アトリエフィーカ講師 前田和子さんにインタビュー

「休憩しましょうか」
講師の前田和子さんがお茶を入れてくれたのは約3時間の作業中、2回。アトリエ名の「fika」らしく「甘いものとコーヒーで休憩を」取りながらの体験教室となりました。
「ちょうど庭のブルーベリーが採れたから、スムージーもできますよ」
友人をもてなすように気さくに飲み物を用意してくれる前田さんに、彫金との出会いや教室のことを聞きました。
彫金歴は?
前田(敬称略)
30年ほどですね。
1996年か1997年だったと思います。札幌の放送局に勤めていた頃に取材で札幌から500kmくらい離れた釧路市阿寒町へ、木工作家の人を訪ねたことがあったんです。
個展をしているという森の中のかわいい喫茶店へ行ったら、お目当ての木工作家さんは留守。代わりに妖精のように座って個展を開いていたのが、彫金作家の鴨下蓉子(かもした ようこ)さんでした。
こんな世界が世の中にあったのかと、一瞬で心を奪われました。
いろいろお話を聞いてみると、工房は札幌にあるというんです。「えっ、私も札幌です、行きます!」。
それから3年くらい、暇さえあれば鴨下さんのところに通って彫金を学びました。

札幌から500kmも離れて、その日、そのとき、その場所で出会ったというのは不思議な縁ですね。
前田
そうですね。放送局の仕事は忙しくて頭が休まるときがなかったのですが、彫金の時間が本当に楽しくて。
そのうち、私のようになんとなく人生に疲れた人とかちょっと気持ちを落ち着けたいと思っている人に、彫金に向き合う時間を提供する場所を作りたいと思うようになりました。
それで、放送局を辞めて専門学校に入ったんです。29歳のときでした。
大きな転機ですね。
前田
ええ。自分が作家活動をするというよりも、彫金を楽しむ時間をいろいろな人に提供できる教室をしたかったので、技術と教えかたを学ぶ必要があったんです。
本当はジュエリーの本場であるイギリスに留学したかったのですが、いろいろな事情があって東京の専門学校を選びました。
その後、尾道に移住し、息子が幼稚園に通い始めたのをきっかけに家を建てて工房を作りました。漆喰の材料となる海藻を北海道から取り寄せ、自分で壁を塗ったんですよ。

今は、ご自身の作品も作るのですか。
前田
そうですね。企画展をするときには、作品を作って販売することもあります。
2025年9月には、教室の生徒さんたちの展示会を尾道市のBank(まちなか文化交流館)で開き、私もわらべうたの世界をシルバーで表現した作品を出展しました。
ステンドグラスの作家さんや、陶芸作家さんと、コラボレーション作品を作ることもあります。相談しながら作品を作り上げる過程が、楽しいんです。

今、教室の生徒さんは何人くらい?
前田
定期的に通ってくださっているのは、25人くらいですね。
子どもさんの絵を作品にする人、集めた宝石を引き立たせる作品を作る人など、皆さん、個性的な作品を作っていますよ。
生徒さんたちは、「先生!一緒にランチしましょう!」って私を連れ出してくれます。教室だけではないつながりが、楽しいですね。
体験でもいろいろな人が来られますよ。海外の人が刻印を失敗したときに、やり直しますかって聞いたら「いや、僕は完璧な人間じゃないので、こういう失敗が愛おしいんだ。このままでいいよ」と言われたんです。そういう考え方もあるのか!と印象に残りました。
とにかく楽しい!無心になれる場所

彫金体験の感想は、とにかく楽しい!
日々の忙しい仕事や山のような家事のことはひとまず頭の片隅に押しやって、ただひたすらに彫金に向き合う時間を過ごすことで、気持ちがスッキリしました。
そして、できた作品を身につけると、またニマニマしてしまいます。
アトリエフィーカは、前田さんが目指した通りの、人生に疲れた人や、少し気持ちを落ち着けたいと思っている人が、違う時間を過ごせる場所でした。
さあ、Ska vi fika?(スカ ヴィ フィーカ?)
フィーカしませんか?
atelier fika(アトリエフィーカ)のデータ

名前 | atelier fika(アトリエフィーカ) |
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所在地 | 尾道市向東町3238 |
電話番号 | 090-6346-7683 |
駐車場 | あり 2台まで |
営業時間 | 午前10時から/午後1時30分から |
定休日 | 不定休 各曜日 月1~2回ずつ営業 |
利用料(税込) | 体験料 4,400円(税込 地金代別途) 2回目以降単発 3,000円 月1教室 2,500円 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 可 要予約(1名から3名まで) InstagramのDMより、氏名・人数・希望日時第3希望まで・連絡先を明記して予約 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | |
バリアフリー | |
ホームページ | atelier fika ちいさな金工室 |