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鞆の浦 景観茶房 セレーノ ~ 鞆の浦の絶景と音楽に心癒される贅沢な空間

鞆の浦 景観茶房 セレーノ ~ 鞆の浦の絶景と音楽に心癒される贅沢な空間

食べとこ / 2022.03.29

セレーノ 店主 髙橋 善信(たかはし よしのぶ)さんインタビュー

高橋さんご夫妻

セレーノの店主、髙橋 善信さんと奥さまの信子(のぶこ)さんに詳しくお話を聞かせてもらいました。

たくさんのこだわりとたくさんのつながり

店内からテラスを見たところ

セレーノにはこだわりがたっぷり詰まっていますね。この屏風も目を引きます。

髙橋(敬称略)

これは神辺の歌人、鈴鹿 秀満(すずか ひでまろ)の江戸時代の書ですね。

神辺城下の神社にあったものだそうですが「セレーノに似合いそうだ」と知人から譲られました。

屏風は六曲一双(六面の屏風が2つで1セットになっていること)で、「春夏」と「秋冬」のものを季節で入れ替えています。

秀満の屏風

この本棚の本も貴重なものでは?この間、美術館でこんな感じの本を見ました。

髙橋

今はこんな装丁の本なんて珍しいでしょう?

うちにあったものですが、ここに来た人に好きなように読んでもらえたらいいなと思って置いています。

本棚
本棚の本

髙橋

お客さんに楽しんでもらいたいので、いろいろな絵も掛けています。

これは焚場(たでば)の夜の景色を描いてもらったもの。

焚場というのは、潮が引いたときに船を補修する場所で、ここで木造の船の底をいぶしたり、木と木の隙間を埋めたりする作業をしていたんですよ。

焚場の写真も残っています。

夜の焚場
焚場の写真

髙橋

これは福山の陶芸家、三島 博(みしま ひろし)さんの作品です。

鞆のためにと、鞆の土で焼いてくれたものもあります。

三島博さんの作品

髙橋

この小皿は、学校の先生をしながら画家としても活躍した、鞆出身の奥林 伍作(おくばやし ごさく)さんの作品で、弁天島に向かう小舟の絵が描かれています。

妻が中学生の頃に社会科を教えてくれた先生でもあるんですよ。

たくさんのかたとのつながりで、今のセレーノがあります。

奥林伍作の小皿

鞆の浦の景色に心惹かれて

髙橋さんは鞆の出身ですか。

髙橋

僕は鞆の出ではないのだけれど、疲れたときに鞆に来ては、空海が建てた医王寺で海を眺めて気分転換をしていました。

とにかく、この鞆の景色というのは素晴らしい。

出逢いの鞆」といって、瀬戸内海の潮流も鞆で出逢うし、ここで潮の流れが変わるのを待っている人々も出逢う。

都の文化や経済も、鞆にやってきました。

だから鞆には1,300年ほどの歴史があるんですよね。

20年ちょっと前のある日、医王寺から降りてきたときに、この土地が売りに出ているのを見つけて、神様からのプレゼントだと思いました。

すぐに手に入れて、疲れた人がゆっくりできるような場所にしようと、妻と一緒に設計から始めてセレーノを建てたんです。

オープンしたのは、2004年でした。

セレーノ入り口

髙橋

その頃、鞆の浦の埋め立て架橋計画が大きな問題となっていました。

鞆の浦の景色が素晴らしいのはもちろんですが、日本で近世の港湾施設5つがすべて現存している港は、鞆、ただひとつだけなのです。

鞆に残っている近世港湾施設

 常夜燈(じょうやとう)…灯台

 船番所(ふなばんしょ)…船の管理や税の徴収を行う役所

 波止(はと)…防波堤

 焚場(たでば)…船の修理のための陸揚げ場 

 雁木(がんぎ)…船着き場

「5点セット」を1つでも欠かすことなく、次の世代に遺したい。

埋め立て架橋に反対する住民運動を手伝うことになりました。

サザエ

髙橋

スタジオジブリのアニメーション映画、「崖の上のポニョ」が公開されたのが2008年です。

鞆の浦が有名になるきっかけの1つになりました。

そして2016年、裁判がようやく終わります。

鞆の浦の歴史的景観は国民の財産」だと認められて、埋め立て架橋計画は中止。

鞆の素晴らしい景観と、貴重な文化財が残りました。

鞆湾

鞆を感じてほしいから

ここにもしも橋がかけられていたら、まるで違う景色になっていたのですね。

髙橋

文化財としての鞆の価値を産業道路で壊すわけにはいかないと、たくさんの人が力を尽くしました。

鞆の歴史や文化、自然に僕は癒やされている。

だからこそ、訪れた人に本来の姿を堪能してもらえる鞆にしたかったのです。

セレーノはミュージアムでもありたいと思っていて、それでいろいろな絵やモノを置いています。

これが何かわかりますか?

船の汽笛

ふいご(燃焼を促進する目的で使われる道具のこと)、ですか?

髙橋

これはね、船の汽笛。

(空気を送ると、ファー―――!と大きな音が!)

後ろにある2つの船の模型は、昔の漁船と、モーター船です。

比べると面白いでしょ?

セレーノの入り口につけた、この丸みのある屋根みたいなのは、鞆の港に流れ着いていたものです。

僕が鞆に寄せる思いに、通じるものがあるような気がしています。

欄間(らんま)もアクセントに使っていますよ。

入り口の唐破風
欄間

髙橋

とにかく、ここでゆっくりと過ごしてもらいたい、鞆の魅力をただ感じてもらいたいと思っているんです。

日の出前には、この海がワインカラーに染まります。

仙酔島のほうへと雲が流れていくときや、沈んでいく太陽が海を照らすとき、雨上がりに虹がかかったときもいい。

ここにいると、人生で大きな得をしているような気がしますよ。

セレーノのテラス

鞆の浦の美しさを堪能できる場所、セレーノ

海と髙橋さん

高台から眺める島と海と鞆の町並み、そして高橋さんの楽しいお話に時間を忘れてしまう不思議な空間がセレーノです。

この景色に魅せられ、大阪や名古屋などから何度も訪れる人も多いのだとか。

セレーノで癒やされた心は、帰り道にはきっとふんわり軽くなっていることでしょう。

鞆の浦 景観茶房 セレーノのデータ

セレーノ
名前鞆の浦 景観茶房 セレーノ
住所福山市鞆町1407
電話番号090-7371-0134
駐車場なし
公共交通機関や市営駐車場などを利用
営業時間午前11時から午後5時ぐらいまで
定休日不定休
不定休のため電話で確認のこと
支払い方法
  • 現金
予約の可否
座席50席
タバコ
トイレ
子育ておむつ取替、ミルクのお湯提供可能
バリアフリー1階はバリアフリー
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山口 ちゆき

山口 ちゆき

Webライター。夫と息子2人の4人家族。毎日どんなごはんを食べようかと考えている食いしんぼうです。お菓子作りと読書が好き。

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鞆の浦景観茶房セレーノ

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