目次
弥七の店長・山根 将太郎さんへインタビュー
気軽にそばが楽しめる店・そば処 弥七(そばどころ やしち)。
店長・山根将太郎(やまね しょうたろう)さんに話を聞きました。
構想10年、満を持しての開業へ
開業の経緯を知りたい。
山根(敬称略)
当店はラーメン店「満麺亭」と同じ、有限会社 満麺カンパニーが運営しています。
当社代表取締役の後藤尚通(ごとう ひさみち)は、ラーメン店が軌道に乗ったあとに、何か別の飲食事業もやってみたいという思いを持っていました。
満麺亭には製麺機などの設備がありますので、この製麺設備を活用すれば効率的ですから、同じ麺類の店が良いなと思ったそうです。
麺類のなかでも製麺設備を使ってやりやすいものを考えた結果、そば店に至ったと聞いています。
ただし、これは約10年前の話。
人員確保や準備期間など店舗運営上のタイミング。世の中の経済状況。そして適切な物件が見つかるかどうか。
さまざまなタイミングがかみ合わず、なかなか動き出せなかったようです。
物件は、満麺亭からある程度近い場所であることが絶対条件。
満麺亭の製麺設備を使ってそばを製造するからです。
店舗が軌道に乗るまでは、後藤が2店を行き来しながら店舗運営を管理する点も理由でした。
そして2023年(令和5年)、満麺亭から約1.7kmという距離にちょうど良い物件が建設されることになったので、出店を決めたとのことです。
翌2024年(令和6年)5月に、そば処 弥七を開業。
後藤が10年にわたりずっと温めてきた構想が、やっと実現できました。
ちなみに店名の「弥七」は、時代劇『水戸黄門(みとこうもん)』の登場人物「風車(かざぐるま)の弥七」に由来しています。
弥七の正体は忍者ですが、普段はそば屋を営んでいたからです。
東京の「つけそば」を福山にも根付かせたい
なぜ「つけそば」という種類を看板メニューに据えたのか
山根
約10年前にそば店の出店を考えるにあたり、後藤がそば文化の根付いている東京へ視察へ行きました。
そのときに東京で流行していたそばが「肉そば」という「つけそば」だったそうです。
肉そばの先駆者的な店で「港屋」という人気店がありました(現在は閉鎖)。
港屋の肉そばは、そばの上にたくさんの牛肉が載り、さらにその上に山盛りの刻み海苔が載っていたそうです。
つけ汁には、ラー油が入っていました。
これを食べた後藤は、おいしさに衝撃を受けたと言います。
とくにラー油とつけ汁、そばの組み合わせはおいしく、インパクトがあったとのことです。
福山周辺ではほとんど肉そば・つけそばは知られておらず、出している店も少数。
だから、肉そばをメインとした「つけそば」を看板メニューとしたそば店にしたと聞いています。
福山の人に「つけそば」を知ってもらいたい、根付かせたいという思いがあったとのこと。
ただしラー油が入ったそばは、本場の味を知らない福山の人にはやや強烈かなと思い、ラー油が入らないスタイルで肉そばを提供し、好みでラー油を入れるというスタイルに至ったそうです。
また同様の理由で、つけそば以外にも定番のかけそば・ざるそばも用意しています。
さらに丼ものや時季限定のメニューもそろえ、つけそばを知らない人など幅広いお客様に来店してもらえるよう心がけました。
つけ汁や牛肉のしぐれ煮・鶏天にも独自のこだわりを詰め込む
肉つけそば以外に、鶏天つけそば・鴨つけそばもある。このラインナップにした経緯は?
山根
鶏天つけそばは、後藤が鶏天をつくりたかったからというのが理由です。
後藤はプライベートで鶏ムネ肉のおいしい調理方法を身につけ、これを生かしたものを店でも出したいと考えました。
そば店で出すなら、やはり天婦羅(てんぷら)。
それで肉そばの牛肉のしぐれ煮を鶏天に置き換え、鶏天つけそばを誕生させました。
鶏天は、弥七の自慢のひとつです。
衣をサクサクで軽やかにする方法、鶏ムネ肉を柔らかくジューシーにする方法にもこだわりがあるのですが、具体的な技術は秘密です。
ぜひ食べてみてください。
鴨つけそばは、そば店でよく置いてある「鴨南蛮そば」のつけそば版。
鴨南蛮そばは、鴨の甘味などがにじみ出た独特のおいしさがあり、一定のファンがいます。
だからつけそばにも鴨肉を使ったものを出せば、一定の人気が得られると後藤は考えたそうです。
つけそばの肉にはどのようなこだわりが?
