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クリの文具 〜 向島の魅力を発信するフリー情報誌『Sima-sima』編集室でもある文具店

クリの文具 〜 向島の魅力を発信するフリー情報誌『Sima-sima』編集室でもある文具店

知っとこ / 2022.05.29

『Sima-sima』編集長&クリの文具店主の栗本綾子さんにインタビュー

クリの文具の栗本さん

私は尾道への移住前に『Sima-sima』を読んだことで、向島にあるお店や人の魅力を知りました。現在vol.8まで発行されている『Sima-sima』ですが、毎号どれくらいの部数を作っているんですか?

栗本(敬称略)

ありがとうございます!

『Sima-sima』創刊号は2,000部刷って、それ以降は年に1回、5,000部程度発行しています。

保管しておいて何度も読みたくなる冊子にするという想いと、途中、折らなくてもかばんに入れやすいサイズに変更しました。

『Sima-sima』はどこで手に入りますか?

栗本

取材させてもらったことのある向島の店舗や、尾道市街地側ではいっとくグループさんのお店に置かせてもらっています。

ときどき、向島から旅立つ人に託して、大阪や東京などにも置かせてもらうこともあります。

ありがたいことに「どこで手に入るの?」という問い合わせも多かったので、クリの文具に行けば『Sima-sima』が手に入るようここは「編集室」の役割も果たしています。

クリの文具

栗本さんと向島(むかいしま)の縁について教えてください。

栗本

私はもともと大阪で育ち、大阪の短大(国文科)を卒業しました。最初の就職先も関西です。

学生時代にバイト先で出会った彼(夫)の実家が向島だったので、24年ほど前に遊びに来たのが向島との出会いです。

その後、尾道への転居、結婚、出産を経て、約20年向島で暮らしています。

ただ愛媛の松山に祖母の家があったので、瀬戸内は小さい頃からよく船で行き来していましたよ。

父は実家で採れたみかんを売る果物屋を大阪でしていたので、私はみかん箱の中でよく遊んでいました。

瀬戸内海は私の原風景ですし、この環境は自分に合っていると感じます。

『Sima-sima』をすべて一人で制作していると聞いたときはとても驚いたのですが、デザインや取材、印刷物の発行などについてはどうやって学びましたか?

クリの文具

栗本

出版や印刷に興味があり、ご縁があったので、短大卒業後は製鉄所内の印刷物を制作する仕事に就きました。

製鉄所内で使用する印刷物や看板を作る部署があったんです。

それまでデザインの勉強をしてきたわけではありませんでしたが、ポスターやチラシを制作しながら実践的に修得しました。

好きに制作物を作らせてもらえる環境で、しかも社内のかたに喜んでもらえたので楽しかったです。

最初に勤めた会社でデザインをされていたのですね。

栗本

そうなんです。そして大阪から向島へ移り住むことになって、次は福山にある広告・印刷会社に就職し、本格的にデザインを学びました。

仕事は終電が当たり前になるほど忙しかったのですが、ここでの経験がすべて『Sima-sima』の制作に活きていると言っても過言ではないくらいさまざまなことを学びました。

広告・印刷会社って多忙なイメージです……。そのころの経験は、たとえばどんなことが今に活きていますか?

栗本

新聞の折り込みチラシから地域のフリーペーパーまでいろいろな制作物を作ってきたので、所在地を示すためのマップ作りは得意になりましたね。

また、まだ誌面の情報が入っていない状態のいわゆる”ダミーデザイン”もたくさん作ってきました。

ダミーデザインとは、誌面のイメージに合った仮の文章・写真を使ってそれらしく仮組みしておくものなんですが、『Sima-sima』の完成イメージを島の人に伝える際に、このダミーを作れるスキルはとても役立ちました。

フリー情報誌『Sima-sima』

『Sima-sima』は、最初からvol.2以降も発行しようと考えていたんですか?

栗本

創刊号の制作中に、今や向島の人気スポットとなった立花食堂さんやUSHIO CHOCOLATLさんがオープンしたんですが、誌面が埋まってしまって載せられなくて。

だったら次の号も作ろう。

そんな感じでvol.2以降も作ることになりました。

アイデア(企画)出しから発行までの流れを教えてください。

栗本

普段の生活のなかで感じたことや知った情報から一番伝えたいことを選び、そこに少しずつエッセンスを肉付けしていくようなイメージで作っています。

『Sima-sima』の良いところって、私自身がこの島で生活しながら作っていることだと思うんです。

クリの文具の栗本さん

栗本

企画が決まったら掲載したい場所1軒1軒に取材をお願いして、主婦業や仕事の合間に少しずつ取材を重ねています。

取材や執筆、デザインはほぼ同時進行で行なっていますね。

データが完成したら印刷所にお願いして刷ってもらい、完成です!

