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虎屋本舗の代表取締役会長・高田 信吾さんへのインタビュー

江戸時代から続く老舗で、長い歴史のある商品を守りながら、そっくりスイーツなど新たな挑戦を続ける虎屋本舗。
そっくりスイーツの生みの親でもある代表取締役会長・高田信吾(たかた しんご)さんに会社を承継しとときのことや、そっくりスイーツ誕生秘話などを聞きました。
代表を承継して覚えた危機感から新商品を開発

代表を承継した経緯や、承継後の話などを教えてほしい。
高田(敬称略)
平成6年(1994年)に先代である私の父が体調を崩し、急遽虎屋を継ぐことになったんです。
もともと私は虎屋を継ぐ気はなくて、ファッション関係の道に進み、大阪でアパレル関連の仕事をしていました。
弟は菓子の道に進んでいましたが、別の菓子屋で働いていた状況です。
最初は右も左もわかりませんでしたが、社員で一丸となってやっていきました。
現場でお菓子づくりの経験もしてきましたが、私はつくるよりもプロデューサー的な仕事の方が向いていると思います。
今思うと、たくさんの商品をつくってきました。
私が虎屋の代表になったころ、弊社は年配のお客様が多かったので、危機感を覚えました。
新たなお客様の発掘、とくに若いお客様が必要だと思いましたね。
若い人に振り向いてもらえるにはどうすればいいかをいろいろ考えました。
そして、私が最初につくったのが「虎ちゃん」です。
虎焼も季節限定商品を投入し、バリエーションを増やしました。
商品づくりの際にトレンドを読んだりするのは、アパレル業界の経験が生きていると思います。
そっくりスイーツ誕生秘話

話題となった「そっくりスイーツ」シリーズについて、開発した経緯を知りたい。
高田
平成15年(2003年)に、新商品の企画会議をしていたときのことです。
休憩のとき、小腹を満たすために買ってきたたこ焼きを食べようと口に入れる直前、フッとインスピレーションを感じました。
たこ焼きの表面がシュークリームに似ていると思い、だったら菓子でたこ焼きがつくれないかと。
ソースはチョコレート、青海苔は抹茶、カツオ節はチョコのスライスでできそうだなと思いました。
試しにつくってみようと工場長に話し、試作をお願いしたんです。
翌日、さっそく試作品が完成したのですが、クオリティーの高さにおどろき、すぐ商品化が決定しました。
応用でお好み焼もできるんじゃないかと思い、試作してみると、こちらもよいできばえです。
6月にイベントでたこ焼きを出したところ、好評で見事に完売しました。

そのあと、クリスマスのイベントでお好み焼を出すと、こちらも大好評です。
以降、さまざまなそっくりスイーツを考え、行事やイベントなどに合わせて販売していきました。
最大で15〜16種類まであったこともあります。
そっくりスイーツは洋菓子が中心でしたが、和菓子にも力を入れたいと思い、和菓子でつくった「おせち」や「てまり寿司」なども展開しました。
やがてお土産グランプリを受賞するまでになり、メディアに多く取り上げられ、今ではそっくりスイーツはとんど饅頭や虎焼に並ぶ看板商品です。
菓子を通じて日本の伝統や文化・精神を伝えていく

そっくりスイーツでこだわっていることは。
高田
そっくりスイーツのこだわりは「おいしいこと」「見た目がそっくりなこと」はもちろん、それにくわえて「本物と同じ食材は絶対に使わないこと」です。
本物を使った時点で「そっくり」ではないし、菓子でもなくなりますから。
一時は、ほかの洋菓子店や昔からのお客様から反対の声もありました。
でも日本のものづくりの原点は工芸菓子だと気づいたんです。
工芸菓子は、菓子を使ってさまざまなものを形作り、表現しています。
そっくりスイーツも同じ。
扱うものは違いますが、マインドは工芸菓子もそっくりスイーツも同じなんです。
商品のなかから文化や学びが感じられないと、ただの一時的な話題商品でしかないです。
虎屋は形を変えながら伝統や精神を受け継ぎ、後世に伝えているんだと思うようになりました。
地元の小学生が社会科見学に来たとき、ある児童が「虎屋の商品を見るとやる気が出る」と話したんです。
それを気に、虎屋はお菓子づくりをしているのではなく、お菓子を通じて日本の伝統や文化を伝えていると認識しました。
現在ではその活動の一環として、瀬戸内エリアを中心にご年配や子供などに和菓子づくり教室を開き、菓子文化を伝えていったりしています。
今後の展望

今後の展望ややってみたいことがあれば、知りたい。
高田
令和2年(2020年)で、虎屋はちょうど創業400年を迎えました。
キリのよさもあって社長を退き息子に変わる予定だったのですが、コロナ禍で実現できませんでした。
それで今年(令和3年)、ちょうど息子が東京オリンピックの聖火ランナーになり、このタイミングで社長を交代しました。
社長は息子に譲ったので、少し余裕ができました。
ですから、私自身が和菓子教室をやっていきたいなと思っています。
とくに若者や外国人に対してやっていきたいですね。
あとはSDGs(エス・ディー・ジーズ)に関して、虎屋では瀬戸内エリアをよくしていくという目標をかかげています。
瀬戸内という地域にある企業であるので、もっと瀬戸内の魅力を世界へ発信していきたいです。
そのために我々にできることをしていきたいと思います。
はっさく大福やレモンケーキのような瀬戸内の食材を使った商品や、和菓子づくり教室もその一環です。
それと来年(令和4年)に福山城が築城400年を迎えるので、虎屋ではそれに合わせてなにかやろうと考えています。
形を変えながら菓子を通じて伝統や精神を伝える虎屋本舗

福山と同じくらいの歴史をもちながら、新しい菓子づくりにも挑戦する虎屋。
形を変えながら、菓子を通じた日本の伝統や精神を伝えています。
歴史あるとんど饅頭や虎焼、ユニークながら味にこだわりのあるそっくりスイーツシリーズをはじめ、魅力的な菓子がたくさんそろう虎屋。
ちょっとした手土産や、福山に訪れた際の土産などに虎屋のお菓子を買ってみてはいかがでしょうか。
虎屋本舗 (本店)のデータ

名前 | 虎屋本舗 (本店) |
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住所 | 広島県福山市曙町1丁目11-18 |
電話番号 | 084-954-7455 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 平日:午前8時30分〜午後7時 日曜日:午前8時30分〜午後6時 |
定休日 | 元日 |
支払い方法 |
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ホームページ | 創業400年の和菓子屋 虎屋本舗-老舗のどら焼き |