山根
牛肉のしぐれ煮は二度煮込んでいることがこだわりです。
一度目は余分な脂分を落とすため。
二度目は味を染み込ませるためです。
こうすることで脂っこくなくアッサリとした味わいで、味もしっかりと染みた牛肉のしぐれ煮になります。
このとき、あまり煮込みすぎないことが注意点。
肉は煮込みすぎると肉質が固くなり、おいしくなくなりますから。
つけそばの汁にも工夫はあるの?
山根
鴨つけそばは温のみですが、肉・鶏天つけそばのつけ汁は温・冷を選べます。
そして温度だけでなく、温・冷のつけ汁で、それぞれ味わいを変えているんです。
温かいものは湯気が立ち上がるので、ダシの風味が強めで、より風味が香るようにしました。
いっぽう冷たいものは、湯気が立ちませんから風味が広がりにくいため、味を濃いめしています。
満麺亭と近いので連携できるのは大きな強み
ほかにこだわりはある?
山根
満麺亭が近いので、仕込みの面などで満麺亭と連携ができることは大きいです。
たとえばそばの麺は、満麺亭の製麺設備で製造しています。
寝かせる工程がある中華麺と異なり、そばは打ちたてがおいしいといわれているんです。
満麺亭と近距離なので、店内で打つのと変わらない打ちたてのそば麺を使えるのは大きなメリットだと感じています。
あとは、提供スピード。
当店はそば店の中では、食事の提供スピードはかなり早いと思っています。
これはラーメン店を長年運営してきたノウハウが生かされているのです。
ラーメンは提供スピードを求められますから。
同じくラーメン店のノウハウを生かし、気軽に立ち寄りやすい店づくりを心がけています。
ラーメン店のように気軽に利用できるそば店を目指して
今後の展望を教えてほしい。
山根
そば店は少し上品なイメージで、気軽な昼飯としてフラッと立ち寄ったり、子連れで寄ったりしにくい印象があるかもしれません。
弥七は福山において、立ち寄りにくいというそば店のイメージを破りたいんです。
東京などでは、立ち食いそば店など、気軽に利用できるそば店もあります。
立ち食いではありませんが、弥七は福山でもラーメン店のように気軽に利用できるそば店を目指したいです。
そのためにラーメン店で培ったノウハウは、弥七でも存分に生かしています。
そばのように長く、地元で愛される店になりたいですね。
ぜひ仕事中の昼食で、また家族や友人たちとの食事で、弥七にお気軽にお越しください。
気軽にそばが楽しめ、幅広い世代に親しまれるそば処 弥七
長年にわたり福山でラーメンをつくり続けてきた満麺亭が、満を持して「そば」という新しい分野に挑戦した、そば処 弥七。
ラーメン店で培ったノウハウを生かしつつ、そばならではの工夫もしています。
駐車場が広く、席もカウンターとテーブルがあり、一人でも家族連れやグループでも利用しやすいのもポイント。
弥七でオリジナリティーあるそばや、スタンダードなそばを気軽に味わってみてはいかがでしょうか。
そば処 弥七のデータ
名前 | そば処 弥七 |
---|---|
住所 | 広島県福山市 多治米町一丁目16-20 |
電話番号 | 084-999-5153 |
駐車場 | あり 施設内の他店舗と共用 |
営業時間 | 午前11時〜午後8時(ラストオーダー 午後7時45分) |
定休日 | 水 祝日のときは営業し、翌日休業 |
支払い方法 |
|
予約の可否 | 不可 |
座席 | 全22席 ・カウンター:12脚 ・4人がけテーブル席:5卓 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | ベビーカーの入店可能 子供用食器あり |
バリアフリー | 車椅子での入店可能 |