

さきほどのように、チェコの友人がパン屋を目指すキッカケでした。

加えて祖母や父も、チェコを訪れたことがあるんです。
チェコは、私にとってゆかりがある土地なので、チェコ語を採用しました。

次に「そらいろ」ですが、実は最初「そら」だったんです。

公園など、青空の下で当店のパンを楽しんでもらいたいなという思いがあったから。

移転前の店内の様子(2023年撮影)
移転前の店内のようす(2023年撮影)

また、店の建物は以前本屋でした。
せっかく商店街に出店しますし、前の本屋の名残も残したいなぁという思いもあったんです。

そこで本屋→絵本→クレヨンと連想し「いろ」を付けて「そらいろ」にしました。

そらいろ:看板

デザインやロゴは、チェコの童話の世界をイメージしてつくってもらいました。

チェコは、絵本が有名な国です。
ここでも、チェコがつながります。

新店舗は古い建物の雰囲気を生かした店づくりを

移転後の外観
移転後の外観

やがて2024年(令和6年)に移転・リニューアルした。その経緯は?

清水

移転は建物の老朽化が理由です。

実は旧店舗時代から、現在の物件が空き物件になっていたのを知っていたんです。
しかも家主は当店のお客様でした。

やむを得ない事情で移転することになり、そのことを家主に事情を話すと、出店を快諾してくださったのです。

新店舗の物件は、築約60年の空家でした。

昭和時代の古き良き住宅の雰囲気がそのまま残されており、懐かしい雰囲気です。

懐かしさを感じる雰囲気を可能な限り残し、生かした店舗づくりを決意しました。

雰囲気の良さだけでなく、ここにずっと住んでいた人の思いも残してあげたいという気持ちもあったのも理由です。

移転後の店内
移転後の店内

物件には家具や道具なども置いたままの状態でした。

テーブルや棚などは、改修したうえで店舗の陳列台などに活用しています。

壁や天井、柱などを見ていただけると、昔の懐かしい雰囲気が残っていますので、ご来店の際は見てみてください。

なお店舗づくりの負担を少しでも下げるため、一部の作業は自分でおこないました。

旧店舗とはかなり変わり、新店舗は昭和のノスタルジックな雰囲気になったので、久しぶりのお客様は奮驚かれるかもしれませんね。

カヌレ
カヌレ

移転して変更した点や工夫したことは?

清水

情報発信に力を入れるようにしました。

Instagram(インスタグラム)の更新頻度を上げ、ストーリーズを中心になるべく毎営業日に更新してみたんです。

するとフォロワーが移転から4か月ほどの間で、約1,400人も増えました

移転後にチョココロネが一番人気となったのもInstagramの影響です。

あとはパンのラインナップを少し変えています。
移転してなくなった商品がある代わりに、新たに調理パン・総菜パンに力を入れ、ラインナップを増やしました。

新しいお客に足を運んでもらうには、いろいろな人の目に留まるような新たな商品が必要と考えたからです。
サンドイッチをはじめたのもその一環。

旧店舗では調理パン・総菜パンを増やしたくても設備的な理由で難しかったので、移転後はやってみようと思っていました。

そもそも移転するからには新しいこと、移転前の店舗ではできなかったことに挑戦しようと考えていたんです。

Instagramもパンのランナップのことも、昭和の雰囲気を残した店舗づくりも、いずれも新たな挑戦として取り組みました。

発酵にこだわり、噛むほどにおいしいパンづくりを

バターの風味とほのかな塩味でシンプルな味わいの「塩パン」
バターの風味とほのかな塩味でシンプルな味わいの「塩パン」

パンづくりでは、発酵にこだわっていると聞いた。

清水

一般的に、パンは焼きたてがおいしいというイメージがありますよね。

ただパンという食品の原理を追究していくと、焼き上がりから時間が経ったほうがおいしくなるんです。

焼きたてのパンがおいしいのは「焼けた小麦粉の風味」のおいしさなんです。
だから冷めると、味が変わります。

でもパンは、生地をイースト菌が発酵させてできるもの。

イースト菌という微生物が生地の中でゆっくりと時間をかけて食事をすることで、甘さの素が生まれてきます。

これは酵素の分解によって生まれたブドウ糖の甘さ。
ショ糖(砂糖)とは違う、自然のほのかな甘みです。

日本酒づくりの工程とも共通する部分があると思います。

だから当店のパンは時間が経ってもおいしいですし、噛めば噛むほどにジワジワとほのかな甘みが広がるんです。

クロワッサン
クロワッサン

パンづくりで大変な点は?

清水

やっぱり一番大変なのは生地づくりですね。

イースト菌の状況の調整に、とても気を使います。

微妙な温度変化がすぐに影響を与えますから。

だから私は深夜から明け方にかけての時間帯で、ひとりで生地づくりをしているんです。
温度変化が少ない時間帯で、人間も私だけですから、環境変化も少ないので。

しかも店内数か所の部屋の温度を、用途に応じて別々に設定して保ち、それぞれの部屋の中で用途別に生地をつくっているんです。

いうならば私は、イースト菌がストレスなく住める家づくりをしているんです。

イースト菌がストレスのない暮らしができることで、おいしいパンの生地ができます

工夫してクオリティーを保ち、新たな商品づくりにも挑戦を

そらいろ:玉子サンド 製造風景

今後の展望ややってみたいことがあれば教えてほしい。

清水

昨今はさまざまなものの値段が上がっていて、売るのも買うのも大変です。

大変な状況下でも商品のクオリティーを下げないよう、いかに工夫するかが今後の課題と思っています。

当店はマーガリンやショートニングはいっさい使わず、バターのみにこだわっているのも大きな特徴です。

またベーキングパウダーも使っていません
フィリングは手づくりにこだわっています。

素材や製法へのこだわりは、絶対に譲れません。
経済状況や時流を工夫で乗り越えてこだわりを保ちつつ、新たな商品づくりに挑戦していきたいですね。

噛むほどに味わいが広がるPekárnaそらいろのパン

そらいろ:タルティーヌ

Pekárnaそらいろのパンを食べ、清水さんの話を聞いて、パンは焼きたてがおいしいという常識がくつがえされました。

時間が経ってもおいしいという、そらいろのパン。
実際に買って帰って食べても、とてもおいしかったです。

移転・リニューアルして、新たにレトロな雰囲気の店舗に生まれ変わったPekárnaそらいろ。

発酵にこだわり、噛めば噛むほどおいしいパンをぜひ一度味わってみてください。

Pekárna(ペカールナ)そらいろのデータ

そらいろ:外観
名前Pekárna(ペカールナ)そらいろ
住所広島県福山市今町1-28
電話番号084-923-0113
駐車場あり
店舗の2区画南側の敷地に駐車場がある(4台)
営業時間午前8時〜午後6時
定休日月、日
支払い方法
  • 現金
  • PayPay・メルペイ・d払い
ホームページペカールナそらいろ 公式Instagram
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フリーランスで活動するプロの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。カメラ片手に街を散策、あなたの知らない備後地方を切り取り、備後の奥深さを伝えます!

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そらいろ:パン

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