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diportoの代表・髙田 弥代さんへインタビュー

ネイルサロンから始まり、レンタルスペースやシェアキッチン、イベント企画、アピアランスケア商品として注目されるターボウ(turbou)など、さまざまな事業を展開するdiporto(ディポルト)合同会社。
代表の髙田弥代(たかた みつよ)さんへインタビューをしました。
始まりは自宅で始めたネイルサロン

開業の経緯を教えてほしい。
髙田(敬称略)
もともとネイルの仕事をしていたわけではありません。前職はアパレル関係で、ネイルはお客として利用する側でした。
出産後、育児をしながらできる仕事を考えたときに、自宅でもできるネイルサロンに魅力を感じたのです。
また、私はものづくりが好きで、前からアクセサリーのハンドメイドなどもしていました。だから細かい作業は得意だったので、向いていると感じたんです。
こうして2011年、自宅を店舗にしてネイルサロン「diporto」をオープンしました。
やがてお客様が増加したため、スタッフを増員して新規店舗の出店を決め、2020年6月に法人を設立。新たな店舗を市内の南蔵王町にオープンしました。
レンタルスペース、シェアキッチン、イベント開催など事業を拡大

レンタルスペースの事業など、ほかの事業はどのような経緯で始めたのか。
髙田
南蔵王のネイルサロンの建物は、もともと印刷工場の跡地でした。そのためネイルサロンで使用するには、かなり広かったのです。
そこで一部をネイルサロンとし、残りの部分をほかの事業に使おうと考えました。
南蔵王店の出店時は、ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行しているとき。体育館など公共スペースが使用できず、ダンスやヨガのレッスンができなくて困っているという声を聞いたのです。
そこで空きスペースを、レンタルスペース事業にしようと考えました。
ダンスやヨガがしやすいよう、大型境やBluetoothを完備。コロナ禍である状況を考慮して、利用手続きをデジタル化し、非対面で入退出作業ができるようにました。
面積が82平方メートルもあるので、ソーシャル・ディスタンスの保持もできます。
ダンスやヨガのレッスンなどに利用されるかたから、非常に助かったとの感想をいただきました。おかげさまで、コロナ禍以降も利用されるかたが多いです。

イベントの企画や開催を始めたきっかけは?
髙田
イベント開催を始めたきっかけも、コロナ禍でした。
コロナ禍でさまざまなイベントが中止になり、残念な声が多く聞かれました。そこで、マルシェイベントの開催を考えたのです。とはいえ、コロナ禍でイベントをすることには、かなり悩みました。
しかしイベントを楽しみにしている声を受けて、開催を決意。開催した結果、イベントに来場されたかたから喜びの声をたくさん聞けたので、やって良かったと感じました。
その後もイベントの企画・開催はしています。2022年よりiti SETOUCHI(イチ・セトウチ)でおこなっているマルシェイベント「deporto iti(ディポルト・イチ)」はおかげさまで大変好評でして、2025年6月現在で4度開催しました。

シェアキッチンも始めたのは、なぜ?
髙田
シェアキッチンの「余白-yohaku-(よはく)」は、宝石・貴金属店「エルドー」の2階にあります。ここには、もともとカフェがありました。
カフェが撤退したあと、知人からエルドーの2階が空いているから使わないかと紹介されたのです。
実は南蔵王のレンタルスタジオ diportoで、パーティーのような飲食を伴うイベントをやりたいという問い合わせを多くもらっていました。
しかしレンタルスタジオ diportoには厨房設備がなく、飲食営業許可など必要な許可も受けていないので、お断りしていたのです。
エルドーの2階のスペースは元カフェなので、厨房設備があります。ここなら飲食を伴う要望を叶えられると思いました。そこから考えを発展させて、シェアキッチンとして新事業をやろうと決意したのです。
こうして2023年(令和5年)に余白-yohaku-がオープンしました。
余白-yohaku-で試験的に営業を開始し、軌道に乗ったところで独立して店を持ったかたもおります。
2025年(令和7年)には店内の一部スペースを使って、ネイルサロンの新店舗「Ricco(リーコ)」もオープンしました。
友人の悩みがきっかけで生まれた独自のヘアアクセサリー「ターボウ」

