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味処 栄清丸 〜 笠岡近海でとれる季節の海の幸を堪能!地元ならではの海鮮料理が楽しめる居酒屋。こだわりの日本酒にも注目

味処 栄清丸 〜 笠岡近海でとれる季節の海の幸を堪能!地元ならではの海鮮料理が楽しめる居酒屋。こだわりの日本酒にも注目

食べとこ / 2020.12.13

栄清丸の店主・大橋央さんへインタビュー

栄清丸:店主 大橋央さん

笠岡の季節ごとの「地元の味」が楽しめる味処 栄清丸 (えいせいまる)。

店主の大橋 央 (おおはし ひさし)さんへインタビュー。

創業のエピソードや季節のおすすめ食材・料理、日本酒への思い、今後の展望などの話を聞きました。

起源は明治期の海運業。大衆食堂を経て居酒屋へ転業

栄清丸:笠岡駅北口ロータリー 旧店舗があった場所
かつて店舗があった、笠岡駅前ロータリーの時計台(写真中央)。左に見えるのが現店舗。
まず、開業の経緯を知りたい。

大橋 (敬称略)
当店の起源は、明治時代後半にさかのぼります。

最初は海運業として創業されました。
その少しあとに、海運業をしながら笠岡駅前で大衆食堂を始めたんです。

この食堂が「栄清丸」という店名でした。
栄清丸は、海運業で使っていた船の名前から取っています。

やがて海運業はやめ、大衆食堂に専念するようになりました。

栄清丸:昭和29年の冊子にあった広告
1954年(昭和29年)発行の冊子に残る、当時の栄清丸の広告。

しだいに業態も変わっていき、昼は大衆食堂、夜は居酒屋として営業するようになったんです。

そして、2000年代中ごろに居酒屋専業になりました。

ちなみに最初に店があったのは、現在の笠岡駅前ロータリーの時計台があるあたり。

区画整理で、現在の場所に移転しました。

なお、創業したのは私の曾々祖父。
曾祖父・祖父・父を経て、私で五代目になります。

自然と跡を継いだが、嫌になったことも……

栄清丸:店主 大橋央さん
歴史がある店だが、店を継ぐのは嫌ではなかった?

大橋
正直、小さいころから祖父母や両親が栄清丸をやっていたのを見ていたので、跡を継ぐのは自然な流れでした。

しかし実際に料理の世界で働いてみると、いろいろ大変な面がありましたね。

最初は修業のため親の知人の店などで働きましたが、途中で嫌になって逃げ出したくなったこともあります。

そんなこともありながら、少しずつ料理を楽しめるようになっていきました。

今でも懇意にさせてもらっている店もあって、その店に客としてお邪魔したりします。

いろいろ料理の話をしながら、料理のヒントをもらったり、アドバイスをいただいたりしていますよ。

時季ごとにおすすめの海の幸が楽しめる

栄清丸:穴子のタレ焼
穴子のタレ焼
毎月メニューが変わると聞いたが、それぞれおすすめの食材や料理を教えてほしい。

大橋
当店は、7〜8割は笠岡沖・笠岡近海で獲れた海鮮を使います。

まず、春におすすめなのが「サクラダイ(桜鯛)」です。

サクラダイは、獲れたらすぐ「神経締め」をしているものを入荷しています。
身がものすごくよく締まっているのが特徴です。

少し寝かせるとほどよい食感となって、味も一般のタイよりも数倍おいしいんですよ!

梅雨のころになると、「ハモ()」がおすすめですね。
ハモは秋まで楽しめますよ。

そして梅雨から夏にかけての時季、ほんのわずかな期間ですが「フカ()」が入荷します。
フカとは、サメ()のことですよ。

フカは、湯引きしたものをカラシ味噌で食べるのがおいしいんです!

フカの時季は予測できず、期間も本当に短いので、フカのあるときに来られたかたはラッキーですよ!
ぜひ、食べてみてほしいと思います。

夏場は「コチ()」がおすすめ。
マゴチ(真鯒)ですね。

あと夏は「タコ()」や「キス()」もおいしいですよ。

栄清丸:寄島牡蠣の天婦羅
寄島牡蠣の天婦羅
秋・冬のおすすめは?

