リノベーションによる活性化で、新たな店が進出中で注目のエリア、JR福山駅前の伏見町(ふしみちょう)。
そんな伏見町には、長年営業している老舗の和菓子店もあります。
お店の名前は「富久屋本舗 (ふくや ほんぽ、以下 富久屋)」。
福山城の伏見櫓(ふしみやぐら)の瓦をモチーフにした「伏見最中」と、鮮やかで美しい「季節の生菓子」が名物です。
最大のこだわりは、餡(あん)をすべて薪(まき)で焚いていること。
さらに、添加物はいっさい使っていません。
昭和8年(1933年)に創業し、こだわりの和菓子づくりを続ける老舗・富久屋の魅力を探っていきましょう。
記載されている内容は、2021年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
交通機関での行き方
鉄道の場合はJR福山駅、バスの場合は福山駅南口の駅前バスロータリーで降りましょう。
最初に目指すのは福山駅前交番です。
▼鉄道で来た場合、福山駅の改札を出たあと南出口(バラ公園口)を出ます。
南出口を出たら、すぐ進行方向左(東)へ曲がって進みましょう。
すると信号機のある横断歩道が正面に見えますので、渡ります。
渡ったら、進行方向右方向(南)へ約50メートル進んでいきましょう。
すると福山駅前交番の前に出ます。
続いて、バスで来た場合の行き方です。
バスロータリーの東側へ向かいます。
バスロータリーの東にある横断歩道を渡りましょう。
横断歩道を渡ったら進行方向左(南)へ曲がって約20メートル進むと、福山駅前交番があります。
ここからは、鉄道の場合もバスの場合も同じ進路です。
▼福山駅前交番の前から東に延びる筋(福山駅前1号線)があります。
この筋を入りましょう。
駅・バスロータリーから来たときは、進行方向左(東)に曲がります。
曲がったら、そのまま約150メートル直進してください。
進行方向右(南)に「今川茶舗」、左(北)に「ちょうけい次兄」が見えたら、もうすぐです。
「今川茶舗」「ちょうけい次兄」を過ぎて約15メートルの地点、道路の南側(進行方向右)に富久屋本舗の店舗があります。
すぐ東隣に「旧水曜カレー」、向かいに「ウォータリング・ホール(Watering Hole)」があるのが目印です。
自動車での行き方
富久屋本舗には、専用駐車場はありません。
マイカーで行く場合は、近隣のコインパーキングを使いましょう。
最寄りのコインパーキングは、以下のとおりです。
富久屋は福山駅前・伏見町にある老舗の和菓子店
富久屋は、伏見町にある和菓子の製造・販売をする店です。
店の東隣には「旧水曜カレー」、少し西には老舗茶舗の「今川茶舗」があります。
さらに富久屋の向かいには、リノベーションされたビル「WATERING HOLE(ウォータリング・ホール)」。
WATERING HOLEには「Join Spot 伏見町/Freeman Coffee」「備後福山ブルーイングカレッジ&THE BEER」「かみてつ青果店」、居酒屋「かすり」などが入居しています。
伏見町は2018年ごろからリノベーションによる地域活性化がおこなわれ、新たな店がドンドンと出店している、福山で注目のエリアです。
そんな伏見町にある富久屋の創業は、昭和8年(1933年)。
実は、創業時は現在の明治町で営業していました。
やがて、元町に移転。
戦後の昭和20年代後半に、伏見町の現在地に移りました。
店主の堀 博敏(ほり ひろとし)さんは、二代目。
昭和40年代半ばごろ、初代である父親の跡を継ぎました。
中高生のころに、将来は和菓子の世界に入り、店を継ごうと決意。
高校卒業後に東京の菓子の学校に通い、和菓子の技術を学びました。
卒業後、そのまま東京の和菓子店で2〜3年修業したあと帰郷し、富久屋を継いでいます。
店内には、以前に富久屋で製造していた「伏見殿(ふしみでん)」のサンプルや、干菓子(ひがし)をつくっていたときの木型が展示してありました。
伏見最中・伏見殿のモチーフになった伏見櫓は、元和8年(1622年)に福山城が築城されたとき、徳川家康の建てた伏見城(現 京都市伏見区)の松の丸にあったものを徳川秀忠が福山城に移築したものです。
福山城の本丸の南西に位置し、福山空襲による焼失をまぬがれた数少ない福山城の建造物のひとつ。
そのため、国の重要文化財に指定されています。
富久屋の商品
価格は消費税込。2021年(令和3年)3月時点の情報
2021年現在、富久屋で製造しているのは「伏見最中(ふしみ もなか)」と「季節の生菓子」の2商品のみです。
ほかは、仕入れた菓子を販売しています。
富久屋の餡はすべて薪で焚くからおいしい!添加物はいっさい不使用
富久屋の最大の売りは餡。
富久屋では、伏見最中や生菓子で使う粒餡・こし餡・白餡など、すべての餡は薪で焚いているのです!