ターボウはどのようなきっかけで開発されたのか。
髙田
ターボウをつくったのは、2021年(令和3年)です。きっかけは、友人が病気の影響によって脱毛したことでした。
もともと私はターバンが好きで、日常的によく装着していたんです。友人が私のターバンを見て、それを頭に付けたいと話しました。
そのとき当時の脱毛をカバーする目的の装飾品には、機能性がいまいちだったり、ファッション性が劣っていたりするものが多いことに気付いたのです。
ターバンは取り回しが良いうえ、アレンジ性が高く、ファッション性もありました。さらに吸水性・通気性が良いのも利点です。しかも脱毛から回復しても、通常のファッションアイテムとしても活用でき、長い期間使えるのもメリットだと思います。
そこで、友人に合ったオリジナルのターバンをつくろうと考えました。試行錯誤を重ねてたどり着いたのが、ターバンと帽子を掛け合わせ、ターバン風・帽子風の2ウェイで利用できるもの。
アジャスターを付けて、ウィッグあり・なしのどちらでも対応できるようにもしました。もともと縫製企業と知り合いでして、力をお借りできることになり、ターボウが完成したのです。
ターバン+帽子で「ターボウ」と名付けました。
せっかくターボウというものができたので、弊社が開催しているマルシェイベントに出してみたのです。すると、お客様にファッションアイテムとして好評でして。手応えを感じたので、新規事業として開始することにしたのです。

ターボウに関するさまざまな活動もしているのは、なぜ?
髙田
ターボウの手応えを感じるとともに、全国の脱毛で困っている人に、ターボウを知ってもらいたい、ターボウを届けたいと思うようになりました。
2022年(令和4年)に知人からの助言で、クラウドファンディングを活用することにしたのです。そして集まった資金で、全国の必要としているかたがたへターボウをお届けできました。
さらに同年には「福山ブランド」に認定され、より認知が広がったと思います。
また福山らしい商品もつくろうということで、備後絣(びんごがすり)から着想を得た、藍染のオーガニックコットン製「ターボウ-藍-」を製作しました。
2023年(令和5年)には、製造工程で規格外となった布を使用した「ターボウ Reborn」を製作。2024年(令和6年)にはファッションブランドのビームス広島とコラボレーションした商品も製作しました。
アピアランスケア商品としてターボウの活用を推進

今後の展望や目標を知りたい。
髙田
今後、力を入れていたいのがアピアランスケア分野でのターボウの活用推進です。アピアランスケアとは、癌治療などによる外見変化に起因した身体的・心理的・社会的な困難を感じている人に対する支援を指します。
今までの活動を通じて、ターボウは毛髪に関するアピアランスケアの分野で、お役に立てる商品だと感じました。
そこで、特にファッションに関心が高いAYA世代(15〜30代)の患者をおもな対象とし、アピアランスケア製品としてターボウを知ってもらう活動を始めています。
2025年(令和7年)現在、福山市民病院や福山医療センターと提携しました。市民病院では、院内でターボウを販売。さらにターボウを寄贈させていただきました。
医療センターでは月に1度開催されるアピアランスケア相談会で、ターボウの試着会をさせてもらっています。
福山市内のほかの病院とのお話もあります。さらにご縁があって浜松市(静岡県)の病院とのお話もありました。そのほか、県外各地でポップアップストアーを出す話をいただくなどしています。
ターボウを試着したかたが、みなさん素敵な笑顔を見せてくれるんです。それがとてもうれしくて。
もっと必要としているかたがたにターボウを届けて、笑顔を増やしていくのが目標ですね。
ターボウなどの事業で豊かな社会に向けて貢献するdiporto

ネイルサロンやレンタルスペース、シェアキッチン、イベント、ターボウ。diportoは、多岐にわたる事業を展開しています。
髙田代表は「どの事業にも人とのつながりや対話を大切にし、人と豊かさをつなぐ架け橋になることが共通事項であり、豊かな社会実現へ向けて貢献したい」だと話しました。
アピアランスケア商品として普及に力を入れているターボウをはじめとした、diportoの取組に注目です。
diporto(ディポルト)合同会社のデータ

団体名 | diporto(ディポルト)合同会社 |
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業種 | サービス業、製造業、小売業ほか |
代表者名 | 髙田 弥代 |
設立年 | 2020年 |
住所 | 広島県福山市南蔵王町五丁目14-25 |
電話番号 | 084-994-0629 |
営業時間 | |
休業日 | |
ホームページ | diporto llc | ディポルト合同会社 |