「養育が難しい家庭環境のため、家族と暮らせない」
「児童養護施設や里親家庭で暮らした経験がある」
「頼れる大人が周りにおらず、孤独や不安を感じている」
世の中にこのような事情を抱える若者がいることを、どのくらいの人が知っているでしょうか。
2013年、福山市で産声をあげたNPO法人どりぃむスイッチ(以下、「どりぃむスイッチ」と記載)は、10年以上社会参加に困難な若者とその家族を支援し続けてきました。理事長の中村友紀(なかむら ゆき)さんがどりぃむスイッチを立ち上げた当時は、市内で若者を支援する仕組みはあまり整っていませんでした。居場所づくりからはじまって、就労支援、自立支援などで多くの若者たちを支えてきたのです。
どのように支援活動を広げてきたのか、立ち上げた当時のようすを振り返りながらお話を聞きました。
記載されている内容は、2025年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
NPO法人どりぃむスイッチのデータ

団体名 | NPO法人どりぃむスイッチ |
---|---|
業種 | 若者支援コミュニティ事業 / 若者就労支援事業 / 若者人材育成事業 / コミュニティビジネス事業 / 社会的養護自立支援事業 / アウトリーチ事業 / 自立援助ホーム事業 |
代表者名 | 中村 友紀 |
設立年 | 2013年9月 |
住所 | 広島県福山市霞町1丁目8番15号 霞町ビル2階 |
電話番号 | 084-959-2348 |
営業時間 | 午前10時~午後5時 |
休業日 | 土、日、祝日 |
ホームページ | どりぃむスイッチ |
どりぃむスイッチとは
どりぃむスイッチは、社会参加が困難な子どもや若者とその家族へ自立支援、就職支援、居住支援などおこなっている団体です。

不登校やひきこもりがちな若者たちのために、学校や職場以外で心のよりどころとなる「居場所」を開所したのがどりぃむスイッチのはじまりでした。「安心して過ごせる場所」「自由に過ごせる場所」として居場所は、生きづらさを抱える地域の子どもや若者に寄り添います。キャリアコンサルタント、公認心理師としても活躍する中村友紀さんは、人と人とが支え合い、だれもが自分らしく活躍できる社会となることを目指します。

10周年を迎えたどりぃむスイッチ

10周年を迎えたどりぃむスイッチは、2024年8月にiti SETOUCHI(イチセトウチ)で記念イベント「どりフェス」を開催しました。当日は、どりぃむスイッチが支援する若者たちも参加して、得意なお菓子やアクセサリーなどをつくって販売もしました。

会場には、一般の人も含めて300名以上訪れたのだそうです。スタッフも、訪れた人も、若者たちも一緒になってどりフェスを楽しみ盛り上がりました。

どりぃむスイッチが運営する3つの事業所
どりぃむスイッチは、不登校やひきこもりがちな若者のために「居場所」を提供したのがはじまりでした。しかし、中村さんは立ち上げた当初から次のステップへつながる応援がしたいと考えていました。2013年から2014年に委託業務として取り組んだ広島県緊急雇用対策基金事業「子ども・若者自立支援事業」では、ITスキルアップ支援や就労支援などにさらに力を入れて事業内容を拡大します。
地域若者サポートステーション

2015年、厚生労働省委託事業の「ふくやま地域若者サポートステーション(以下、「ふくやまサポステ」と記載)」を開所します。当時、広島県内では広島市周辺にしかなかった「地域若者ステーション」を、福山市で初めて開所したのがどりぃむスイッチでした。

退所児童等アフターケア事業所

2016年には、広島県委託事業「退所児童等アフターケア事業所カモミール(以下、「カモミール」と記載)」を開所。カモミールは、広島県東部で初めて設立した退所児童等アフターケア事業所です。
2025年4月より「退所児童等アフターケア事業所カモミール」から「アフターケア事業所カモミール」に名称変更