大橋
秋は、「イカ(烏賊)」や「エビ(海老)」がおいしい時季ですね!

あと私はワタリカニオスが、身が締まっていて甘くて好きなんです。
秋は、ワタリカニのオスも食べてみてください!

冬は、なんといってもサワラ()と牡蠣(カキ)!

サワラは春によく獲れますが、実は冬の「寒ザワラ」が一番おいしいんですよ。

牡蠣は、当店では笠岡の隣・寄島の「寄島牡蠣」を使います。
プリッとした弾力で、濃厚な味わいです。

牡蠣は12月から2月終わり、または3月ごろまで楽しめます。

とくに3月あたりのシーズン終わりごろの牡蠣を、ぜひ食べてみてほしいです。
殻からはみ出るほど身が大きくて、味も濃厚なんですよ!

あとはワタリカニメスが、オスと入れ替わる形で冬に出てきます。
ワタリカニのメスは、内子(卵)が入っているので人気です。

海の幸に合う日本酒に親しんでほしい

栄清丸:奈良萬
奈良萬
日本酒へのこだわりを感じる。

大橋
当店は海鮮料理がメイン。
やっぱり、うちのメニューに合う飲み物は日本酒です!

それに日本酒は、日本の歴史や文化につながるもの。
日本に住んでいるのなら、少しでも日本酒を味わって、親しんでほしいと思っています。

とくに自慢なのは、入手しにくい山形県の銘柄・十四代があること。
これを目当てに当店に来るかたもいるんですよ。

ほかにも地元はもちろん、全国各地からこだわりの銘柄をいろいろそろえています。

日本酒 呑みくらべセット」も用意していますので、ぜひ当店でおいしい海の幸とともに日本酒のおいしさも楽しんでください。

カタツムリのように「地道に細く長く」をモットーに

栄清丸:店主 大橋央さん
最後に、今後の展望ややってみたいことがあれば聞きたい。

大橋
地道に細く長く」が、私の店を運営するモットーなんですよ。

「死んだときが、やめるとき」という気持ちですね。
ですから、そのやりかたを今後も続けていくのが目標でしょうか。

実はメニューは自分で書いていて、イラストも私が描いています。

イラストには、必ず小さなカタツムリの絵を入れるようにしているんです。

栄清丸:大橋さん直筆のメニューの挿絵
取材時のメニューに載るカタツムリ(右下)。

先ほどの「地道に細く長く」と、カタツムリの歩みを重ねてみました。

小さいイラストですが、当店に来てメニューを見たときに、カタツムリのイラストもチェックしてみてください(笑)。

栄清丸は笠岡近海のおいしい海鮮と日本酒が楽しめる店

栄清丸:暖簾

古くからの港町である笠岡は、海の幸が身近な地域です。

そんな笠岡ならではの、季節ごとの海鮮がいろいろ楽しめるのが栄清丸の魅力。

毎月メニューが変わり旬の食材が楽しめるので、店の近くに住んでいたら、ぜひとも毎月栄清丸に通いたいです。

栄清丸は笠岡市外からでもわざわざ足を運ぶ価値がある店だと思います。

栄清丸で、笠岡の季節の海鮮とこだわりの日本酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。

味処 栄清丸のデータ

栄清丸:外観
名前味処 栄清丸
住所岡山県笠岡市中央町33-4
電話番号0865-62-2763
駐車場なし
営業時間午後5時30分〜午後10時
定休日日、祝日
支払い方法
  • 現金
予約の可否
座席全35席
・カウンター:5脚
・6人がけテーブル席:1卓
・4人がけテーブル席:4卓
・小上がり4人がけ座敷:2卓

【新型コロナウィルス対策中は以下】
全27席
・カウンター:3脚
・3人がけテーブル席:2卓
・4人がけテーブル席:3卓
・小上がり3人がけ座敷:2卓
タバコ
トイレ
子育て原則として小学生以下の入店は断っている
バリアフリー・車椅子での入店可能
・トイレは車椅子非対応
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アサノ

フリーランスで活動するプロの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。カメラ片手に街を散策、あなたの知らない備後地方を切り取り、備後の奥深さを伝えます!

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栄清丸:サワラの塩タタキ

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