福山の土産や銘菓と聞いたら何を選びますか?
実は福山には、歴史ある菓子があります。
それが「株式会社 虎屋本舗(とらや ほんぽ:以下、虎屋)」がつくる「とんど饅頭」と「虎焼」です。
どちらも江戸時代から続く和菓子で、現在でも多くの福山市民に愛されています。
また虎屋は江戸時代からの老舗でありながら、新たな菓子づくりにも挑戦しているのです。
それがいろいろな料理そっくりの見た目をしたお菓子「そっくりスイーツ」シリーズ。
見て楽しく、食べておいしいユニークな商品です。
江戸時代からの伝統を守りながら、新しい挑戦を続ける福山を代表する老舗・虎屋本舗について紹介します。
記載されている内容は、2021年12月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
虎屋本舗 (本店)のデータ

名前 | 虎屋本舗 (本店) |
---|---|
住所 | 広島県福山市曙町1丁目11-18 |
電話番号 | 084-954-7455 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 平日:午前8時30分〜午後7時 日曜日:午前8時30分〜午後6時 |
定休日 | 元日 |
支払い方法 |
|
ホームページ | 創業400年の和菓子屋 虎屋本舗-老舗のどら焼き |
虎屋の本店は、福山市南部・曙町1丁目にあります。
そのため車で行くのが便利です。
わかりやすい道順としては、県道380号線(水呑手城線)の「曙町2丁目」交差点を西に曲がりましょう。
そのまま西へ約250メートル進めば、道路の北側(進行方向右側)に虎屋の店舗が見えます。
曙町2丁目交差点は、入江大橋南詰から南へ約450メートルです。
公共交通機関を使う場合は、JR福山駅南側の駅前バスロータリーの9番乗り場から、中国バスの「曙循環線」に乗車します。
曙循環線の「曙町一丁目」バス停で下車、目の前が虎屋の本店です。
ただし福山駅周辺だと、福山駅構内の「サンステーションテラス(さんすて福山)」の中に虎屋のさんすて福山店があります。
そのため本店でなくてもよいのなら、福山駅周辺だとさんすて福山店の利用が便利です。
※ 参考:虎屋の店舗一覧
虎屋は江戸時代初期、福山城完成の2年前に創業した和洋菓子店

虎屋は福山市に江戸時代初期に創業した、老舗の和洋菓子店です。
現在の本店は、福山市南部・曙町にあります。
福山藩の御用菓子司となり、福山城の築城を祝う茶の湯の会に献上した「とんど饅頭」は現在も虎屋の看板商品です。
また同じく現在も販売される看板商品として、江戸時代中期に考案されたしま模様のどら焼の「虎焼」があります。
とんど饅頭・虎焼とも、福山を代表する銘菓として福山市民に愛されているのです。

昭和期には和菓子だけでなく、洋菓子も製造し始めました。
とくに平成15年(2003年)に販売を始めた「そっくりスイーツ」シリーズは、大きな反響を呼んだ人気商品です。
虎屋はとんど饅頭・虎焼・そっくりスイーツ以外にも、地元・福山や瀬戸内にちなんだ菓子をたくさん製造しています。

虎屋は曙町にある本店のほかにも、福山市内や府中市・井原市などに多くの店舗があります。
JR福山駅前や駅前バスロータリーを利用したり、福山中心市街地に立ち寄ったりするときは、JR福山駅構内「サンステーションテラス(さんすて福山)」にある「さんすて福山店」が便利です。

このほかにも市内や府中市・井原市などに店舗があります。
各店舗の詳細については、虎屋の公式サイトを見てください。
虎屋の歴史
虎屋本舗はもともと「高田屋」という屋号の廻船問屋でしたが、元和6年 (1620年)に菓子匠を始めました。
福山城が完成する約2年前のことです。
なお虎屋では、元和6年を創業年としています。
元和8年(1622年)8月に福山城は完成しますが、元和8年の正月に築城を祝う茶の湯の会が開かれました。
茶の湯の会に、高田屋は饅頭と干菓子を献上します。
饅頭を食べた藩主・水野勝成(みずの かつなり)は大変気に入り、勝成自ら菓子を「とんど」と名付けました。
これが現在も虎屋本舗で製造されている「とんど饅頭」です。
とんどとは、小正月におこなわれる火祭りの「左義長(さぎちょう)」のこと。

