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服部屋の店主・栗原 秀幸さんにインタビュー
長年にわたり、御幸町の地域で愛されている大衆食堂 服部屋。
店主の栗原秀幸(くりはら ひでゆき)さんに開業の経緯や店の歴史、店を継承した理由、今後の展望などの話を聞きました。
インタビューは2021年5月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
昭和30年代に八百屋から食堂へ転業
開業の経緯や店の歴史を教えてほしい。
栗原(敬称略)
私で三代目の店主となります。
初代店主は、もともと八百屋をしていました。
昭和30年代になり、今後は八百屋よりも飲食店のほうが安定した運営ができるだろうと考え、大衆食堂に転業したと聞いています。
当時は現店舗から県道を東へ約1.7キロメートル行った場所、中津原地区にありました。
八百屋の店を大衆食堂に改装して、店を始めたそうです。
詳しい話は伝えられていないのですが、初代は仕入れなどで福山中心部を訪れていました。
そのため、当時営業していた大衆食堂の稲田屋さんによく通っていたと聞いています。
稲田屋さんにインスパイアーされたのか、稲田屋さんにアドバイスしてもらったのかは定かではありません。
ですが、稲田屋さんからは何かしらの影響を受けているでしょうね。
関東煮や肉めし(肉丼)は初代のころからありますが、稲田屋さんと同じような関東煮・肉めしを扱っているのは、やはり稲田屋さんの影響があるからだと思います。
ちなみに店名の「服部屋」は、初代の出身地・服部(福山市駅家町北部)が由来です。
地域に愛されている味を守るため、先代から店と味を継承する決意を
栗原さんが店を継ごうと思ったのは、なぜ?
栗原
実は、私は初代・二代目の店主と血縁関係はないんです。
私は、服部屋の常連客でした。
また、かつて私の祖父が豆腐店をやっていて、服部屋に豆腐を卸していたんです。
そんな縁もあって、幼いころから服部屋に家族でよく食べに行っていました。
家族ぐるみのお付き合いがあり、先代店主には小さいころよくかわいがってもらっていましたね。
小学校のとき土曜日の授業が午前中で終わったあと、兄弟や友達といっしょに自転車をこいで服部屋にしょっちゅういっていたのは、良い思い出です。
私は決まって中華そばを食べていましたね。
大人になっても、たびたび服部屋に食べに行っていました。
そんなある日、二代目の店主から高齢で後継者もいないので、近い将来店を閉めることになるだろうという話を聞いたんです。
その話を聞いたあと「物心ついたころから親しんでいた味をなくしたくない」「地域に根付いた店を後世に残したい」という思いがだんだんと強くなっていきました。
当時私は車両系の技術者として働いていたのですが、一念発起して退職。
服部屋を継承しようと決意しました。
そして服部屋の店主に、店を継承させてほしいとお願いしたんです。
それはかなり思い切った行動だ。
栗原
そうかもしれませんね。しかも、私は飲食店経験がありませんし。
でも、店主には無事に了承してもらうことができ、それから約一年間店主の下で働きながら修業しました。
働きながら、料理のつくりかたはもちろん、飲食店のノウハウなどいろいろなことを手取り足取り教えていただきましたね。
そして平成26年(2014年)8月、ついに私が店主になり、服部屋を継ぐことになったんです。
私が店主になると同時に、現在店がある森脇地区に店を移転することにしました。
というのも、現在店がある土地はかつて祖父が豆腐店をしていた場所。
豆腐店はかなり前にやめていましたが、土地はまだ我が家が保有していたんです。
この土地を活用しようと思い、移転しました。
移転して駐車場が広くなり、お客様も来やすくなったと思います。
移転後、しばらくは先代も手伝いに来てくれまして、大変助かりました。
店と味を守るため、日々試行錯誤の繰り返し
栗原さんが継いでから工夫したことなどはある?
