活版カムパネルラ 〜 活版印刷体験が楽しい!尾道の海と坂、インクの香りに包まれた異空間で活字と遊ぶ

活版カムパネルラ

写真植字やDTPの技術が普及し始める1970年代まで、文字印刷の主流となっていた活版(かっぱん)印刷は、現在でもぬくもりが感じられる印刷物を生み出し続けています。

活版印刷のインクが作り出す独特の風合いを持つ印刷物。

1枚1枚かすかに違う凹凸とインクの濃淡は、人の手を介して印刷された温かさを感じることができます。

印象に残る印刷物を作りたい、人工的なものではない人の手作業を感じる印刷物を手にしたいというかたに愛されているのが、活版印刷です。

味わいがありどこか懐かしい活版印刷を気軽に体験できるのが、広島県尾道市東土堂町にある雑貨店「活版カムパネルラ」。

活版カムパネルラの扉を開けて一歩足を踏み入れると、さまざまなかわいい雑貨やアクセサリー、そして奥に進むと2台の印刷機と大量の活字が出迎えてくれるのです。

活版印刷を実際に体験できるワークショップもある「活版カムパネルラ」。
活版印刷の世界をのぞいてみましょう。

記載されている内容は、2024年1月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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活版カムパネルラのデータ

活版カムパネルラ扉ロゴ
名前活版カムパネルラ
所在地広島県尾道市東土堂町11-2
電話番号0848-51-4020
駐車場なし
駐車場はないので、公共交通機関か近隣の駐車場を利用。
尾道駅より徒歩10分。
営業時間午前10時から午後6時
定休日なし
年末年始は休業
利用料(税込)活版印刷のワークショップ

初級編(約15分)
ミニノート1冊 1,100円(税込)

中級編(約1時間)
カード5枚 2,200円(税込)

上級編(約2時間)
カード5枚 3,630円(税込)
ノート1冊 4,070円(税込)
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・PayPay・d払い
  • 交通系ICカードはPiTaPaを除いて対応。
予約の可否
ワークショップは予約なしでも空いていれば可能だが、事前予約をしておいたほうが確実。
トイレ
子育て
バリアフリー
ホームページ活版カムパネルラ

活版印刷とは?

活版印刷の活字

活版印刷は活字を組み合わせて作る「活字組版」という版を使い印刷する方法で、使う版の種類により、凸版(とっぱん)印刷・凹版(おうはん)印刷・平版(へいはん)印刷・孔版(こうはん)印刷に分けられています。

