NPO法人 海の校舎大島東小 代表理事 南 智之さんにお話を聞きました
南さんは大阪出身なのですね。笠岡市に移住した経緯を教えてください
南(敬称略)
はい、私は大阪生まれの大阪育ちです。笠岡で暮らして今年(2021年)で11年目になります。
もともと、大阪の商社に勤めるサラリーマンでした。
仕事は楽しく、やりがいがありましたが、終電に間に合わないような生活で、結婚を機に退職することにしました。
そして、もともと趣味だった木工の世界に飛び込みます。
岡山県津山市で木工の伝統工法を学び、材木が豊富な北海道へ家族と移住しました。
最初はアルバイトを掛け持ち。大変でしたが、家具やおもちゃをつくってインターネットで販売し、徐々に軌道に乗せていきました。
ただ、北海道からの発送だと、送料とお届けまで日数が本州からよりもかかるのが悩みだったんです。
私の母の出身地が北木島で、両親が大阪から北木島に移住していました。
そこで、私たちも移住の候補地として笠岡を検討。笠岡市移住定住センターに住居と工房になる建物がないかを相談した数か月後、ちょうど50メートルほど離れて2軒の空き物件があると教えてもらいました。
そこが海の校舎に移って来る前の工房と、今も暮らしている自宅です。
海の校舎はどのような経緯でスタートしたのですか
南
大島東小学校が廃校になるらしい、という話は以前から聞いていました。私はバイクに乗るのが趣味なので、よく県道47号を走りながら、いい場所だなぁと感じていたのです。
2018年3月、大島東小学校が閉校。校舎の中の写真をSNSで見て、建物に価値を感じました。廃校になり、使われなくなるのはもったいない、と。
家具職人は、仕事をするために広いスペースが必要です。学校なら、広いスペースがある。
海が大好き、というわけではありませんが、仕事をしながら海が見えたらすごくいいな、と思いました。
ただ、いくら家具職人の仕事に広いスペースが必要といっても、学校の校舎は、自分ひとりでは持て余すほどのスペースがあります。
そこで、自分だけではなく、ほかの作家、クリエイターのかたも一緒に使えるシェアアトリエという構想につながりました。
市役所に足繁く通い、アイデアを膨らませるなか、「この校舎を残していきたい」、「関わりたい」という仲間がだんだんと増えてきました。
廃校の利活用は、笠岡市としては初めての取り組み。
ルールや制度が何もないまっさらな状態からスタートし、3年という年月がかかりましたが、市・地域・クリエイターと協働で、仕組みからつくり上げることができたと思います。
地域住民のかたたちからも「この校舎は思い出があるから残したい」という気持ちを多く聞きました。
海の校舎を運営するNPO法人 海の校舎大島東小は、入居者有志に加え、大島まちづくり協議会の会長・副会長にも理事・監査役になっていただいています。
地域住民のかた向けにお披露目会を開催したのですが、たくさんのかたが「ありがとう」と声をかけてくださいました。
昔からある学校。多くの思い出が詰まっている場所なのだと改めて感じました。
家具職人の目から見ても、この木造校舎はとても味わい深いんです。階段や手すりはたくさんの子どもたちが触った歴史が刻まれ、丸くなったり溝ができたりしています。
刻み込まれた歴史を忘れずに運営をしていきたいです。
今後やっていきたいことはどんなことですか
南
たくさんのクリエイターが入居しているので、ワークショップやマルシェはぜひ開催したいですね。
校舎の中の雰囲気もとてもいいですが、広い校庭や、海が見える屋上もあります。開放感あるイベントができそうでわくわくしています。
まだあまり整ってはいませんが、一般のかたにも入って楽しんでもらいたいと思っています。
ものをつくる現場を見て、購入できて、体験ができる…そんな、半日いても飽きないような場所にできたら最高ですね。
休日に海辺を走るサイクリスト向けのカフェスペースや、コワーキングスペースも準備していければと思っています。
やっていきたいことはたくさんあるのですが、実際に運営してみると、人手が足りないです。草刈り、新しく入居されるかたのための教室の改修など…。
草刈りはヤギも手伝ってくれます。
最近、子ヤギも仲間入りしたんですよ。
いろいろな得意ごとをもつクリエイターが集うからこそ、お互いに助け合い、そして刺激しあえると感じています。
いい仕事、いい出会いが生まれる場にしていきたいです。
おわりに
海が見えるノスタルジックな校舎へやってきたクリエイターたち。新鮮な発想や出会いが、ここからどんどん生まれてくることでしょう。
そして、人がいるのといないのとでは、まるで雰囲気が変わるのが校舎ではないでしょうか。
シンと静まり返った教室は少し寂しげですが、そこに商品がディスプレイされ、人が動いていると、その場所そのものが輝いて見えます。
閉校しても人が訪れる場所になった旧大島東小学校は、地域にとっても希望の光であることでしょう。
海の校舎のクリエイターたちは、まちの未来をもつくっているのかもしれません。
イベントの開催や、コワーキングスペースができる日が楽しみです。
シェアアトリエ 海の校舎のデータ
名前 | シェアアトリエ 海の校舎 |
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所在地 | 岡山県笠岡市大島中2553 |
電話番号 | |
駐車場 | あり |
営業時間 | |
定休日 | 不定休 |
利用料(税込) | |
支払い方法 | |
予約の可否 | 可 訪れたい日は要予約 |
Wi-Fi | あり |
電源 | あり |
利用可能備品 | |
タバコ | 禁煙(指定エリアのみ喫煙可能) |
トイレ | 和式トイレ(一部洋式トイレ) |
子育て | |
バリアフリー | |
ホームページ | シェアアトリエ 海の校舎 公式サイト |