店主の堀さんの話では「薪とガスでは、火力の特徴や熱の伝わりかたが違うんです。それが餡の味や特徴にも影響します」とのこと。
もともと富久屋では、創業時から餡は薪で焚いていました。
でも、昔は薪で餡を焚くのは当たり前。
しかし高度成長期を経て、だんだんと薪が使われなくなっていきます。
かつてオイルショックのころ、一度ガスで餡を焚きました。
薪の業者が減少したからです。
でも何度やっても、いつもの味が出ません。
それで薪の業者を必死で探して、薪焚きを復活させました。
以降、ずっと薪焚き一本ですよ!
その後さらに業者が減少。
現在(2021年)は北房(現 岡山県真庭市北房地区)の薪業者の薪を買っています。
ピザ屋などが薪を使っているので、業者が福山に来る便があれば寄ってもらっているそう。
しかし普段は、なんと堀さん自身が軽トラックを北房まで走らせ、薪を買って帰っているのです。
薪で焚くほかにも、食材にもこだわりがあります。
粒餡・こし餡の小豆は、北海道産の小豆を使っています。
白餡で使っているのは、手亡豆(てぼうまめ)です。
薪焚きの餡や食材とならぶ富久屋のこだわりが、添加物をいっさい使わないこと。
そのため、たとえば伏見最中だと原材料は以下のようにシンプルです。
- 砂糖(上白糖)
- 小豆
- 寒天
- もち米
添加物を使わないことで、食べたあとに後を引かない、スッキリとした上品な甘さを楽しめます。
伏見最中・生菓子は、1個単位で販売しています。
箱入りの場合、簡易箱と化粧箱の2種類を選んでください。
化粧箱に入れるときは、価格×個数にくわえて箱代がかかります。
簡易箱は無料です。
「伏見最中」は富久屋の真骨頂・粒餡の味わいが楽しめる看板商品
「伏見最中」(1個 180円)は、富久屋の看板商品です。
とても人気の商品で、午前中に売り切れてしまうこともしばしば。
取材時も午前10時前だというのに、残り数個というではありませんか。
伏見最中は、福山城の伏見櫓の軒丸(のきまる)という瓦(かわら)をモチーフにした最中種が特徴です。
さらに最中種の中には、自慢の薪焚きの粒餡がギッシリと詰まっています。
気になるのは、なぜ伏見櫓の瓦をモチーフにしているかという点です。
伏見櫓は、昭和26年(1951年)に修繕工事をおこないました。
このとき瓦がふき替えられ、古い瓦の軒丸のひとつが富久屋に寄贈されたのです。
これが、伏見最中が伏見櫓の軒丸瓦の形をしている理由。
店内に伏見櫓の瓦を展示しています。
ぜひご覧ください!
