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SOLFARM(ソルファーム)~ 農業×医療で地域の元気をかなえるチャレンジ

SOLFARM(ソルファーム)~ 農業×医療で地域の元気をかなえるチャレンジ

知っとこ / 2025.03.04

ビーツ、パクチー、モリンガ。

この日本では聞きなじみのうすい野菜たちは、東南アジアの国々でよく食べられています。

エスニック料理が食べたいと思っても、アジア野菜が手に入りにくかったり、使いかたがわからず持て余してしまったりすることもあるでしょう。

福山市金江町(かなえちょう)のSOLFARMソルファーム)では、技能実習生など、母国の味を求める人たちに向けてアジア野菜を中心に栽培・販売しています。

看護師歴10年以上のキャリアをいかして、農業と医療、地域をつなぐチャレンジをしている石井元喜(いしい もとき)さん、石井詩織(いしい しおり)さんご夫妻に話を聞きました。

記載されている内容は、2025年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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安全でおいしいアジア野菜を育てるSOLFARM

SOLFARMでは、日本で暮らす外国人に向けて、東南アジア諸国で愛されている野菜を中心に栽培・販売しています。

福山市で暮らす外国人は、2025年1月末時点で11,886人。とくに造船業のさかんな海沿いでは、多くの技能実習生が働いています。

彼らの多くはベトナムやフィリピンなど、東南アジア諸国出身です。

母国から遠く、言葉も文化も異なる日本での生活は、苦労が多いもの。

弱ったとき、心細いとき、故郷の味に触れるとほっとするのだそうです。

おいしいアジア野菜(画像提供:SOLFARM)
おいしいアジア野菜(画像提供:SOLFARM)

シナモンバジルやキャッサバ、パクチーにレモングラス。

日本ではあまりなじみのない野菜も、技能実習生にとってはなつかしい故郷の味です。

参考:福山市の統計

食べてうれしい故郷の味

SOLFARMの野菜は、福山市内のやまさきショップ各店や道の駅アリストぬまくま、イベントなどで手に入ります。

売り場では、品物を見て歓声をあげる人も多いのだとか。

「彼らがこの野菜を作ってくれているんだ!」と、故郷の家族にテレビ電話で紹介されたこともあるそうです。

新鮮なビーツはサラダに入れてもおいしい
新鮮なビーツはサラダに入れてもおいしい

石井さんたちにとってもなじみのうすかった野菜たち。

売り場で集まるさまざまな意見が、販売方法を考える助けとなります。

「この野菜は葉の部分まで食べるから、丸ごとほしい」
「この野菜はたくさん使うから、いっぱい入ったものがほしい」

おいしい食べかたも、お客さんから教わることが多いそうです。

茎も赤いビーツの葉(画像提供:SOLFARM)
茎も赤いビーツの葉(画像提供:SOLFARM)

「日本は野菜が本当においしい。そんな日本で、この野菜が食べられるなんて思わなかった」

そう言って喜ぶお客さんの顔が、おいしい野菜を育てる原動力になっています。

食べる人にも作る人にもやさしいオーガニック

SOLFARMでは、無農薬栽培に取り組んでいます。

農薬が適正に使用されている場合、慣行農法で栽培された野菜を食べても健康に影響はありません。

それがわかっていても農薬を使わないのは、石井さんたちが看護師として働くなかで健康の大切さを感じていたからです。

パクチーを収穫する石井さん

「農薬を使っていても、食べるぶんには問題がないんですよ。でも、散布する人はかなりの量の農薬にさらされてしまうんです。野菜を作るために、自分たちの健康が損なわれるのは困りますからね」と石井さんは語ります。

農薬の使用には厳密な規定があり、回数や量などを品種ごとに細かく管理する必要があります。

さらに野菜ごとに使う農薬も異なるため、農業資材費もかさむのだそうです。

少ない種類の野菜を栽培するぶんには、農薬の管理ができるのかもしれませんが、小規模で多品種を育てているSOLFARMには難しい。

そこで、石井さんは無農薬栽培への挑戦を決めました。

SOLFARMでは虫がつきにくく、病気に強い品種を選ぶことで、農薬を使わなくても野菜が育てられるよう工夫しています。

虫がつきにくい野菜は、香りが強い野菜に多いもの。

パクチーは鍋の具材にしてもおいしいと語る石井さん
パクチーは鍋の具材にしてもおいしいと語る石井さん

無農薬栽培は、香りや風味の強いアジア野菜と相性が良いのかもしれません。

さらにSOLFARMでは、微生物や土に混ぜた廃菌床(はいきんしょう:収穫が終わったあとのきのこの菌床)の力を借りることで、化学肥料も使わない栽培が可能となっています。

成長はゆっくりですが、そのぶん味の濃い野菜ができあがるのだそうです。

スーパーフードを生活の一部に

SOLFARMは、2025年からスーパーフードの栽培・加工に力を入れています。

「奇跡の木」とも呼ばれるモリンガ(画像提供:SOLFARM)
「奇跡の木」とも呼ばれるモリンガ(画像提供:SOLFARM)

スーパーフードとは、一般的な食品よりも栄養価が高かったり、一部の栄養や健康成分が突出して含まれていたりする食品のことです。

SOLFARMではスーパーフードのうち、「食べる輸血」とも呼ばれるビーツや「奇跡の木」であるモリンガなどを栽培しています。

スーパーフードは体に良いからといって、一度にたくさん食べれば健康になるものではありません。毎日少しずつ食べることが大切です。

とはいえ、忙しい現代人が毎日調理するのは大変なうえ、加工や保存にも手間がかかります。

そこで、SOLFARMでは食卓に取り入れやすいかたちにしてスーパーフードの提供を始めました。

ビーツジャムはヨーグルトに入れるのがおすすめ
ビーツジャムはヨーグルトに入れるのがおすすめ

たとえば、ビーツならジャム、モリンガならレモングラスに合わせてハーブティーに。

無理なく生活に取り入れられるよう工夫しています。

畑から健康を作っていくのが、SOLFARMの仕事です。

もともと岡山県倉敷市で看護師をしていた石井さんご夫妻。コロナ禍を機におふたりの実家がある福山市へ戻り、SOLFARMを開業しました。

なぜ看護師という安定した仕事を辞め、経験のない農業にチャレンジしたのか。お話を聞きました。

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SOLFARMのデータ

名前SOLFARM
住所福山市金江町
電話番号090-7898-7290
ホームページSOLFARMもとき/畑のナースが作るスーパーフード
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香村みゆき

香村みゆき

フリーライター。福山うまれ福山そだちの箱入り市民。趣味はひなたぼっこと読書で、好きなお米はササニシキ。地元民ならではの備後の魅力を発信していきます。

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SOLFARM石井さんご夫妻

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