本来は小正月のためにおこなう「とんど」ですが、町民が福山城の築城を祝うために「とんど祭」をおこなって喜びました。
勝成は、それにちなんで「とんど」と命名したといわれています。
茶の湯の会以降、高田屋は福山藩の御用菓子司となりました。

菓子匠といっても大衆向けの菓子販売はしておらず、福山藩向けに菓子を製造していたといわれています。
また、菓子専業ではなくさまざまな事業をおこなっていました。
高田屋が菓子専業になったのは、江戸時代中期です。
寛延3年(1750年)に八代当主・助四朗が屋号を「虎屋」に変更しました。
またトラにちなんだ商品として、トラのしま模様のような焼き目がついたどら焼の「虎焼」も開発。
現在でも虎焼は、とんど饅頭とともに看板商品として販売されています。

当時の当主・助四朗は、信貴山(しぎさん)朝護孫子寺(ちょうごそんしじ:現 奈良県生駒郡平群町)を信仰していました。
朝護孫子寺で祭られているトラにあやかって虎屋に改称し、虎焼を考案したといわれています。
また、初代の高田宗樹が寅年生まれだったことも理由のひとつでした。
その後、福山藩主が阿部家に代わっても虎屋は福山藩の御用菓子司をつとめました。
現代になり、昭和20年(1945年)には福山大空襲で被災してしまいます。
十四代当主・銀一の手によって菓子業を再開し、復興しました。
その後、昭和40年(1965年)から洋菓子の取扱を開始し、平成2年(1990年)には現在地である曙町への本店・工場の移転などをおこなって現在に至っています。
十六代当主・高田信吾さんが2003年より販売を始めた「そっくりスイーツ」シリーズは全国的に話題になり、多数のメディアに登場し、高い評価を得ました。
虎屋は江戸時代初期より続く老舗でありながら、まったく新しい菓子づくりに挑戦しています。
なお2021年(令和3年)5月には、代表取締役社長・十七代当主に高田海道(かいどう)さんが就任しました。
虎屋の歴史の詳細は、公式サイトの「虎屋の歴史」のページを参考にしてください。
虎屋の商品
価格は消費税込。令和3年(2021年)11月時点の情報

虎屋では和菓子から洋菓子まで、とても多くの商品をラインナップしています。
江戸時代から続く「とんど饅頭」「虎焼」と、話題になった「そっくりスイーツ」シリーズが看板商品です。

通年販売されている、おもなそっくりスイーツは以下のとおり。
- たこ焼きにしか見えないシュークリーム
- お好み焼きそっくりなマロンケーキ
- お好み焼きそっくりなチョコレートケーキ
- ざるそばそっくりなモンブラン
- うな重そっくりなミルフィーユ
- コロッケそっくりなレアチーズケーキ
- チョコっと餃子
- てまり寿司
このほか、期間限定のものもあります。
虎屋では、主要商品以外にもたくさんラインナップ。
柑橘(かんきつ)栽培が盛んな瀬戸内にちなんだ「はっさく大福」や「老舗の広島れもんけーき」も好評です。

いろいろな味がそろった洋風どら焼きの「虎ちゃん」、地元・福山にちなんだ「とんど栗」「ばらの詩」「福の月」などもあります。

またインターネット通販では、渋皮栗と栗きんとんの棹菓子(さおがし)の「備後御栗利休(びんご おんくり りきゅう)」や「虎屋の半熟チーズかすてら」なども人気です。

「老舗のバターケーキ エピ」は女性に好評の隠れた人気商品です。

バタークリームとアプリコットジャムを、パイで挟んでいます。
商品ラインナップの詳細については、虎屋の公式サイトを見てください。
なお公式サイトでは、オンライン販売もしています。
虎屋の人気商品を紹介
虎屋の人気商品のなかから、江戸時代からの伝統銘菓「とんど饅頭」と「虎焼」を紹介します。
また話題の「そっくりスイーツ」のなかから、観光庁の全国お土産グランプリを獲得した「たこ焼きにしか見えないシュークリーム」「てまり寿司」も紹介。
さらに虎屋の商品のなかで人気上昇中だという「はっさく大福」も紹介します。
「とんど饅頭」は福山城・福山の町と同じ歴史がある伝統銘菓

