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田尻杏屋の代表 小林章宏さんへインタビュー
田尻のあんずを守り、魅力や歴史を伝えていきたいと幅広く活動している「田尻杏屋」。
田尻のあんずで商品作りをする田尻杏屋の代表 小林章宏さんに、開業のキッカケや道のり、今後の展望などについて聞きました。
美しい田尻あんずの里を守りたい
開業のキッカケは?
小林(敬称略)
あんずの花が咲く田尻の景色を守りたいと思ったことがキッカケです。
この景色を守るには、あんずを作り続けられるようにしなければいけない、そして田尻のあんずを知ってもらわなければいけない。
そのために何ができるのか、と考えたら、アプリコットジャムだったんです。
以前はデザインの講師をしていました。
その前には建築関係や、ショーやイベントの音楽編集などの経験もあります。
けれども体を壊してしまい、在宅のままできる仕事を考えました。
地域のなかで暮らしながら、地域を守る仕事がしたい。
そう思うようになったんです……。
そして、田尻の景色を守るためにあんず畑の管理・生産をして、田尻のあんずを活かした地域ブランドの商品開発を始めたんです。
あんず畑を再生~収穫するまで
田尻杏屋さんが管理しているあんずの木は何本くらいあるのですか?
小林
今お借りしている土地のものも含めて約110本あります。
あんず畑は、複数あって離れているため車で移動しなければならないんです。
管理されていないあんずの木は背が高く伸びつるが巻き付いているので、背を低くして管理しやすいように整えるところから始めます。
枝の状態を見極めて生きているものを残し、あとはノコギリやチェーンソーで切っていきます。
そうして枝を徐々に横に横に伸ばしていき、背を低くして手入れがしやすい状態に整えるんですね。
できるだけ農薬を使わずに栽培しようとしています。
ですから、日々の手入れは簡単なものではありません。
芽が出てくれば実や花を大きくするために、途中で摘み取る作業も必要です。
これを一人でやっているので、正直大変なんですよ。
山なのでイノシシも出てきますし、斜面だから足腰に負担がかかります。
でも、日々作業を続けるからこそ美しい景観を生み出し、おいしいあんずを作り出すのです。
あんずの木は再生してから2〜3年目に実をつけます。
あんずの実はどのように収穫するのですか?
小林
一つひとつ手作業で収穫しています。
この辺りは斜面で道幅も狭いので、大きな車や機械は入れないんです。
無農薬で作っていると、虫がつくこともありますね。
それに、果物の実は程よく熟して食べごろを迎えると木から落ちてしまいます。
だから、一つひとつていねいに実のようすを見ながらここだ、というときに収穫するんです。
最終的には木の下にネットを張ってから木を揺さぶり一気に収穫することもありますが、収穫量は多いとは言えません。
昨年採れたのは、200kgだけ。
2tの収穫を見込んでいたのに、です。
そのくらい無農薬で作る田尻産のあんずは貴重なものなんですよ。
そして収穫後は傷むのが早いので、その日のうちに加工する必要があります。
すべて一つひとつ手作業でおこなうので、継続生産をするためには高額にならざるを得ないんです。
Onni marmalade(オンニ マーマレード)さんとの出会い
アプリコットジャムは、小林さんが作られているのですか?
小林
いいえ。福山市在住のジャム作家「Onni marmalade」さんに作ってもらっています。
Onni marmaladeさんに作ってもらうようになったのは、「田尻杏屋さんのあんずを譲ってほしい」とSNSを通して連絡があったことがキッカケです。
作ってもらったジャムを食べてみて「コレだ!」と。
私が理想のジャムとしてイメージしていたのは、透明感の感じられる味。
Onni marmaladeさんのジャムは、あんずそのままの味が感じられるものに仕上がっていました。
それ以来、アプリコットジャムの製造をお願いしています。
田尻杏屋のアプリコットジャムは、ダルメインマーマレードアワード 銅賞受賞のOnni marmaladeさんがひとつひとつ手作りしているから、この味が出るのです。
世界へ、田尻あんずの魅力を発信する
今後の展望を聞かせてください。
小林
すでに地元企業とコラボレーションをしていますが、これからもっとその企業を増やしていきたいですね。
あんずジャムといわず「アプリコットジャム」としているのは、世界の人たちにも食べてもらいたい想いがあります。
田尻のあんずの魅力をもっと広く知ってもらいたいんです。
340年以上前に植えつけされ始めてから田尻町には、約3,000本ものあんずの木があるといわれていました。
しかし、手入れができずに多くの木が枯れていっています。
もう一度3,000本のあんずがある景色を復活させ、田尻町をあんずのピンク色で染めたいです。
おわりに
口にすると特別なおいしさを感じられる田尻杏屋のアプリコットジャム。
オンラインで販売もしているので、自分へのごほうびやプレゼントに購入してみてはいかがでしょうか。
そして、毎年3月には田尻町に咲き誇るあんずの花を見に行ってみませんか。
一度訪れると、景観の美しさに心奪われてしまうことでしょう。
田尻杏屋のデータ
名前 | 田尻杏屋 |
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住所 | 広島県福山市田尻町3476 |
電話番号 | 090-3745-4942 |
駐車場 | あり 2~3台駐車可能 |
営業時間 | |
定休日 | 土・日はマルシェにて販売(Instagramやお電話にて確認してください) |
支払い方法 |
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予約の可否 | |
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ホームページ | 田尻杏屋 |