備後とことこ 福山・尾道・笠岡をもっと好きになる
Dasitosu -出汁と酢。- 〜 新開エリアの入り口で町を見守る、豆皿料理の居酒屋

Dasitosu -出汁と酢。- 〜 新開エリアの入り口で町を見守る、豆皿料理の居酒屋

食べとこ / 2023.02.10

「Dasitosu -出汁と酢。-」の店長・堀田健司さんにインタビュー

堀田店長が尾道と出会うまでの紆余曲折

鹿児島県出身という堀田店長。どのような経緯で尾道へ?

堀田(敬称略)

大学を卒業するまで鹿児島で暮らしていましたが、就職を機に上京。

神奈川にあった家庭用品の問屋で働き始めたんですが、なんとその会社が入社3か月で倒産してしまったんですよ(苦笑)

それはキツイ……。新卒で、前途洋洋な未来に歩き出したと思いきや、ですね。

堀田

ですよねぇ。

でも翌年の新卒採用に挑戦しようと思って、某大手チェーンの居酒屋でアルバイトを始めたところ、これが性に合っていたのか、社員→店長→西日本エリアの係長と上り詰めてしまいまして。

それで広島県に転勤することになったんです。

倒産のエピソードから一転!まるでシンデレラストーリーですね!

堀田

あはは。ひも解くと、それが広島との出会いですね。

でも、そこまで頑張ってはきたものの、しだいに「自分の店を持ちたい」と思うようになって。

それで居酒屋チェーン店を退職することにして、広島市内でそのままアメリカン雑貨の店を開業しました。

そのときに縁あって出会ったのが、山根さん(いっとくグループ社長)です。

28歳くらいのことでしたね。

雑貨屋時代に山根社長と出会っていたのですね……!

堀田

今のいっとくグループは飲食店がメイン事業となっていますが、もとは尾道生まれ・尾道育ちの山根さんが営んでいた古着屋「USED SHOPいっとく」が前身です。

山根さんと一緒に飲みに行ったことを機に、同業者同士で一緒に雑貨の買い付けに行くなどして交流を深めました。

その頃ですね。尾道に連れていってもらって、新開で飲むようになって、この町に憧れて。それが僕の原点です。

そうしたご縁に導かれて、いっとくグループに入ることになったんですね。

堀田

うんうん、もう24年ほど前になりますね。

直営のグループ店などを経て、飲食店の経営やまちづくり、イベントに携わってきました。

そして「SINGAI CABIN」「出汁と酢」をオープンすることになり、店長職に手を挙げたことで今につながっているんです。

飲食店だけではない価値を目指して。新開という町への想い

この建物はもともと何かのお店だったのでしょうか。

堀田

1階はたばこ屋とお好み焼き屋が入っていて、2〜3階は大家さんの住居でした。

いっとくグループでこのビルを購入して、1階を居酒屋、1〜3階をゲストハウスという今の形にリノベーションしました。

堀田

いっとくグループでは、新開での過ごし方として「クウネルアソブ」という理想を掲げていて。

要は町宿の機能を作ることで、このディープな新開という歓楽街を、余すことなく楽しんでほしい。

「食う」「寝る」「遊ぶ」を充実させた尾道滞在を実現するため、ゲストハウスの事業をスタートさせたんです。

まずは2018年、新開の古民家を改装したゲストハウス「SIMA inn」をオープン。

続く2019年にはこの「出汁と酢」のビルに「SINGAI CABIN」がオープン、そしてこの「出汁と酢」は翌年2020年にスタートしました。

怒涛(どとう)の開店ラッシュですね。

堀田

そうですね。やってみてあれこれ考えて、グループ店で切磋琢磨したり足りない部分を補い合ったりしています。

たとえば、いっとくグループが最初にオープンした「SIMA inn」は個室タイプのゲストハウスでした。

それを経て、旅人が一人でも訪れやすいようにと作ったのが、ドミトリータイプをメインとした「SINGAI CABIN」です。

国内の旅行者も、海外からの観光客も、お金のない学生も、みんなでワイワイと過ごしてもらいたくて、「出汁と酢」のフロアには宿泊者専用の談話室もあります。

一人でふらっとやってきて、ここで思い出を作って帰ってもらえたらうれしいですね。

1階にある「SINGAI CABIN」の談話室。昭和レトロなおもちゃの数々や雑誌が並び、宿泊客の憩いの場となっている。
1階にある「SINGAI CABIN」の談話室。昭和レトロなおもちゃの数々や雑誌が並び、宿泊客の憩いの場となっている。

