備後とことこ 福山・尾道・笠岡をもっと好きになる
入江豊三郎本店 〜 鞆名産・保命酒を醸造する明治19年創業の老舗。保命酒を使ったさまざまな商品も展開

入江豊三郎本店 〜 鞆名産・保命酒を醸造する明治19年創業の老舗。保命酒を使ったさまざまな商品も展開

知っとこ , 買っとこ / 2023.08.26

入江豊三郎本店の代表・入江里彩さんへインタビュー

入江里彩 代表取締役
入江里彩 代表取締役

昔ながらの製法で鞆名産の保命酒やみりんを製造・販売する有限会社 入江豊三郎本店

代表取締役の入江里彩いりえ りさ)さんに話を聞きました。

明治19年創業で130年以上の歴史

保命酒で香りづけし、仙酔島の海水塩や鯛ダシを使ったユズ風味の「鞆の浦らーめん」
保命酒で香りづけし、仙酔島の海水塩や鯛ダシを使ったユズ風味の「鞆の浦らーめん」

入江豊三郎本店の歴史を教えてほしい。

入江(敬称略)

保命酒自体の歴史は江戸時代初期にさかのぼりますが、入江豊三郎本店の創業は1886年明治19年)です。

創業から137年の歴史があります(2023年取材時点)。

もともと入江家は、讃岐国で商売をしていたようです。

初代の入江豊三郎が鞆の地へ移住し、保命酒やみりんの醸造業を始めました。

保命酒のほか、シナモン、ハチミツの風味も感じる「鞆の浦サイダー」
保命酒のほか、シナモン、ハチミツの風味も感じる「鞆の浦サイダー」

最初は現在の本店の少し南東、海寄りの場所にあったようです。

しかしその後、高潮の被害を受けて現在の蔵がある場所へ移転します。

また昭和初期に現在の本店の場所へ、弊社の商品を販売する小売店を開きました。

本店の建物は非常に古い町家で、過去にさまざまな商売人のかたが住み、商いをしていたそうです。

令和元年に七代目の代表に就任

入江豊三郎本店の3年熟成「手仕事本味醂」を使用した「煮込んでもおいしい絶品つゆ」
入江豊三郎本店の3年熟成「手仕事本味醂」を使用した「煮込んでもおいしい絶品つゆ」

入江里彩さんが代表となったのは?

入江

私が代表取締役になったのは、2019年(令和元年)です。

私は入江家の人間ですが、父の仕事の関係でパナマで生まれ、ブラジルでも過ごしたことがあります。

小学校のとき、鞆に住み始めました。

進学で上京し、卒業後は東京で働いていたんです。

2000年代以降、鞆の浦の観光客が増加するなか、親から「会社を手伝ってほしい」と呼び戻されました。

以降、入江豊三郎本店でさまざまな仕事を経験し、代表取締役に就任しました。

私で七代目になります。

植物性のみの薬味でつくられる飲みやすい入江豊三郎本店の保命酒

入江豊三郎本店:保命酒

入江豊三郎本店の保命酒の特徴・こだわりは?

入江

入江豊三郎本店の保命酒のもっとも大きな特徴は、使用する16種すべての薬味が、植物性のものであることです。

そのため香りが豊かで、スッキリとしたさわやかな味わいになっています。

クセの少ない、非常に飲みやすい保命酒なのが特徴です。

あとは創業時から続く、昔ながらの製法でいまもつくっていることもポイントですね。

原酒となるみりんの製造から、こだわっています。

やはりみりんがおいしくないと、保命酒がおいしくならないと思うからです。

入江豊三郎本店の本みりんシロップを使った「味醂ケーキ」
入江豊三郎本店の本みりんシロップを使った「味醂ケーキ」

みりんづくりで使う米は、厳選した広島県産のもの。

米麹は自社でつくっています。

弊社では地元のかたを中心に、みりんを愛用しているお客様が多いんです。

実は、売上は保命酒よりみりんのほうが多いほど。

みりんは、日常の料理に使うからだと思います。

保命酒の原酒はみりんですから、みりんがお客様に認められているのはうれしいですね。

保命酒を生かしてさまざまなコラボレーションを展開し、保命酒を身近な存在に

保命酒と酒粕、3種の薬草が入った「鞆の浦アイスクリン 保命酒味」(店頭販売限定)
保命酒と酒粕、3種の薬草が入った「鞆の浦アイスクリン 保命酒味」(店頭販売限定)