展示されている瓦と伏見最中を見比べると、形がソックリです。
伏見最中は、食べる前から最中種の香ばしい香りが立ちこめてきます。
食べると、最中種のパリッという軽快な音と食感、香ばしさが広がってきました。
そして、次にネットリとした粒餡の舌触りと、小豆の風味。
それとともに、甘すぎずほどよい程度の上品な甘さが広がります。
さらに、ホクホクとした小豆の粒の食感がアクセントに。
伏見最中は、絶妙な甘さの粒餡をタップリと味わえる最中だと思います。
しかも伏見最中の形は前後に長いので、とても食べやすいのもポイントです。
「季節の生菓子」は四季折々を表現した芸術的な練り切り
伏見最中とならんで、富久屋の代表商品である「季節の生菓子」(1個 150円)。
もちろん、生菓子でも白餡やこし餡などはすべて薪で焚いています。
もともと先代のころの富久屋は、饅頭などの焼菓子が中心でしたが、季節の生菓子は二代目・堀博敏さんが始めました。
「福山は茶道が盛んな地域で、茶道で出す菓子を買い求めるお客様がたびたび来店されました。それが生菓子を始めたキッカケです」と堀さんは振り返ります。
季節の生菓子は、時季によって販売される種類が変わるのが特徴です。
季節を表現し、時季それぞれを象徴するものをモチーフにしているんです。
たとえば、取材時の3月中旬は以下の6種類でした。
- 早(さ)わらび
- 春の川
- チューリップ
- 西王母(せいおうぼ)
- 春衣(はるころも)
- 水温む(みずぬるむ)
富久屋の季節の生菓子の特徴は、なんといっても菓子の美しい見た目です。
まるで芸術品のようで、食べるのがもったいなく思ってしまいます。
取材の前の時季には「うぐいす」「うめ」「早春」などの生菓子があったそう。
なお、富久屋の生菓子は「練り切り」と呼ばれる種類のものです。
練り切りは、白こし餡と求肥を混ぜ合わせてつくられています。
練り切りの中には、白こし餡の入ったものと黒こし餡の入ったものがあります。
富久屋の餡と近隣店とのコラボレーション商品も
富久屋は、新しい店が続々進出中の伏見町にあります。
富久屋の近くにある店では、富久屋こだわりの薪焚きの餡を使った商品を販売している店があるのです。
富久屋向かいのWATERING HOLEにある「Join Spot 伏見町/Freeman Coffee」では、富久屋の粒餡を使った「あんバタービスケット」があります。
同じくWATERING HOLEにある「かみてつ青果店」は、カラメルソースの代わりに富久屋の粒餡を使った「手づくりあんぷりん」を販売しています。
コラボレーションがきっかけで、富久屋の菓子に興味をもつかたもいるそうです。
なお「あんバタービスケット」「手づくりあんぷりん」とも、富久屋では販売していません。
伏見町活性化で「若い世代のリピーターが増えてうれしい」
富久屋の店主・堀 博敏さんは「子供は違う仕事をしていますし、私のやれる限り菓子づくりを続けていきたい」と話します。
富久屋がある伏見町は、リノベーションによる地域活性化が盛んです。
店の近くには、新たな店が続々と登場しています。
「数年前に比べると、人通りが格段に増えました。活気が出るのはいいこと。これからが楽しみですね」と堀さん。
「当店のお客さんも増え、とくに若い世代のリピーターが増えました。今まで当店のお菓子を知らなかったかたに食べていただけるのは、とてもうれしいです」と笑顔で語りました。
80年の長きにわたり、薪で焚く餡づくりにこだわってきた富久屋本舗。
富久屋の餡は一度食べたら、また食べたくなるおいしい餡です。
ぜひ、お土産に富久屋の商品を買ってみてはいかがでしょうか。
富久屋本舗のデータ
名前 | 富久屋本舗 |
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住所 | 広島県福山市伏見町4-16 |
電話番号 | 084-922-2271 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前8時〜午後12時 (売り切れしだい終了) |
定休日 | 日 |
支払い方法 |
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