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福山誠之館高校放送部5名と先生にインタビュー
クラウドファンディングでオリジナル曲の学校紹介ミュージックビデオ制作を目指している福山誠之館高校放送部の5名。
そして放送部顧問の佐々木先生、アドバイザーでもある外部講師の広島県ドローン協会顧問 岡田 秀一さんに話しを聞きました。
取材日に集まったのは以下の5名。
- 1年生:鈴木くん[放送部副部長]
- 2年生:門田(もんでん)くん[放送部副部長]
- 3年生:楳田(うめだ)さん
- 3年生:藤井さん
- 3年生:三宅さん(インタビューには間に合わず写真撮影から参加)
全員放送部に所属しているまことのワクワク発信!放送局のメンバーです。
コロナ禍で前よりも忙しくなった放送部
放送部の活動内容は新型コロナウイルス感染症が拡大する前と後で何が変わりましたか?
佐々木(敬称略)
新型コロナウイルス感染症が拡大して、行動に制限がかかるようになると、学校行事がほぼなくなってしまいました。
全校生徒を集めることがなくなり、放送室からの放送で始業式や終業式を行なっています。
その司会や機器の操作などで、前よりやることが増えている状態なんです。
今までのオープンスクールでも学校紹介の動画を作成していたのですが、2020年は規模がさらに大きくなって、学校紹介の動画をYouTube上でも流すことになり、その動画制作などで放送部が学校全体の動きに絡んでいます。
そういった意味では、活躍の場が増えてきました。
藤井(3年生)
むしろ、やらなければいけないことが増えましたね(笑)
予想以上に大変だったドローンを使った学校紹介ビデオの制作
2020年の学校紹介ビデオでドローンを使ったのはなぜですか?
藤井
オープンスクールのときに、放送部は毎年学校紹介ビデオを作っていました。
でも新型コロナウイルス感染症の影響でオープンスクール自体が取りやめになることを聞いて…。
それなら「オープンスクールまでカバーできる学校紹介ビデオを作りたい」と先生に相談したんです。
それで校長先生に紹介していただいたのが、外部講師の広島県ドローン協会顧問の岡田さんです。
岡田さんから、他校や大学のオープンスクールの動画をいろいろと見せてもらったなかで目に止まったのが、ドローンで校内を紹介している動画でした。
岡田(敬称略)
実際問題として、あまり時間がありませんでした。
ドローンの撮影、それもワンショットでの撮影が成功すれば、インパクトもあるし高校生が作る学校紹介ビデオとしては初になるので、挑戦する価値はあると。
それにドローンの一発撮り撮影は編集がいらない(笑)
ドローンを使った撮影はどうでしたか?
楳田(3年生)
ドローンの進み方やどこにどの部を置くかなどを、先輩の部長をディレクターとして放送部で全部考えたんです。
一気に何百人の生徒を指示して動かすときは、ドローンの一発撮りなのでミスできないという緊張感がすごかったです。
でも、結局機材トラブルもあって、10回ほど撮り直しをしました。
岡田
いやほんと、テイク10ですからね。今日中に終わるのかって思ってましたよ(笑)
部活動の生徒が集まれる日は限られていたので、この日のために集まったから、絶対にやりきる決意がみんなにありました。
なにより部員たちが、かっこいいエモい映像を作りたいっていうもんだから、最後までつき合いましょうと。
楳田
ビデオが一応完成して、各部の部長さんの前でお披露目会をしたんですけど、上映が終わったときにみんなが「おおー!」と言ってくれたときは、すごく達成感がありました。
藤井
放送部は人数が少ない部活なんですけど、ドローン撮影でほかの部の人と関わることができたし、「この大人数が一体になれるんだ、この人数でこんなことができるんだ」と感動しました。
1年生と2年生のドローンを使った学校紹介ビデオの感想は?
門田(2年生)
学校紹介ビデオは、生徒会と先生が主体となって作ると思っていたら、こんな少人数の放送部が主体で作るんだと聞いて……衝撃を受けました(笑)
鈴木(1年生)
放送部に入ったときにドローンの紹介ビデオを見せていただいたんですけど、もう「すごい!」の一言しか出ませんでした。
「コロナに立ち向かう大人たち」のインタビュー動画を制作
ドローンの学校紹介ビデオの次に「コロナに立ち向かう大人たち」のYouTube動画を作るきっかけは?
楳田
コロナ禍で、司会など私たちが舞台に立っての活動がなくなってしまって、実質何もできなかったんです。
高校生の私たちは、何もできないコロナ禍にどう立ち向かっていけばいいのか考えました。
そのときに、コロナ禍でも大きな挑戦をしているOBのかたがたの活動を知りました。
先輩がたの心意気などをインタビューして、その映像をYouTube上に投稿することで、私たち以外にもコロナ禍で何もできず、何かをするにも勇気が出ない人たちの背中を押してあげられるかもしれない。
いや、勇気と元気をあたえる動画を作りたいなと思って始めました。
このインタビューがきっかけで、ミュージックビデオ制作で力を貸してもらうことにもなったんです。
絶対にミュージックビデオをやりたい!
2021年の学校紹介ビデオがミュージックビデオになったのはどうしてですか?
