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石鍋うどん専門店 ぶに家 盛たに 〜 ここでしか味わえない石鍋うどん「ぶに」を備後名物に。一度食べたらやみつき!たぎるスープはインパクト大

石鍋うどん専門店 ぶに家 盛たに 〜 ここでしか味わえない石鍋うどん「ぶに」を備後名物に。一度食べたらやみつき!たぎるスープはインパクト大

食べとこ / 2023.01.15

盛たにのオーナー・盛谷和美さんへインタビュー

盛たに:代表 盛谷和美さん

一度食べたらトリコになってしまうほど人気の石鍋うどん「ぶに」。

「ぶに」の生みの親で、盛たにのオーナー・盛谷 和美 (もりたに かずみ)さんへインタビュー。

開業の経緯やこだわり、「ぶに」の誕生エピソード、今後の抱負ややっていたいことなどについて話を聞きました。

インタビューは2020年11月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

機械系のメーカーからうどん店へ転身

盛たに:代表 盛谷和美さん

はじめに、開業の経緯を教えてほしい。

盛谷 (敬称略)

実は、私は最初からうどん業界や飲食業界で働いていたわけではありません。
もともと機械系のメーカーで働いていたんです。

出張が多い仕事だったんですが、香川県の宇多津町にも取引先がありました。

そこへ出張に行ったとき、取引先の社長がいつも決まって同じうどん店に連れて行ってくれたんです。

しかも、わざわざ宇多津から離れた高松市内まで車で移動して(笑)。

でもそこのうどん店がすごくおいしかったんですよ。
わざわざ宇多津から高松まで行く理由がわかりました。

以来、私も香川県に行くたびにそのうどん店へ行くほど好きになったんです。

それが、うどん店開業にどう発展した?

盛谷

前に勤めていた機械系のメーカーは、勤続15年を超え、ある意味やりつくした感じがしていました。

また、ちょうどそのころ業界を取り巻く環境も変わっていて、海外へ拠点が移され、海外出張も多かったんです。

自分の将来や業界の先行きを考えるなか、新しい何かに挑戦したいという気持ちが芽生えてきました。

最初は、私が好きだった車やパソコンなどに関係する業界に転職することを考えていたんです。

しかし、あるとき笠岡市内にあるうどん店で役員を務める知人から、新しい店長を探しているから来てほしいという声をいただきました。

私は、高松のうどん店がきっかけでうどんが好物になっていたんです。

うどんどころか飲食業界は、仕事として今まで経験がありませんでしたが、そのうどん店で働くことに決めました。

もともと父が食通で、子供のころいろいろな店へ連れて行ってくれていたので、「舌」は鍛えられていたと思います。

また料理も好きで、小さいときから料理番組もよく見ていて、料理もよくつくっていました。

そのような経緯もあって、本格的な料理の勉強や仕事経験はありませんでしたが、うどん店で働くことにしたんです。

勤務店が閉鎖、独立してうどん店を開業し人気メニューを存続させる

盛たに:代表 盛谷和美さん

うどん店勤務のあとに開業した?

盛谷

そうですね。うどん店で約9年間、店長として働きました。

しかし、残念ながらそのうどん店は閉鎖することになったんですよ。
2012年(平成24年)7月のことです。

そこで自分でうどん店をやろうと思い、「ぶに家 盛たに」を開業しました。

開業は2012年12月。
場所は福山市三吉町、ちょうど福山税務署の北向かいでした。

そして2018年(平成30年)10月に、現在地へ移転しています。

なぜ新しいうどん店への勤務ではなく、独立開業の道を選んだ?

盛谷

私はうどん店の店長時代、いろいろな新メニューを開発していました。

機械系メーカー時代にいろいろアイデアを出す必要があったので、企画を考えるのが好きなんですよ。
そんななかで、お客様に好評なメニューもあってレギュラーメニューとして定着したものもありました。

そして現在の店・盛たにで看板となっている「ぶに」シリーズもうどん店の店長時代に考案したものなんです。

これらの人気メニュー、とくに「ぶに」シリーズの影響もあり、勤めていたうどん店は2011年(平成23年)ごろFacebookの「Facebookページ」人気ランキングのレストラン部門で全国11位になっていたんですよ!

