笠岡市でバナナとパパイヤを栽培し、販売するプランター。
代表取締役の小堀秀男(こぼり ひでお)さんと、野口百緒(のぐち ももお)さんに話を聞きました。
バナナの栽培に挑戦した理由
なぜ笠岡でバナナの栽培を始めたのですか?
小堀(敬称略)
バナナ園を始める前に、ここの土地を買って家庭菜園をしていました。
農薬不使用でジャガイモなどいろいろ作りましたね。
イベントや建設会社の展示会でお客様に振舞っていました。
ちょうどこの家庭菜園を商売に変えようかと考えていたところに、知り合いから「土地があるならパパイヤを作ってみない?」と声がかかったんですよ。
その知人をとおして、桃太郎パパイヤ研究所という機関につながりました。
岡山県産バナナ「もんげーばなな」の苗も手掛けている研究所です。
2015年にパパイヤからスタートし、何本か木を残して瀬戸内ばななの栽培を開始。
当初、瀬戸内ばななの苗も桃太郎パパイヤ研究所のものを使っていました。
当時の2015年はもんげーばななも誕生しておらず、パパイヤにしてもバナナにしても誰も栽培していませんでした。
農業を始めるときに思ったのは、ここの畑の周りにはブロッコリーなど作っている農家さんがいらっしゃって、先輩がたの邪魔をしてはいけないなと。
二番煎じ、三番煎じにならず、周りの邪魔にもならず、まだ誰も扱っていない農薬不使用でできるものを考えました。
パパイヤは酵素を多く含むので、虫がつかず農薬不使用で栽培ができるんです。
バナナにつく虫がいるんですが、本場の熱帯にはいて日本の温帯にその害虫はいません。
岡山県は晴れの国で日照時間長く、なかでも笠岡は晴れの日が多く栽培に良い環境。
干拓地なのでミネラルを含んだ土でこちらも植物にとって良いものです。
成長を促すカルシウムを木に与えるため、笠岡で獲れた牡蠣の殻を砕いて土に撒いています。
農薬不使用農業に着目したきっかけは何ですか?
小堀
私の本業は建築で、健康寿命を延ばす住宅を建てなければと思っています。
毎年多くのかたがヒートショックで亡くなっていますが、命を守る住宅にしなければならないですよね。
ヒートショック:急激な温度変化により血圧が上下に大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす健康リスクのこと。脱衣室、トイレなど、室温と温度差の大きいところで起こりうる。
健康寿命を延ばすには、食も大切です。
体を作っているのは食ですから、農薬を使わない作物をしようと思いました。
苦労したこと
国内でも珍しいパパイヤやバナナを手掛けるのは大変だと思います。どの点に苦労しましたか?
小堀
岡山県内でも初めての試みなので誰にも教えてもらえないところですね。
行政にも相談したけれど、日本語の詳しい文献がないそうで。
何をしたらどうなるか、毎年毎年手探りです。
予想を立てながら育てています。
MUSAを開発した想い
MUSAを開発したきっかけを教えてください。
野口(敬称略)
父が丹精込めて作った瀬戸内ばななを有効利用できないかと考えたことがきっかけです。
味は売りものと変わらないのに形が悪いせいで出荷できないバナナがあり、目の前で捨てられていました。
それがとても悲しくて。
私は二十歳からずっと東京に出ていて、昨年(2022年)に笠岡に戻りました。
帰省しているときに、バナナの畑を見て「すごいことをやっているな」と思っていたんです。
父の瀬戸内ばななに出会うまで、実はバナナに馴染みがありませんでした。
匂いが苦手で食べられなかったんです。
でも瀬戸内ばななは良い香りで、すっきり甘くて、おいしいと思えました。
自分が感動したバナナ、おいしくて体に良いものを多くのひとに届けるためにMUSAを作りました。
おすすめの食べかたはありますか?
野口
どのフレーバーもバターとの相性が良いです。
たとえば糀プレーンは、クロワッサンに塗るのがおすすめ。
カレーの隠し味のチャツネの代わりに使っても良いですね。
バナナのフルーティーな甘みがプラスされて、カレーのスパイスにもマッチします。
カカオは食パンが合います。
抹茶は白玉に合わせても。
お酒が好きでしたら、焼酎やワインのあてにするのも良いですよ。
MUSAはきめ細かいペースト状なので、舌触りが良く、なめらかです。
蓋を開けた瞬間は糀の香りがして、あとからバナナがやって来ます。
甘さは強いですが、すっきりとした味で重たくないのが特徴です。
口のなかでどんどん味が変わりますし、ひと口目とふた口目も変化があります。
幸せホルモンのセロトニンが分泌されるバナナを手軽に食べられ、糀で腸活もできて一石二鳥・三鳥の商品です。
おわりに
お手本がない新分野に挑戦した小堀さん。
すべてが未知で手探りのものを扱うのは、相当な努力と覚悟がないとできません。
苦労を感じさせずに、にこにこと笑顔で話す小堀さんに感動せずにいられませんでした。
こだわりの詰まった瀬戸内ばななを余すことなく使い、多くのひとへ届けたいと願う野口さんからも強い信念を感じました。
東京から笠岡に戻り、農業に挑戦し、父である小堀さんを支えるのも覚悟が必要だったのではないかと想像できます。
岡山の新しい食を開拓し、発展するプランターのこれからに目が離せません。
農業生産法人 株式会社プランターのデータ
名前 | 農業生産法人 株式会社プランター |
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住所 | 岡山県笠岡市二番町5-15 |
電話番号 | 0865-63-5077 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前9時~午後3時30分 |
定休日 | 土、日、祝日 |
支払い方法 | |
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