この開店ラッシュからも、いっとくグループの山根社長や堀田店長が寄せる新開という町への想いの大きさが伝わってきます。

堀田

尾道の景色って、変わらずにそこにあるのに、同じ道を歩いていても楽しいというか、いつも発見があっておもしろいですよね。

細い路地に迷い込んでみたら知らない広場に出たり、はたまたいつもの道につながっていたり、余白がたくさんある。

一方で、高齢化による過疎化は深刻さを極め、地域に愛されていた居酒屋が後継者を見つけられずに、やむを得なくのれんを下ろす……そんな寂しい瞬間も見てきました。

大それたことを言っているのかもしれませんが、「町をもう一度元気にしたい」――その想いは、僕だけでなくグループ全員が共有していると思います。

お客さんとのストーリーを大切にできる店へ

「出汁と酢」はそのコンセプトやおいしい料理、酒、堀田店長の人柄もあわせて、すでに新開を代表する人気店ですよね。今後の展望を教えてください。

堀田

またまた〜!お上手ですね(笑)

現在一人で「出汁と酢」の店長、「SINGAI CABIN」の宿主を担っているため忙しく、仕込みや料理にも時間がかかってしまっているのが課題です。

堀田

店が忙しいときは、黙々と料理を作ってお出しするなんていう状況も多々あって……。

もっと新開や尾道造酢について紹介するなど、この場でお客さんとコミュニケーションを取る余裕や仕組みを作ろうと模索しているところです。

観光客はもちろん地元の人も含め、訪れてくれたお客さん一人ひとりとのストーリーを大切に。

これからも新開の「出会いと再会の店」でありたいと思っています

おわりに

新開で飲んでいると、次のお店に行こうと外に出たタイミングで知り合いとバッタリ、なんてこともよくあって、そんな流れで合流しちゃったり、酔いのテンションで新しいお店を見つけちゃったり。

はしご酒の文化ってなんて楽しいんだろう、と思わせてくれます。

「出汁と酢」は2020年にオープンと新開の中では比較的新しい居酒屋ですが、筆者の周りにもファンが多く、すでに多くの人に親しまれていることがわかりました。

いっときは廃れていくのを待つばかりだったかもしれないこの新開エリア。

しかし古くからの老舗店をはじめ、この町のためにと立ち上がる新規店も少しずつ増え始め、徐々に活気を取り戻しているように感じます。

はしご酒のスタート地点であり、また帰ってきたい出会いと再会の店。

ぜひ「出汁と酢」を皮切りに、新開で食べて、飲んで、遊んでみてください。

Dasitosu -出汁と酢。-のデータ

出汁と酢の外観
名前Dasitosu -出汁と酢。-
住所広島県尾道市久保2-9-1
電話番号0848-38-1809
駐車場なし
営業時間午後5時〜午後11時
定休日
月2回不定休あり
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • PayPay
予約の可否
座席カウンター:12席
タバコ
トイレ
子育て
バリアフリー
ホームページ尾道・福山の飲食店グループ【尾道いっとく】
Ads by Google
アンドウミク

アンドウミク

2021年2月に東京から移住した尾道在住ライターです。食べることとお酒が大好きで、尾道を中心においしいお店を探して歩きまわる日々。移住者目線を大切に、地域の人が知らなかったような魅力にもフォーカスして発信します。

はれとこからのお知らせ

一般社団法人はれとこは「とことこシリーズ」を中心に、地域の情報発信を担う「市民ライター」育成などの活動をおこなっています。

  • 高梁川流域ライター塾
  • 倉敷市民レポーター教室
  • FMくらしき「倉敷とことこ」
  • 寄付募集
出汁と酢の堀田店長

この記事が気に入ったら

最新情報をお届けします。

  • ホーム
  • 食べとこ
  • Dasitosu -出汁と酢。- 〜 新開エリアの入り口で町を見守る、豆皿料理の居酒屋