活版印刷は印刷に使う金属製の字型「活字」を一つひとつ拾い活字組版を作ると印刷部分が凸状になることから、凸版印刷に分類

活版印刷の漢字の活字

活版印刷は凸状になっている活字部分にインクをつけたあとに紙をのせます。

その紙の上から圧力をかけて、紙にインクを転写し印刷するという仕組みです。

活版印刷で使用される手動式で比較的小型の印刷機は手動活版印刷機テキン)と呼ばれ、活版カムパネルラでは2台の手動活版印刷機が使われています。

活版印刷のメリットは、活字が別々の独立した文字のため版を何度でも作れること。

このような活字を選び組み合わせて版を作り印刷する体験が、活版カムパネルラのワークショップで気軽にできるのです。

扉を押すと懐かしい雰囲気の空間が広がる

活版カムパネルラ外観

線路下のトンネルを抜けて、石段を上がったところにある活版カムパネルラ。

古民家を改装してオープンしたのは2016年1月29日です。

活版カムパネルラの看板

「カムパネルラ」という名前は、作家 宮沢賢治の作品「銀河鉄道の夜」から名づけられました。

主人公のジョバンニが、アルバイトで活字拾いをしていたという部分からとられています。

名づけたのは活版カムパネルラのオーナー、株式会社カメレオンワークス代表取締役の上田 昇辰(うえだ のりよし)さん。

作中で活字拾いのアルバイトをしていたのはジョバンニですが、友人の名前のカムパネルラをあえて使ったそうです。

なお上田さんのデザイン事務所カメレオンワークスは、活版カムパネルラに併設されています。

活版カムパネルラで販売されているカード類

グリーンの扉を押すと、数多くの雑貨やアクセサリーが出迎えてくれます。

活版カムパネルラの窓から見える風景

活版カムパネルラを訪れた午前中は、明るい日差しが心地よく、窓からは尾道の線路や海を眺めることができます。

活版カムパネルラの窓から見える風景

店内左手にはワークショップや印刷に使われる歴史を感じる手動活版印刷機が2台置かれていて、古くから活版印刷を支えてきたであろう佇まいに威厳が感じられました。

活版印刷の活字
手動活版印刷機の奥には大量の活字の壁

活版カムパネルラには日本のあちこちから活字が集まり、遠くは北海道から送られてきた活字も多く収められていました。

取材時のBGMは軽快なニューシティポップ。ときには1970年代の日本の歌謡曲が流れることもあります。
昔の歌謡曲が流れているときの店内は、本当に昭和の年代にタイムトリップしたのかと錯覚するほど。

BGMはスタッフの好みによってかけられるそうです。

活版カムパネルラの商品

活版印刷で印刷された雑貨と2台の印刷機、多くの活字に囲まれた空間は、活版印刷をリアルに体験した年代にはタイムトリップしたような感覚を、活版印刷を知らない年代は経験したことがない異空間と感じることでしょう。

どの年代のかたにとっても活版印刷の道具と雑貨に囲まれた店内は、不思議と落ち着く空間です。

活版カムパネルラの商品

その空間の中にあるいろいろなものは、一つひとつがとにかくかわいいのです。
そして、どこか懐かしさを感じるものが多く、時間を忘れて店内の雑貨やアクセサリーに見入ってしまいます。

活版カムパネルラのマスコット

商品ではない小物にも惹かれてしまい、思わずシャッターを切りました。

活版印刷を体験してみた

活版印刷の組み版

活版印刷での印刷は、いったいどのようにするのでしょう。
福山あいどるくらぶのあゆさんに活版印刷での印刷体験をしてもらいました。

2021年3月取材時の印刷体験を掲載しています

印刷するデザインを選ぶ

Aコースのカード一覧

デザインは尾道らしいものや活版カムパネルラのアイコンになっている猫のデザインなどがありました。

カードのデザインを選ぶ

どれにしようかと迷うほどかわいいデザインばかり。あゆさんは、猫のデザインを選びました。

小さな棚からカードを選ぶ

棚からカードを選ぶ

カードが収められている小さな棚の引き出しをだして好みのカードを選びます。

カードを選ぶ

カードの材質も違うし色も数種類あるので、悩みむこと数分。

その間にスタッフの國近(くにちか)さんは、手動活版印刷機の微調整と印刷する版のセッティングを始めました。

インクの状態、紙を置く位置の確認作業を粛々と進めます。インクは活版印刷専用のインクです。
店内にふわーっとインクの香りが漂い始めました。

カードが決まり、いよいよカードに印刷です。

活版印刷スタート!

活版印刷の準備

印刷を始める前に、國近さんから印刷の手順が説明されます。

印刷の手順は以下のとおり。

  1. 印刷機のローラーに、むらなくインクをつけるためにレバーを上下に動かす
  2. 版がある部分にもインクを均等につけるためにレバーを上下に動かしたあと、一番上までレバーをあげる
  3. 印刷するカードをセットする
  4. レバーをゆっくりと下におろす
  5. レバーを下に押し込み3秒カウント
  6. カウントしたあとにゆっくりとレバーを上にあげる

これで1枚のカードの印刷が完了です。

ローラーを上下に動かしインクをのばす

活版印刷のスタートです。

最初は手動活版印刷機のローラーでインクをのばす作業。

ローラーと連動しているレバーを少しだけ上下して、インクをのばしつつローラーにインクをつける工程です。
そのあとレバーを上にあげて印刷する版の部分にローラーを移動します。

ここでもレバーを上下に動かして、インクを版につけます。この作業がなんだか楽しそう!