栗原
「ミニ肉めしセット」をつくったのは、私です。
当店は歴史が古いので、若いときから通ってくださっている年配の常連さんもいます。
当店では、中華そばと肉めしを両方たのんで、ガッツリ食べるかたも多いんです。
「若いときは中華そばと肉めしを食べられたけど、年をとったから難しい。でも、どちらも食べたいから悩むわ」という声をよく聞くようになりました。
そこでお客様の声を反映して、中華そばとミニサイズの肉めしをセットにしたメニューをつくりました。
あわせて、うどん・そばのセットもつくっています。
あとは、サイドメニューとして「牛すじ煮」を出しました。
これは、もともと従業員のまかないとして食べていたものなんです。
実際に出してみたら、好評でした。
それに、おでんの具材も増やしてみました。
あと、店舗新築移転にあたってお客様の入りやすい店、過ごしやすい店を意識しました。
駐車場を広めに取っているのもそのため。
もともと当店は営業職や作業員・ドライバーなど、外で働くかたの利用が多いんです。
移転後は、それに加えて女性客やお子様連れの家族客がかなり増えましたね。
ほかに、味や調理の面などでは?
栗原
味や調理面でも、マイナーチェンジは試行錯誤しながら続けています。
先代から受け継いだものを守りながらも、さらに自分なりの研究をしていかないと守っていけないのではないでしょうか。
下準備や仕込みの時間など、先代のときも長かったのですが、私の代になってもっと長く時間をかけてやっています。
私は飲食店経験はありませんでしたが、実際にやってみると楽しいし、ついいろいろと試してみたくなるんです(笑)。
前職は技術者ですが、料理人も何か共通するものがあるのでしょうか。
案外、料理人は私の性分に合っているのかもしれません。
大衆食堂といえば定食が定番だが、服部屋は単品メニューが中心なのは?
栗原
これは先代・初代の時代からですね。
というのも、初代は今でいう食品ロスに厳しいかただったそうです。
昔は定食や刺身などもあったそうですが、ロスが多く出るメニューはじょじょにやめていったと聞いています。
結果、残ったのが現在メインとなっているメニュー。
少数精鋭のメニューですね。
服部屋の看板と味を守り、後世に伝えていく
今後の展望があれば、教えてほしい。
栗原
当店は、大衆食堂。
文字どおり庶民のための飲食店です。
ですから、お客様が来店しやすい店であり続けたいと思います。
そのため、価格は高くなりすぎないようにしていくのがモットーです。
あとは服部屋を継がせていただいた以上、地域に根付いた服部屋の看板と味を守り、後世に伝えていくこと。
正直、今は自分の仕事で手いっぱいです。
ですが将来的には、私のあとの時代も服部屋の看板と味を守っていく後継者を育てていきたいなと思っています。
地元で長く愛されてきた大衆食堂 服部屋
昭和30年代より、半世紀以上にわたり地元で愛されてきた大衆食堂 服部屋。
服部屋の店と味を守るべく大きな決断をした店主の栗原さんは「お客様が来やすい店」であり続けたいと語りました。
その言葉のとおり、服部屋には仕事中のかたから地元のかたまで、老若男女多くのお客さんでにぎわっています。
もちろん、初代・先代から受け継がれた中華そばや肉めし・関東煮も絶品です。
服部屋の懐かしい味わいの中華そばや肉めし・関東煮を、ぜひ食べてみてください。
大衆食堂 服部屋のデータ
名前 | 大衆食堂 服部屋 |
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住所 | 広島県福山市御幸町森脇406 |
電話番号 | 084-955-0116 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 午前11時〜午後2時、午後4時30分〜午後8時 ※祝日は昼のみ |
定休日 | 日 |
支払い方法 |
|
予約の可否 | 不可 持ち帰りの事前注文は、電話にて可能 |
座席 | 全42席 ・10人がけテーブル席:3卓 ・4人がけ座敷:3卓 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | ベビーカーの入店可能 子供用食器あり |
バリアフリー | 車椅子での入店可能 トイレは車椅子非対応 |