藤井
これはもう、発案者が(笑)
楳田
2020年の学校紹介ビデオを何にするか考えるときに、ニュース風のほかにYouTuber風とかもあったんです。
でも、ミュージックビデオ風がかっこいいなと私は思っていて。
CMとかで学生が歌に合わせてかっこよく踊っている映像に惹かれていて、ミュージックビデオを推してたんですけど、結局ニュース風に決まってしまったんです。
2本の学校紹介ビデオが完成して、「さあ来年は何にする?」って岡田さんに聞かれたときに、「やりたいです!今度こそはミュージックビデオをやりたいです!」って即答して、岡田さんへのお礼の手紙にも「ミュージックビデオやりたいです!」って書きました(笑)
藤井
楳田さんがミュージックビデオをやりたいことはみんな知ってたんで。
楳田
私が一人熱かったのをみんなが。
藤井
まあ、みんな気持ちを察して、来年はミュージックビデオだなって。
それでミュージックビデオの構想を、私たちが2年生の後半から考え始めていました。
クラウドファンディングで支援をお願いするようになったのはどうしてですか?
藤井
ミュージックビデオを作ろうってなったときに、オリジナルの曲はどうしようと。
曲を作ってもらうにしても誰に頼めばいいんだろう?制作にかかるお金はどうする?ってなったんです。
学校は出してくれないですよね(笑)
そこで出した結論がクラウドファンディングなんですが、支援をしていただいて制作資金を集めることはもちろんのこと、プロモーションとしてクラファンを使って告知することを考えました。
ミュージックビデオ制作完成までのスケジュール
今後の制作までのスケジュールは?
楳田
最初に放送部以外でいっしょにミュージックビデオを作ってくれる人を募ったんです。
すると10人くらい集まってくれたので、ミュージックビデオ班とクラウドファンディング班に分かれて進めています。
リターンを決めたりなど、クラファンの準備はクラウドファンディング班がして、ミュージックビデオ班はもう撮影を始めています。
岡田
生徒の学校生活を今撮っていますね。
クラファンが完了したら曲を完成させ、レコーディングへ進む予定です。
ミュージックビデオのお披露目は、2021年9月に実施するオンラインのオープンスクールなので、それまでには間に合わせようと。
正直時間がないんですけど。
藤井
私たち3年生は部活を引退しているので、ミュージックビデオの制作にかける時間はあります!
ミュージックビデオ制作をいっしょにしている後輩から先輩へ、先輩から後輩へ、岡田さんから一言
先輩への言葉の前に。入部した放送部の活動は楽しいですか?
鈴木
楽しいです。
岡田
鈴木くんは、福山ばら祭2021のライブ配信で最後の読み上げをしてくれたんですよ。
鈴木
あれはいい経験になったんですが、頭のなかが真っ白になって、完全に無意識で読んでました。
岡田
えっ無意識で読んでたの!すごい(笑)
3年生の引退後、放送部を任された2年生の決意を聞かせてください
門田
先輩の代のように、完璧に受け継ぐことはできないかもしれないんですが、意志は受け継いでやっていきたいと思います。
先輩が僕たちの代の放送部を見て、落ち込むことがないようにがんばりたいです。
藤井
それを聞いて私は安心しました、うれしいですよ。
3年生から後輩に向けて、メッセージをお願いします
藤井
一言でいうなら「折れるな」ですね。
放送部の仕事って大変なんですよ。学校行事のこともあるし、コンテストもあるので、大変なんですよ。
大事なんで2回言いました(笑)
今の形を継続するのは大変だし難しいかもと思いますが、次の代になっても継続してほしいと思っています。
楳田
私たちの代で新しいことにチャレンジしたので、1、2年生は今までとは違うやるべきことが増えてしまって大変だと思うんです。
でも、せっぱつまった状況のなかで私たちはちょっとしたことで笑い合いながらやっていたので、楽しみながら部活動をしてほしいです。
みんなでひとつになって楽しくやってくれれば、私たちはそれでいいなと思います。
外部講師としてかかわった岡田さん、感想は?
岡田
一番印象に残っているのが、ドローンの撮影が終わってから生徒にもらった手紙です。
それがすごくうれしかったですね。
その手紙にみんなやりたいことが書いてあったんです。
楳田さんは「ミュージックビデオやりたいです!」と書いてあって、どうしてもやりたいんだなと(笑)
それで返事を書いたんですよ。
今回やったことに対して、次はこうしようと思うはず。
僕の好きな言葉は、チャールズ・チャップリンの「私の最高傑作は次回作だ」なんです。
その言葉をお返事に添えたと思うんですが、とにかく放送部のみんなが、紆余曲折はありながらも次回作を自分たちで紡いでいこうとしている姿を目の前で見られて、僕はハッピーです。
おわりに
「福山誠之館高校は、生徒自身が考えて行動できるようにサポートをしています」と放送部顧問の佐々木先生。
「だから、放送部のミュージックビデオ制作プロジェクトを応援することができるんです」とも。
放送部と有志のメンバーで構成されたプロジェクトチームまことのワクワク発信!放送局のチャレンジが成功するかどうかは、クラウドファンディング・CAMPFIREのプロジェクトにかかっています。
コロナ禍での短い高校生活で、自分たちの想い出を作りたい!ミュージックビデオを見た人が元気になれるような学校紹介ビデオを作りたい!という願いは1年越しに実現しようとしているのです。
生徒たちと先生の話を聞きながら、まことのワクワク発信!放送局が作る著作権フリーの楽曲にのせたミュージックビデオの公開を待ち遠しく感じました。
熱い想いが放送部中にスパークしています。
まことのワクワク発信!放送局のこれからの挑戦に注目し、応援したいものです。
(2022年3月追記)
ミュージックビデオが完成し公開されました!
タイトルは「きのうの未来」。
5分23秒のなかに福山誠之館高校の日常の風景が詰まっています。
生き生きとした生徒の皆さんの表情が印象的。
力作です!
ぜひ、ご覧ください!