インクが十分ついたら、レバーを一番上に戻します。これで準備OKです。

カードをセットし印刷

印刷するカードのセット

カードをセットしてもらい、印刷を開始!

レバーを下に止まるところまでゆっくりと下げていきます。
そしてググッと力を入れて、さらにレバーを下げるのですが、このときかなり力をかけないとレバーは下がってくれません。

あゆさんも力を入れてレバーを下げていました。

印刷機のレバーを下げる

レバーが下がったら、ゆっくりと3つ数えます。
数え終わったらゆっくりとレバーを上にあげましょう。

これで印刷が終了!

カードを印刷機にセットする

カードの色と材質が違うこと、印刷するときに力をかけることで凹凸がはっきりとでる印刷部分など、オリジナル感が出ています。

あゆさんに活版印刷をしてみた感想を聞きました。

「たくさんの種類や色のなかからカードを選んだのですが、実際に触って比べてみると質感が全然違うので選んでいてとても楽しかったです。

スタッフの方が、ていねいに教えてくださったので上手く印刷することができました!」

活版印刷をしているあゆさんの表情に、楽しさがあらわれていました。

活版印刷体験ができるワークショップ

活版カムパネルラでは初めてでも手軽に活版印刷の体験ができるワークショップを随時開催しています。
コースは初級、中級、上級の三つです。コースごとに紹介しましょう。

GW(ゴールデンウィーク)期間中、および夏休み期間中のワークショップは、特別コースになる可能性がありますので、詳細は公式サイトを参照してください

ワークショップ<初級編>

初級編のミニノート(画像提供:活版カムパネルラ)
初級編のミニノート(画像提供:活版カムパネルラ)

ワークショップの初級編はミニノート作りです。
料金はミニノート1冊の代金を含め1,100円(税込)

初級編は活版印刷機を実際に使って印刷体感ができるコースです。
文字とイラストがセットになった全8種類の尾道モチーフのデザインから、好きなものをひとつ選び印刷をします。

初級編のワークショップの流れは以下です。

  1. イラストを選ぶ
  2. ノートの色を選ぶ
  3. 印刷する

これで完成!
体験時間は約15分と気軽に活版印刷を楽しめますよ。

ローラーを上下するときに香るインクの匂いが、「印刷するぞ!」という気分を高めてくれます。

画像提供:活版カムパネルラ
画像提供:活版カムパネルラ

自分で印刷したカードやノートは、インテリアとして部屋に飾ってもよいですね。

活版印刷体験の初級編は時間が15分程度なので、気軽に参加できるワークショップです。

ワークショップ<中級編>

中級編のカード(画像提供:活版カムパネルラ)
中級編のカード(画像提供:活版カムパネルラ)

ワークショップの中級編は、カード作り。活版印刷の工程を一通り体験できるコースです。
料金はカード5枚の代金を含め2,200円(税込)です。

中級編の特徴は、自分で活字を拾い活字をつめて組み版を作ること。
活字を拾う「文選」→レイアウトする「組版」→「印刷」
活版印刷の工程を一通り体験できます。

選べるデザインは7種類。活字は全角14文字までの1行が組めるので、よりオリジナリティあふれるカード作りが可能ですよ。

使える活字は、ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字と記号が少し。
体験前に印刷する文章を考えておくとよいですね。

カードは約50種類の中から5種類を選べます。

デザインと活字を選べば、決まった構図で印刷するのできれいに仕上がるそうです。

画像提供:活版カムパネルラ
画像提供:活版カムパネルラ

中級編の体験時間は自分で活字を拾って組み版を作る作業なので、1時間ほどかかるので、時間に余裕をもって活版カムパネルラへ行きましょう。

ワークショップ<上級編>

上級編のカードとノート(画像提供:活版カムパネルラ)
上級編のカードとノート(画像提供:活版カムパネルラ)