さらに岡山県のFacebookページのチェックインランキングでは、6位になりました。

そんな状態でも、残念ながら店は閉めることになってしまったんです。

閉店のお知らせをすると、とてもたくさんのお客様が行列をなして食べに来てくれました。

私は「ぶに」シリーズに手応えを感じていて、さらに閉店を聞いて駆けつけてくれたお客様を見て、「ぶに」シリーズを始めとしたオリジナルうどんは存続させたいと思うようになったんです。

そのためには、独立開業してうどん店をするのが一番いいと思ったんですよ。

自慢の人気メニュー「ぶに」の誕生秘話

盛たに:赤ぶに 垂れ幕

看板商品の石鍋うどん「ぶに」について、誕生の経緯を教えてほしい。

盛谷

さきほど話したとおり、「ぶに」シリーズは笠岡のうどん店時代に私が考案しました。
最初にできたのは「赤ぶに」です。

赤ぶにが生まれる前、私が最初にヒットさせたオリジナルメニューがぶっかけうどんと天ぷらを合わせた「ぶっ天」といううどんでした。

これが非常に人気になったんですが、天ぷらを揚げる時間がかかるので、とても忙しく大変だったんです。

そこで注文が分散されるように、天ぷら以外の新しい人気メニューをつくろうと思い、誕生したのが「もつ鍋」でした。

今でいう「一人鍋」のタイプです。

満を持して登場させた、もつ鍋はヒットしました。
そして、もつ鍋にバリエーションを増やそうと思いついたのが、キムチ入りのもつ鍋。

味の試行錯誤をし、誕生したのが「チゲ鍋」です。
これが、のちの「赤ぶに」の起源となりました。

そしてあるとき、テレビ番組で石鍋で料理をしているのを見て「これはおもしろそう!」と感じ、さっそく石鍋でチゲ鍋うどんをつくってみたら、すごくおいしかったんですね。

ただ調理時間が思ったよりかかったので、メニューに登場することはありませんでした。

盛谷

そうなんです。
ただ、赤ぶにが世に出るきっかけとなったイベントがありました。

それが2010年(平成22年)の第2回「笠岡ラーメンパラダイス」です。
そこでキムチを使った「強烈ラーメン」というのが出されると知ったんですよ。

そのラーメンを見て、これは私が以前つくった石鍋のチゲ鍋に似ているなと感じました。

試しにFacebookで笠岡ラーメンパラダイスに合わせて、私がつくった石鍋のチゲうどんの画像とともに投稿をしてみたんです。

するととても反響がありまして、「どこで食べられるのか」「私も食べてみたい」という問い合わせがあったんですよ。

それで急遽メニューに登場させることにし、石鍋をたくさん買い、石鍋調理用にガスコンロもたくさん並べてセッティングしました。

Facebookで反響があったとおり、石鍋チゲうどんは大人気となったんです。

盛たに:ぶに 調理風景

「ぶに」という名前の由来は、備後や岡山・香川などの方言?

盛谷

はい。「ぶに」というのは「分(ぶん)」「もの」などを指す方言ですね。

ただ調べてみると、元々は全国的に使われていた言葉のようです。
じょじょに使われなくなって、今では全国でも一部の地域でのみ使われている言葉となったそう。

使われなくなった言葉だからこそ、あえてメニュー名にしたらインパクトがありますよね。

ちなみに「ぶに」というメニュー名になったのは、ある常連のお客様の提案でした。

当初は石鍋チゲうどんは、Facebook上でしか紹介していなかったんです。

だからそれを知らない人は、ほかの人が石鍋チゲうどんを食べているのを見て、メニュー名がわからずに「あの”赤ぇぶに“(赤いやつ)をくれぇ」と言うお客様が何人かいました。

それを聞いた常連のお客様が「だったら、そのまま”赤いぶに”という名前にしたら?」と。

インパクトがあっておもしろいと思って、メニュー名を「赤いぶに」としました。

現在は、少し短くして「赤ぶに」になっています。

これが「ぶに」の名前の由来ですね。

その後「赤ぶに」の人気はさらに高まり、赤ぶにファンがFacebook上のグループで「赤いぶにの会」をつくったりして盛り上がりました。

遠方からのお客様も一気に多くなりましたね。

「赤ぶに」以外の「ぶに」が増えたのは?