『Sima-sima』への想いを教えてください。

栗本

よく「観光用ですか?」と聞かれますがそうではなく、向島に住む人たちに「良いね!」って喜んでもらいたくて作り始めたのが最初です。

個人的にはとても良い島だと思っているのに、地元の人は「大阪みたいな都会からこんな何もない島へよく来たね〜」と言うんですよ。

「向島、めっちゃ良いところなのに」と、とても残念だったんです。

クリの文具

栗本

最初は「なんでそんなことするん?」なんて島の人から言われることも多くて、誰もが取材やこの取り組みをよしとしてくれるわけではありませんでした。

でもその都度、1回1回納得してもらいながら、ていねいにていねいに作ってきました。

『Sima-sima』の-(ハイフン)には、人やモノをつなげられる情報誌でありたいという想いを込めています。

『Sima-sima』の反響はいかがですか?

栗本

フリーペーパーなのでいわゆる“バズる”わけではないのですが、じわじわと反響はいただいていますね。

『Sima-sima』を頼りに向島観光に来てくれる人もいますし、「『Sima-sima』を読んで向島に住みたいと思いました」と言ってくださる人も増えました。

クリの文具の栗本さん

栗本

せっかく想いを込めて大切に作っているので、簡単にゴミになってしまうようなものではなくしっかりとした作りの冊子にしたいと思い、今の形になりました。

長く大事に取っておいてもらえたらうれしいですね。

今後の展望について教えてください。

栗本

区切りとして、vol.10まで発行することが今の目標です。

お話したように、これまでは企画・営業・取材・撮影・執筆・発行までずっとすべてをほぼ一人でやってきました。

自分が作りたかったものを自分が作りたいように作ってきたので、良い意味でも悪い意味でも私のカラーが濃いんですよ。

でも今後は、もっとほかの人を制作に巻き込んでいくのも面白いかなと思えるようになりました。

クリの文具の栗本さん

栗本

これまでもよく「法人化したら?」「補助金を申請したら?」「クラウドファンディングをやったら?」などのお声がけをいただくことがありました。

でも、“島の人が作る、島のための情報誌”にしたかったから、外部から支援を募るのは少し主旨がずれてしまう気がしていたんですよ。

ただ、この後のことは少し考え中です。

ありがたいことに向島に関するさまざまな問い合わせをいただくようになったこともあり、これからは法人化に向けても模索しているところです。

移住希望者に空き家を紹介する、空き家バンクのような取り組みも始められたと聞きました。

栗本

そうなんです。向島の情報がここに集約されていると思ってくださるかたからの問い合わせが、ここ数年でかなり増えました。

最初は島の人に向けて発行してきたフリー情報誌でしたが、縁あって向島の観光客や移住希望者のかたも『Sima-sima』を頼りにして来てくださるようになったんですよね。

現に『Sima-sima』のような情報誌は向島にありません。

空き家の紹介に限らず、ここに来たら向島のことがわかるような、そんな情報発信基地でありたいです

おわりに

クリの文具の栗本さん

「向島の人に島の良さを知ってほしかった」。

その軸を大切に創刊された『Sima-sima』の編集室を訪ね、クリの文具におじゃましました。

向島の魅力は、島民だけにとどまらず、今や島外の多くの人に届いています。

これまで栗本さんが大切に耕し種まきをしてきたこの土壌に、ポツリポツリと芽が出るように。

これからも、向島は多彩な魅力がどんどん咲き誇る島になっていくでしょう。

クリの文具(『Sima-sima』編集室)のデータ

クリの文具外観
名前クリの文具(『Sima-sima』編集室)
住所広島県尾道市向東町1013-6
電話番号
駐車場あり
3台
営業時間午後12時〜午後5時
定休日月、金、不定休
支払い方法
  • 現金
ホームページクリの文具(公式Facebook)
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アンドウミク

アンドウミク

2021年2月に東京から移住した尾道在住ライターです。食べることとお酒が大好きで、尾道を中心においしいお店を探して歩きまわる日々。移住者目線を大切に、地域の人が知らなかったような魅力にもフォーカスして発信します。

Sima-simaを作っている栗本さん

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