じっくりと本格的に活版印刷を体験したいかたに向けたコース、上級編も用意されています。

上級編は、カードまたはビス留めノート作り。活版印刷の工程(文選、組版、印刷)をじっくりと取り組めます。

イラストはひとつ、文字は3行まで入れることが可能なので、いろいろとこだわって印刷したいかたは上級編がおすすめです。

活版印刷のひらがなの活字を選ぶ

料金は選ぶ印刷素材によって異なります。
カード5枚は3,630円(税込)、ビス留めノート1冊が4,070円(税込)です。
体験時間は約2時間なので、どっぷりと活版印刷の世界に入りたいかたは上級編がよいかも。

3種類のカードのデザイン
ビス留めノート(画像提供:活版カムパネルラ)
ビス留めノート(画像提供:活版カムパネルラ)

ワークショップをしたい!と思ったかたは、各コースとも予約で希望日が埋まっていることがあるため、体験をしたい日時が空いているかどうかを確かめてから事前予約をすることをおすすめします

活版印刷で名刺も作成できる

和紙のカード

活版カムパネルラでは、名刺の印刷も扱っています。

自分でデザインした名刺を自分で印刷するプランもあるので、個性的な名刺が欲しい、印象に残る名刺を作りたいというかたには、活版印刷で作った名刺がよいかもしれません。

デザイン(形式ai アウトライン化済)を持ち込み、店内の用紙を使い自分で手動活版印刷機を使い印刷する「自分で印刷コース」なら、100枚が11,000円(税込)から作成可能です。

自分で100枚を印刷するのであれば、印刷時間は2時間ほどと考えておいたほうがよいでしょう。

和紙のカード

初めて名刺交換をしたときに話題になりそうな名刺の素材は、厚紙の切り落としがないタイプ。

この紙は南三陸ののぞみ福祉作業所で作られている手漉き紙「NOZOMI PAPER」です。
全国から送られてくる紙パックを素材にして、1枚1枚ていねいに作られています。

ホワイトの他、コーヒーを混ぜた薄いブラウン、新聞紙を混ぜているグレーはどれも個性的。

少し厚めの紙に凹凸が感じられる文字の名刺はインパクト大ですね。

名刺の印刷もいろいろと要望をきいてもらえるので、興味がある人は問い合わせてみてください。

あたたかみがあるいろいろな商品

紙もの雑貨(2021年3月撮影時のもの)
紙もの雑貨(2021年3月撮影時のもの)

活版カムパネルラにある商品にはあたたかみがあります。

メッセージカードや便せん、封筒、はがきなどの活版印刷の紙もの雑貨は、尾道在住のイラストレーターのデザインや、活版印刷所で使われていたレトロな版を使い印刷されているそうです。

動物人形や陶磁器、アクセサリーなど、広島県内の作家が造る作品やデザインプロダクトなども販売されています。

1点ものが多いので、いいなと思ったものは手にしたほうがよいかもしれません。

2021年3月撮影
2021年3月撮影

活字も売られています。お土産にもよいですね。

活版カムパネルラのカード

毎回来るたびに、新しいデザインの商品に出会える活版カムパネルラ。

活版印刷の体験ができる雑貨店は珍しく、どのようにして活版カムパネルラが誕生したのかなどを、スタッフの國近(くにちか)さんに話しを聞きました。

活版カムパネルラのデータ

活版カムパネルラ扉ロゴ
名前活版カムパネルラ
所在地広島県尾道市東土堂町11-2
電話番号0848-51-4020
駐車場なし
駐車場はないので、公共交通機関か近隣の駐車場を利用。
尾道駅より徒歩10分。
営業時間午前10時から午後6時
定休日なし
年末年始は休業
利用料(税込)活版印刷のワークショップ

初級編(約15分)
ミニノート1冊 1,100円(税込)

中級編(約1時間)
カード5枚 2,200円(税込)

上級編(約2時間)
カード5枚 3,630円(税込)
ノート1冊 4,070円(税込)
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・PayPay・d払い
  • 交通系ICカードはPiTaPaを除いて対応。
予約の可否
ワークショップは予約なしでも空いていれば可能だが、事前予約をしておいたほうが確実。
トイレ
子育て
バリアフリー
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