「とんど饅頭」は虎屋の代表商品のひとつです。
江戸時代初期に福山城築城の祝いの席に献上され、福山藩主・水野勝成が直々に命名した、歴史ある伝統菓子です。
昭和30年(1955年)には、全国菓子博覧会で名誉総裁賞を受賞しました。

とんど饅頭は虎屋の歴史、福山の歴史とほぼ同じ歴史があります。
福山の歴史とともに歩んできたとんど饅頭を、福山のお土産にぜひどうぞ。
とんど饅頭は、直径4センチメートル、高さ3センチメートルほどのドーム状の焼饅頭です。

ベージュ色の生地は薄く、中には白餡(手亡餡)がたっぷりと詰まっています。
白餡はしっとりとした舌触りで、アッサリとした上品な甘さです。

さらに白餡の中には砕かれた白小豆が混じっており、ときおりホクホクとした白小豆の食感がしてアクセントになります。
とんど饅頭は素朴な味わいで食べやすく、一口サイズで個包装もされており、しかも長い歴史があります。
お土産に最適なお菓子ではないでしょうか。

とんど饅頭は、4個入で320円から販売。
ただし4個入は店頭販売のみで、通信販売では8個入 750円から販売しています。
詳細は、公式サイトの「とんど饅頭・とんど栗」のページを見てください。
「虎焼」は江戸時代からの銘菓で、バリエーションも魅力

「虎焼(とらやき)」も虎屋の人気商品で、歴史ある銘菓です。
江戸時代中期の寛延3年(1750年)に八代当主 高田助四朗(たかた すけしろう)によってつくられて以来、現在まで虎屋の看板商品として販売されています。

寅年のときには、虎焼の売上が増加するんです。
とくに寅年の年始には、とてもよく売れます。
虎焼は名前のとおり、トラのしま模様のような焦げ目がついたどら焼きです。

虎焼の直径は約8センチメートル、厚さ約3センチメートルの円盤状をしています。
表面は薄黄色の生地で、キツネ色の焦げ目。
まさにトラのしま模様のようです。
2枚の生地のあいだには、はみ出さんばかりの粒餡がタップリ挟まれています。

虎焼を食べると、生地はフンワリとしていて、中の粒餡はシットリ。

虎焼の生地には、アカシア蜂蜜(ハチミツ)と新鮮な広島県産の卵を使っています。
粒餡に使っているのは、厳選した北海道産小豆です。
毎朝、熟練の職人が気候と豆の状況を見ながらつくり上げています。
粒餡らしいシッカリとした甘さが口いっぱいに広がっていきました。
粒餡の中には小豆の粒がたくさん入っていて、小豆のシャリシャリとした食感が楽しめます。

虎焼はバラ売りで1個 140円から販売されているほか、セット売りでは5個入 810円から販売。
なおバラ売りは店頭販売のみです。
詳細は、公式サイトの「虎焼 (粒餡)」のページを見てください。
なお虎焼には基本の粒餡だけでなく、さまざまなバリエーションがあるのも魅力です。

虎焼のおもなバリエーションは、以下のとおり。
- 虎焼(粒餡)
- 大人の虎焼(コーヒー風味)
- 抹茶虎焼
- 桜虎焼
- はっさく虎焼
- いちじく虎焼
- 瀬戸内レモン虎焼
- 柚子虎焼
季節ごとの風味が楽しめるのも虎焼の魅力です。
なお、粒餡と大人の虎焼、抹茶虎焼は通年販売されています。
「たこ焼きにしか見えないシュークリーム」はそっくりスイーツで一番人気

平成15年(2003年)に販売されて話題になり、虎屋の代表商品のひとつになったのが「そっくりスイーツ」シリーズ。
その第1弾として発売され、現在ではそっくりスイーツの一番人気となっているのが「たこ焼きにしか見えないシュークリーム」(8個入 740円)です。
箱から取り出すと、どう見てもたこ焼きにしか見えません。