保命酒を使ったさまざまな商品を販売している。

入江

これは父である先々代のときから始まりました。

どうしても保命酒は、ご年配向けのイメージがありますから、もっと多くの世代に保命酒の存在を知ってほしいという思いから始めたものです。

弊社はあくまでも醸造所なので、それ以外の技術がありません。

しかし福山や、備後地方など周辺地域にはさまざまな会社があります

それらの会社とコラボレーションし、弊社の保命酒を使ったさまざまな商品を製造してもらいました。

保命酒は特有の甘い味わいがあります。

その保命酒の甘味などの風味が、いろいろな商品に生かせるのです。

少しずついろいろな企業様にお声がけさせていただき、保命酒を使った商品もかなり増えました。

福山名産のクワイや瀬戸内産レモンに、保命酒を隠し味に使った「くわいと鹿肉のレモンアヒージョ」
福山名産のクワイや瀬戸内産レモンに、保命酒を隠し味に使った「くわいと鹿肉のレモンアヒージョ」

保命酒関連商品で売れ筋は、保命酒のど飴と甘酒ですね。

おかげさまで甘酒と、保命酒を使った「鞆の浦らーめん」が福山ブランドに認定されるなど、結果も出てきました。

今後もさまざまなコラボレーションを通じ、保命酒を身近に感じてもらえるようにしていきたいです。

そうすれば、フッと「保命酒自体はどんなものだろう」と保命酒を手に取ってもらいやすくなるのかなと思います。

保命酒を通じて鞆の浦の魅力を発信

入江豊三郎本店:入江里彩 代表取締役

今後の展望ややってみたいことは?

入江

鞆の浦の名産品である保命酒・みりんの醸造を、これからも守って続けていくのはもちろんです。

それだけでなく、保命酒を通じて鞆の浦の魅力を発信していきたいですね。

2021年(令和3年)に、本店をリニューアルしました。

もともと古い町家ですが、それを生かし、建物自体も楽しめるようにしています。

商品の購入だけでなく、昔からある井戸や風呂、中庭、壁や柱などを見学できるようにしました。

店内で休憩ができるスペースも設けています。

入江豊三郎本店は「鞆町伝統的建造物群保存地区」の一部にあるので、昔ながらの建物自体も観光資源です。

保命酒をはじめとした商品だけでなく、建物やお客様とのふれ合いも通じて、鞆の浦の魅力を発信していくよう心がけています。

鞆名産の保命酒を製造する老舗・入江豊三郎本店

写真提供:入江豊三郎本店
写真提供:入江豊三郎本店

鞆の浦で江戸時代からつくられている名産の保命酒・みりん。

ぜひ一度手に取ってみてください。

また入江豊三郎本店では、保命酒を使ったさまざまな商品を販売しています。

どんな味がするのか気になりませんか。

保命酒を使った商品も、ぜひお試しください!

有限会社 入江豊三郎本店のデータ

入江豊三郎本店:外観
名前有限会社 入江豊三郎本店
住所【本店】広島県福山市鞆町鞆534
電話番号084-982-2013
駐車場あり
営業時間午前10時〜午後5時
定休日不定休
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・nanaco・PayPay・メルペイ・d払い・au PAY・楽天Edy
ホームページ保命酒の入江豊三郎本店|鞆の浦名産品
Ads by Google
アサノ

アサノ

フリーランスで活動するプロの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。カメラ片手に街を散策、あなたの知らない備後地方を切り取り、備後の奥深さを伝えます!

はれとこからのお知らせ

一般社団法人はれとこは「とことこシリーズ」を中心に、地域の情報発信を担う「市民ライター」育成などの活動をおこなっています。

  • 高梁川流域ライター塾
  • 倉敷市民レポーター教室
  • FMくらしき「倉敷とことこ」
  • 寄付募集
入江豊三郎本店:十六味保命酒

この記事が気に入ったら

最新情報をお届けします。

  • ホーム
  • 知っとこ
  • 入江豊三郎本店 〜 鞆名産・保命酒を醸造する明治19年創業の老舗。保命酒を使ったさまざまな商品も展開