盛谷

笠岡時代は、赤・白・黄の3種類でした。

赤がヒットしたあと、取引のある会社のかたからパスタソースの話を聞いたんです。
それをヒントに「白いぶに (のちの「白ぶに」)」を考案しました。

赤と白ができたんで、ほかの色のメニューもほしいなと思ったんです。
そこでFacebookでアイデア募集をしてみました。

集まったアイデアをヒントに、カレー風味の「黄色いぶに (のちの「黄ぶに」)」が誕生したんです。

赤・白・黄以外は独立してから?

盛谷

はい。次に、広島から来ていたお客様から提案されたのをヒントに4つめの「黒ぶに」が生まれました。

そして笠岡のうどん店時代にヒットした、一人鍋のもつ鍋を復活させようと思ったんですね。

そう考えていたとき、食品販売店で買い物をしていたんですが、店に並んでいた塩麹(こうじ)が目に飛び込んできたんです。

それでピンときて、塩麹を使ったもつ鍋うどん(のちの「塩もつ」)を思いつきました。
そしてその応用で辛いもつ鍋うどん(のちの「赤もつ」)も考えついたんです。

ただ、2年くらいは知っている人が注文する「裏メニュー」でした。
なかなかメニューが更新できなくて(笑)。

その後、正式に「塩もつ」「赤もつ」がメニューに登場しました。

盛たにの商圏は50キロメートル?!

盛たに:代表 盛谷和美さん

どんなお客さんが多い?

盛谷

もちろん、地元のかたが多いです。
熱狂的ファンといいますか、けっこうな頻度で通ってこられるリピーターのかたも。

それから少し離れたエリアからの常連客もいます。

東は岡山市、西は三原市あたりから定期的にやってくるお客さんも多いんですよ。
岡山のマスメディアにも取材していただきました。

なかには、遠く広島市内から来るかたもいるほど。

いずれも当店の「ぶに」シリーズが目当て。

「ぶに」のような石鍋うどんは、あまりないようで、インターネットやSNSで知って当店にやってきて食べ、ファンになるようですね。

普通、飲食店の商圏は約5キロメートルといわれています。
でも当店は、商圏が約50キロメートルといっているんですよ(笑)。

FacebookやInstagramなどのSNS、スマートフォンアプリを接客活用しているようだが?

盛谷

Facebookは、前の笠岡のうどん店時代から始めました。

ちょうど2010年(平成22年)ごろからFacebookの講座が多く開催されるようになって、私も参加してみました。

そのときに習ったことを生かしています。

さきほどのように、「ぶに」のヒットにはFacebookが関わっていますので、Facebookを活用したのは正解でした。

独立した今もFacebookを活用しています。
これに加えて、Instagramも使うようになりました。

アプリもスマートフォンが普及してきたころに導入し、スタンプカードやクーポン発行など、いろいろ活用しています。

盛たに:代表 盛谷和美さん

SNSやアプリで工夫していることは?

