島の人に話を聞きました
北木島には、笠岡諸島全体の自立的発展、島民の生活安定と福祉向上を目的にサービスを提供している、NPO法人があります。
NPO法人かさおか島づくり海社 理事長の鳴本浩二(なるもと こうじ)さんに、話を聞きました。
鳴本さんの考える北木島の魅力はどんなところですか?
鳴本(敬称略)
外から見た魅力は、実はあまりわかりません。
しかし、生活するなかでの魅力を感じています。
地域には、青年団活動がありました。
青年団は、地域コミュニティをつかさどるところですね。
北木島には3つの青年団がありました。
ぼくが青年団に入ったころは、小さな集落に43人ほどの青年団員がいて、半分以上が女性でした。
地域の困りごとや年中行事や文化芸能を仕切っていて。
何でも活動ができたので、そういう地域の活動に魅力を感じていました。
先人たちがいろいろなことをしながら、地域を守って育ててきた。
自分も島でなにかしたい、できることをがんばってやりたいな、と思っていました。
現在は、夜に食事を持ち寄って集まり、「どこの家の人が困っているから助けよう」とか、そんな地域の話をしています。
笠岡諸島が日本遺産に認定されましたね。
鳴本
観光は一朝一夕でうまくいくものではありません。
島民は、雇用が生まれるもの・少しでもお金になるものを作りたいと考えています。
訪れた人も島の人も喜ぶような、観光のありかたを考えなければいけません。
観光客はあまり知らない、おすすめのスポットってありますか?
鳴本
ないかなあ……。いえ、本当はあると思うんです。
でも、生活のなかに入ってしまっているから、観光スポットだとは感じないんですよ。
北木島だけでなくて、どこの島もですが。
以前、島外のかたが撮った写真を見せて「ここはどこでしょう?」と島の人に聞いたことがあるんです。
意外とどこかわからないんですよね、いつも見ている景色でも目線が違います。
なにも情報をインプットせずに島を歩いたほうが、いいところが見つかるんじゃないでしょうか。
「観光スポットを見に行こうとする」ではなくて、好きなところを探してほしいですね。
逆に、観光客にしてほしくないことはありますか?
鳴本
ぼくが思うには、あまりないんじゃないでしょうか。島の人は純粋で優しい人たちなんです。
「ズカズカ入ってくる」ようなことがなければ、「こんにちは」といったあいさつだけでも喜びます。
鳴本さんが島のために活動している原動力って、なんですか?
鳴本
落ち着くのかな、ぼく自身が。
本業は石材業なんです。
出張に行くと「早く帰りたいなあ」と思っていたし、島に戻って来ると落ち着いていました。
NPO法人かさおか島づくり海社の理念のひとつに、「島で生まれて島で育った人たちが、1日でも長く島に住み続けられるような環境をつくりたい」というものがあります。
笠岡諸島の有人島は7島ありますが、ひとつになって考えて、住み続けられる環境づくりに向かって活動しています。
活動を初めて25年以上になりますが、「もうやめよう」とひるんだことは1度もありません。
家族に「もうやめなさい」って怒られたことは、何度もありますけどね(笑)
おわりに
北木島は、採石跡が独特の景観を作っている穏やかな島です。
のんびり歩いていると、周囲の草花が目を楽しませてくれます。
観光客の多い島ではありませんが、レンタサイクルも飲食店もあるので、比較的観光しやすいのではないでしょうか。
海水浴場もありますし、マリンレジャーや釣りなども楽しめます。
食事できる場所もあって、歩きやすい島でした。
筆者は取材も兼ねて訪れたので、インタビューやイベントへの参加があり、一部しか巡っていません。
しかし、ふつうに旅をするならば、日帰りでもレンタサイクルを使って島の南のほうへ行けます。
また訪れて、島の南のほうも歩いてみたいです!