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ソウモクコーヒー・フジワラのオーナー・藤原 建作さんへインタビュー
たくさんのパンとおいしい食事が楽しめるソウモクコーヒー・ブランジェリー・ブラッスリー・フジワラ。
オーナーである藤原 建作(ふじわら けんさく)さんに、開業の経緯や店・パンのこだわり、今後の抱負などのエピソードを聞きました。
インタビューは2020年6月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
親戚がパン屋でパンが身近だったが、パン屋になりたい気持ちはなかった
ずっとパン屋になりたかった?
藤原(敬称略)
実は、おじがパン屋をやっていたんですよ。
だからパン屋もパン自体もとても身近な存在でした。
ただ、だからといってパンが特別な存在ではなくて。
パンが好きだったとか、パン屋になりたいとかは思っていませんでした。
最初はオートバイのロードレーサーになりたくて、その次は総合格闘家を目指して、ひたすら練習をする日々を送っていましたね。
でも年齢的なことなどがあって断念して、働くことにしたんです。
それで、どんな仕事をしようかと考えたとき、まっさきに思いつくのが、子供のころから親しんでいたパンだったんですよね。
それで、おじがやっているパン屋で働くことにしました。
そのころから自分の店を持ちたいという気持ちがあった?
藤原
いいえ。まだこのころは自分の店を持ちたいという気持ちはありませんでした。
ただ、おじの店でパンづくりの基礎を習得できましたし、そのときの経験は今でもとても役に立っていますね。
おじのパン屋は全国のいろいろなところに店があったので、働く場所もいろいろ。
北海道を皮切りに、横浜などでも仕事をしました。
ある程度働いたあと、別のこともやってみたいと思って、おじのパン屋を辞めて地元の福山に帰省することに。
でも、やっぱりパンの仕事をやりたいと思って、大阪に住んでいたときに気になっていたパン屋で働くことにしました。
自分の店を持ちたいなと思い始めたのは、ここで働いていたころ。
だんだんと「食事パンをメインにしたい」「食事といっしょにパンを楽しめる店をやりたい」など、具体的な構想やコンセプトが定まってきました。
それで開業することに?
藤原
いいえ。すぐ今の店を開業したわけではありません。
その前に開業資金をたくわえるため、給与のいいトラック運転手に転職しました。
トラックの運転手で稼ぎながら、休日などのプライベートを使って、自宅でパンづくりの研究を重ねていましたね。
いろいろなパン屋をめぐってパンの勉強もしました。
パンと料理を楽しめる店を考えていたので、料理の勉強や練習もがんばりましたね。
その後、経営や資金の融資方法などの勉強をするため、福山商工会議所の創業塾に参加しました。
喫茶店とパンの融合した店を開店
開業することになったのはいつ?
藤原
ソウモクコーヒー・フジワラを開業したのは、2019年(令和元年)7月です。
その少し前、パン屋の開業の目途がたち、出店する場所を探していたときに知人の紹介で片岡さんというかたと知り合いました。
片岡さんは、福山市東部の春日町で「草木珈琲(ソウモクコーヒー)」という喫茶店をしていたんです。
そして、近いうち喫茶店を郊外へ移転するという話を聞きました。
私は喫茶店の跡地へ店を出店しようと思ったのですが、片岡さんと話し合った結果、いっしょに郊外へ店を出すことに。
それが、現在の加茂町の場所です。
店名は、片岡さんの店の「ソウモクコーヒー」を継承し、それに私の名前のフジワラを付けました。
で、食事とともにパンを楽しめる店なのでフランス語の「ブランジェリー:パン屋」「ブラッスリー:料理と酒を楽しむ飲食店」を付け、「ソウモクコーヒー・ブランジェリー・ブラッスリー・フジワラ」になったんです。
なお店名は継いでいますが、オーナーは私になっています。
ですから厳密には春日町からの移転ではなく、新規出店という形ですね。
ちなみに「草木珈琲」の由来は?
藤原
片岡さんによれば、森林浴のようにすがすがしい気持ちになって、ゆっくりとリラックスできる喫茶店をコンセプトにしていたことが由来だそうです。
最初は「木漏れ日」とかの言葉を考えていたそうですが、けっこう似たような名前の店があったようで。
それで同じようなイメージで、ほかで使われていない言葉を探した結果、「草木」という言葉に行き着いたようですね。
ただのパン屋ではなく、おいしい食事とともにパンを食べる店を
コンセプトが「おいしい食事とおいしいパンを食べられる店」とのことだが、どんな理由で決めた?