盛谷

Facebookは、ほぼ毎日更新しています。 投稿時間も、よく読まれる時間帯をねらっているんです。

写真は一番重要なので、キレイな写真が撮れるように工夫しています。

文章は、あえて長文にしていますね。
普通は長文は読まれないというのがセオリーなんですが、長文にして個性を出しているんですよ。

またアプリでもFacebook同様に、毎日更新・写真・長文で投稿していますよ。

私はもともと企業で働いていていろいろな施策をしていたのと、パソコンに興味もあったので、これは強みだと思います。

Facebookやアプリをこまめに更新するのを楽しんでいます(笑)。

「ぶに」シリーズをはじめ、メニューの多くは盛たにオリジナル

盛たに:代表 盛谷和美さん

「ぶに」をはじめ、うどんメニューが充実している印象がある。

盛谷

一部をのぞき、ほとんどのうどんメニューが当店のオリジナルうどんです。

「ぶに」はもちろん、ぶっかけシリーズや汁うどんシリーズの多くも私が考えました。

笠岡のうどん店時代に考えたものも多いですね。

肉うどんなど一般的な種類でも、当店のオリジナルの味や工夫をしています。

大手うどん店もたくさんありますし、一般的なうどんでは値段も含めて大手には太刀打ちできません。

個人店ならではのオリジナリティーがあるうどんに力を入れています。

とはいえ、やっぱり盛たにに来たら「ぶに」シリーズを最初に食べてほしいですね。

「今まで食べたことがないようなうどんだ」「やみつきになるおいしさだ」という声をよくいただきます。

だから2020年に入り「石鍋うどん専門」を店名に掲げて、わかりやすくしました。

年配のかたにも「ぶに」を食べてファンになっていただいています。
これはうれしいですね。

今後は多店舗化も視野に

盛たに:代表 盛谷和美さん

今後の展望や抱負、やってみたいことを教えてほしい。

盛谷

ひとつは、薬膳(やくぜん)メニューを考えたいですね。

今、オリジナリティーのあるメニューがたくさんあるので、あまり増やさないほうがいいと思っています。
そんななかでも、薬膳メニューはやりたいんです。

うどん屋の宿命といいますか、私は小麦アレルギーになったんですよ。
とても苦しくて大変で、辛い時期がありました。

その経験を通じて、食の大切さを知ったんです。
そして、薬膳についていろいろと調べるようになりました。

まだ薬膳について勉強中ですが、お客さんそれぞれの状況に合わせられるような薬膳のメニューをつくれたらいいなと思っています。

もうひとつは、多店舗展開を目指したいですね。

当店以外にあまりない「ぶに」シリーズが人気で、商圏約50キロメートルのエリアからもお客さんが来ています。

だったら、よりたくさんのかたに当店の「ぶに」シリーズを食べていただきたいと思うようになりました。

なので、商圏約50キロメートルよりも遠くのエリアに支店を出したいですね。

福山で人気の石鍋うどん「ぶに」シリーズ

盛たに:看板

6種類の個性あふれる石鍋うどん「ぶに」シリーズ。

Facebookから人気に火が付きファンが増えていったそうですが、私も一度食べてやみつきになりました。

熱々でグツグツと滾(たぎ)っていることや、6種それぞれの味わいも魅力ですが、トッピングやごはんと合わせた食べかたなども「ぶに」の楽しみだと思います。

お客さんそれぞれのトッピング、食べかたが楽しめるのも、多くのお客さんがハマる理由ではないでしょうか。

代表の盛谷さんによると、いつも自分の好きな「ぶに」を食べるかたと、いろいろな「ぶに」を試すかたに分かれるそう。

ぜひ、盛たにで名物の「ぶに」を食べてみてください。
そして自分の好みの「ぶに」を見つけてみてはいかがでしょうか。

石鍋うどん専門店 ぶに家 盛たにのデータ

盛たに:外観
名前石鍋うどん専門店 ぶに家 盛たに
住所広島県福山市川口町4丁目20−5
電話番号084-999-9532
駐車場あり
・店舗前に26台(うち盛たに専用は19台)、店舗裏に2台
・平日昼は、敷地入口側にある「盛たに」の名前のないスペースへの駐車はできない
営業時間午前11時〜午後3時、午後6時〜午後9時
(ラストオーダーは営業終了20分前)
定休日
支払い方法
  • 現金
  • PayPay
予約の可否不可
座席全38席 (新型コロナウイルス対策中:34席)

・カウンター席:8脚 (新型コロナ対策中:6脚)
・2人がけテーブル:1卓 (新型コロナ対策中:2卓)
・4人がけテーブル席:1卓 (新型コロナ対策中:0卓)
・6人がけテーブル席:2卓
・6人がけ座敷:2卓
タバコ
トイレ
子育て・ベビーカーでの入店可能
・子供用食器あり
・子供用椅子あり
バリアフリー・車椅子での入店可能
・トイレは車椅子非対応
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アサノ ・ヨウスケ

フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。地域情報サイトも運営。カメラ片手に街を散策。あなたの知らない備後地方を切り取り、備後の奥深さを伝えます!

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盛たに:赤ぶに

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