児童養護施設を退所した子どもたちが抱える困りごととして、学校や職場での人間関係の悩み、金銭管理、孤立などがあるといわれています。頼れる大人が近くにいない場合も多く、悩みがあっても相談できずにトラブルへとつながるケースもあるそうです。退所児童等アフターケア事業所は、退所した子どもたちが地域社会で安心して自立生活を送れるように支援します。
カモミールを開所した当時は利用者も少なく、児童養護施設とのつながりもありませんでした。中村さんはスタッフとパソコンを持って施設の一室にパソコン教室を開くことにします。利用者にパソコンスキルを教えていくなかで、少しずつ関係を深めつながりをつくっていきました。
自立援助ホーム

2020年、親を頼れない若者のためのシェアハウスとして開いたのが「ピアホーム」です。児童養護施設を退所した若者、親や親族を頼ることが難しい若者は、社会に出るとさまざまな問題に直面します。若者たちと関わるなかで安心できる住まいと大人の見守りが必要だと感じ、問題解決するための一つのかたちとしてシェアハウスに取り組みました。その後、2022年にピアホームは「自立援助ホームエクリュ(以下、「エクリュ」と記載)」として生まれ変わります。

どりぃむスイッチが取り組むプロジェクト
どりぃむスイッチは事業所のほかに助成金を活用したプロジェクトも立ち上げ、支援の輪をさらに広げます。
- Dシナジー(DXアウトソーシング事業)
- ひろしま・おかやま若者サポートネットワーク(どりぃむスイッチを事務局とした、広島県と岡山県の若者支援団体)
- 盛和塾リスタート応援助成(離職した人へ向けて再就職への伴走型支援)
- 福山ばらの会(ひきこもりがちな子どもをもつ家族を支える場)
- 個別家族相談 など
「Dシナジー」は、さまざまな理由で外で働くことが難しい若い人やお母さんたちの経済的自立を目指します。2022年に開催された第1回せとうちビジネスコンテストでは、優秀賞を受賞しました。現在DシナジーのメンバーはWebデザイン、動画編集、ライティングなどの技術をプロから学び、スキルを身につけて、在宅ワーカーとして活躍しています。

「ひろしま・おかやま応援サポートネットワーク」は、広島県と岡山県の若者支援団体が集まり設立されたプロジェクトチームです。どりぃむスイッチが事務局となって、それぞれの地域の支援団体と連携を取りながら、いつでもだれかとつながっていられるような地域社会を目指します。

ほかにも、ひきこもりがちな子どもをもつ家族が集い支え合う場や個別相談など、さまざまな角度から若者を応援してきました。
3つの事業所とプロジェクトをとおして、支援活動をしてきたどりぃむスイッチ。若者支援へかける想いについて、どりぃむスイッチ理事長の中村友紀さんとアフターケア事業所カモミール所長 粟木原薫(あわきはら かおる)さんに、話を聞きました。
NPO法人どりぃむスイッチのデータ

団体名 | NPO法人どりぃむスイッチ |
---|---|
業種 | 若者支援コミュニティ事業 / 若者就労支援事業 / 若者人材育成事業 / コミュニティビジネス事業 / 社会的養護自立支援事業 / アウトリーチ事業 / 自立援助ホーム事業 |
代表者名 | 中村 友紀 |
設立年 | 2013年9月 |
住所 | 広島県福山市霞町1丁目8番15号 霞町ビル2階 |
電話番号 | 084-959-2348 |
営業時間 | 午前10時~午後5時 |
休業日 | 土、日、祝日 |
ホームページ | どりぃむスイッチ |
地域若者ステーションとは15歳~49歳を対象とした、就労から職場定着するまでを無料で支援する機関のこと。個々の状況や希望に合わせて職業体験、コミュニケーション講座、ビジネスマナー講座などさまざまな形で就職活動をバックアップします。外部機関や専門スタッフと連携しながら、悩みの解決へ向けて取り組みます。