入れ物もタコ焼き風です。
たこ焼きにしか見えないシュークリームは、直径約3.5センチメートルの球状。
大きさも、本物のタコ焼きとほぼ同じサイズです。

生地の質感も見事に本物のタコ焼きと迷うほど。
ソースはチョコレートで、解け具合やテカり具合が絶妙です。
これもまた、本物のソースっぽい見た目。
青海苔は抹茶の粉で、カツオ節はチョコレートをスライスしたものがかけられていました。
爪楊枝(ツマヨウジ)が付属しており、刺してつまみ上げると、まさにタコ焼き。

たこ焼きにしか見えないシュークリームを食べると、皮はシュークリームの皮の風味がします。
そして中にはタップリとカスタードクリームが詰まっています。

トロッとした舌触りで、マッタリとした上品な甘味のクリームです。
そこにソース代わりのチョコレートの甘味が包み込んできて、絶妙においしい。
最初に一口食べたとき一瞬頭が混乱しますが、シュークリームと認識した瞬間に一気においしさが広がっていく感じがしました。
「てまり寿司」は和菓子の技術を生かしたそっくりスイーツ

「てまり寿司」(8貫入 2,500円)は、そっくりスイーツのひとつです。
名前のとおり、てまり寿司を模したお菓子です。
本物そっくりで、しかもかわいらしい見た目が印象に残ります。
入れ物にもこだわっており、なんと竹籠の容器に入っているのです。
てまり寿司は、和菓子の技術を生かしてつくられています。
寿司ネタと元になっている菓子は、 以下のとおり。
- イカ:練菓子に艶寒天を塗ったもの
- マグロ(赤身):羊羹(ようかん)を赤ワインとあわせたもの
- サバ:包丁で切り分け炙った練切(ねりきり)
- エビ:白練切と橙練切
- ウニ:布通しした練切
- 玉子:玉子は練切、海苔は本練羊羹
- タコ:タコの切り身の形に造形した練菓子
- イクラ:イクラはタピオカの蜜漬け、海苔は本練羊羹
酢飯は、広島県産のレモンを手亡餡に練り込んだレモン餡をわらび餅でくるんでいます。
食べるとプルルンとした表面の食感とのほのかな甘さ、中のレモン餡のシットリとした舌触りとさわやかな甘酸っぱさが広がりました。

上品な甘さのネタとの相性がバッチリです。
ちなみにワサビは抹茶餡、醤油はカラメルソースでした。
細部にまでこだわったてまり寿司は高い評価を得、2016年に観光庁の全国お土産グランプリを受賞しています。
「はっさく大福」は虎屋でリピート率ナンバー・ワンの商品

「はっさく大福」は、名前のとおりハッサクを詰め込んだ大福です。
口コミでじょじょに人気が出て、今でははっさく大福は虎屋で一番リピート率の高い商品に成長しました。
直径5センチメートル、高さ3.5センチメートルくらいの大きさのドーム型をしています。
生地は非常に薄く、中のハッサクがうっすらと見えました。
食べると、とても柔らかで、モチモチ。
中には白餡が入っていました。
滑らかでシットリとした舌触りで、アッサリとした控えめな甘さです。

白餡の中にはハッサクの実が入っています。
シャキシャキとした食感とあふれるみずみずしい果汁、ほどよいさわやかな甘酸っぱさとほのかな苦味が、白餡の甘さとのバランスが絶妙で、スッキリとした味わいです。

こだわりは、生地と白餡をとにかく柔らかくしていること。
大福の形を成すギリギリのところまで柔らかくしました。
日本一おいしいはっさく大福だと思います!
虎屋では、時季限定でいちご大福や栗大福もあり、好評です。
なお、はっさく大福は通年で販売しています。
はっさく大福は、バラ売りが1個 200円。
セット売りは、8個入 1,710円から販売しています。
なお、バラ売りは店頭販売のみです。
詳細については、公式サイトの「はっさく大福」のページを見てください。
江戸時代から続く老舗で、長い歴史のある商品を守りながら、そっくりスイーツなど新たな挑戦を続ける虎屋本舗。
そっくりスイーツの生みの親でもある代表取締役会長・高田信吾(たかた しんご)さんに話を聞きました。
虎屋本舗 (本店)のデータ

名前 | 虎屋本舗 (本店) |
---|---|
住所 | 広島県福山市曙町1丁目11-18 |
電話番号 | 084-954-7455 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 平日:午前8時30分〜午後7時 日曜日:午前8時30分〜午後6時 |
定休日 | 元日 |
支払い方法 |
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