藤原
大阪にいたとき、いろいろなパン屋を見て回っていて、食事とともにパンを出す店があったんです。
それでこんな店がいいなと思ったのがきっかけ。
パンだけの店にしたくないなと思いました。
パン屋ってとても多いので、個性とか店の独自のコンセプトがハッキリしていなければいけないなと考えています。
日本でパンといったら、菓子パンや惣菜パンが多いですよね。
最近ではバゲットなども日常的に食べる人も多くなりましたが、まだまだ食事系のパンは根付いていません。
食事パンもおいしいのがたくさんあるので、多くの人に味わってほしいと思いました。
海外、とくに欧州のように食事パンを日常的に楽しんでもらいたいんです。
そのためには、実際に食事といっしょにパンを食べてもらうのがいいと思うんですよね。
そこで、食事を提供しながらパンも楽しめる店をしたいと思いました。
店での食事を通じて、食事パンの魅力やおいしさを知ってもらいたいなと思います。
高加水・湯種仕込み・長時間熟成によるモッチリとしたパン生地がこだわり
ソウモクコーヒー・フジワラのパンには、どんなこだわりがある?
藤原
コンセプトのとおり、食事系のパンに力を入れています。
一番のおすすめは、カンパーニュですね。
当店は、生地がモッチリとした弾力のある食感の食事パンが多いんですよ。
その理由は、高加水・湯種仕込み・長時間熟成の3つがポイントなんです。
高加水というのは、パンの生地に含まれる水分の量を、通常より多めにしていること。
湯種仕込みは、パンの生地となる小麦粉にお湯をかけたものです。
こうすることで、まるで餅のようなとってもモッチリとした食感を生み出せます。
生地は一晩寝かせて、長時間熟成させているんです。
そうすると、小麦の風味がより感じられ、小麦のうまみや甘みを引き出せます。
ちなみに、長時間熟成は食事パンだけでなく、菓子パンなどでもやっているんですよ。
ほかのこだわりは、自家製酵母を使っていることですね。
自家製の酵母を使うことで、当店ならではの味わいや個性を出せます。
生地のpH(ペーハー)などの調整がしやすくなるのもメリットです。
また酵母は、小麦粉やレーズンでつくっています。
あとは、小麦粉にもこだわっていますね。
北海道など国産のものや、海外のこだわりの品種など、パンに合わせていろいろ選んでいますよ。
自分がつくったパンを使ってくれる飲食店を増やしたい
今後の抱負ややってみたいことは?
藤原
当店のパンを使っていただける飲食店ができればうれしいですね。
当店は食事系のパンにこだわっていますので、飲食店を通じて、もっと当店のパンのおいしさや食事パンの魅力を広めていきたいです。
もうひとつは、夜営業をやってみたいですね。
一時期は月に一度くらいでやってみたのですが、やはりスタッフなどの体制を整えないと本格的な夜営業は難しいなと思いました。
ですので、夜営業へ向けて体制づくりをしていきたいですね。
それと、フードや酒類を充実させていきたいです。
さいごに
ソウモクコーヒー・フジワラは、福山市北部の郊外なので、市街地から少し離れています。
しかし、わざわざ足を運ぶ価値のある店です。
「食事パンの魅力を知ってもらいたい」という思いのもと、こだわりの詰まったパンを楽しめる店は、とても貴重だと感じました。
郊外ですが、幹線道路沿いなのでアクセスしやすいです。
ぜひ、食事とパンを楽しみに訪れてみてください。
ソウモクコーヒー・ブランジェリー・ブラッスリー・フジワラは2023年(令和5年)に加茂町での営業を終了し、福山市春日町へ移転しました。
掲載内容は、移転前のものとなります。
▼移転先の記事は以下をご覧ください
ソウモクコーヒー・ブランジェリー・ブラッスリー・フジワラのデータ
名前 | ソウモクコーヒー・ブランジェリー・ブラッスリー・フジワラ |
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住所 | 広島県福山市加茂町字中野409-3 |
電話番号 | 084-994-4457 |
駐車場 | あり 約10台 |
営業時間 | 午前10時〜午後6時 |
定休日 | 水、木 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 不可 パンの取り置きのみ、電話にて可能 |
座席 | 全20席 ・4人がけテーブル席:2卓 ・3人がけテーブル席:2卓 ・2人がけテーブル席:1卓 ・カウンター:4脚 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | 子供用食器あり 子供用椅子なし ベビーカーでの入店可能 |
バリアフリー | 入口に段差あり トイレは車椅子非対応 |
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