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【閉店】こうのしま お多津 〜 笠岡市民のなつかしの味をもう一度!名店の味を目指し、個性も加わった笠岡ラーメン

【閉店】こうのしま お多津 〜 笠岡市民のなつかしの味をもう一度!名店の味を目指し、個性も加わった笠岡ラーメン

食べとこ / 2021.07.18

こうのしま お多津の店長・羽原 利彦さんにインタビュー

お多津:店長 羽原利彦さん

おいしくて美しい笠岡ラーメンや油そばが楽しめる、こうのしま お多津

店長を務める羽原利彦(はばら としひこ)さんに経歴やラーメンのこだわり、今後の展望などの話を聞きました。

もとは和食・割烹料理店の板前だった

お多津:旧旅館・旧お多津 外観
在りし日の三洋旅館(2019年5月撮影)。1階部分が旧お多津

開業の経緯を知りたい。

羽原(敬称略)

もともと、笠岡駅前にあった三洋旅館内の和食・割烹料理店お多津」で板前をしていました。

旅館は戦後すぐくらいの創業で、お多津も創業時にはあった老舗です。

実はお多津で笠岡ラーメンを出していて、すごく好評でした。

その後、旅館とお多津は2019年(令和元年)6月に営業を終了。

そんなとき知人の紹介で、現在の神島地区にある会社に入社することになったんです。

そして、会社が私を店長とした飲食店をオープンしました。

それが「こうのしま お多津」です。
オープンは、2020年(令和2年)3月でした。

ちなみに、店名の由来は?

羽原

旧お多津の名前は、創業者の愛称に由来しています。

名前が「たつえ」でしたので「おたつ」。

ちなみに辰年生まれだから、名前に「たつ」が入っているそうです。

当店のラーメンの丼には竜のイラストが描かれているんですが、それに由来しているんですよ。

こうのしま お多津でも、それを受け継いでいます。

笠岡市民に愛された思い出のラーメンをもう一度食べたい

お多津:旧 斉藤で使用されていた丼・出前用丼フタ
かつて「斉藤」で使われていたラーメンの丼と出前用の丼のフタ

笠岡ラーメンを出したキッカケは?

羽原

私の家のすぐそばに「斉藤(さいとう)」というラーメン店がありました。

笠岡市民にすごく愛されていた名店で、私も斉藤のラーメンが大好きだったんです。

いわゆる笠岡ラーメンと呼ばれるラーメンですね。

しかし高齢のため、斉藤は廃業してしまったんです。
1997〜98年くらいだったと思います。

そこで当時板前をしていた和食店で、斉藤の味のラーメンを出そうと考えたんです。

もともと私はラーメンが大好きで、よく食べ歩いていたんですよ。

若いころ東京で海洋調査の仕事をしていて、全国出張が多く、出張先の各地のラーメンを食べていました。

おいしいラーメン店はたくさんあるんですが、やっぱり食べたくなるのは斉藤のラーメン。
私にとって、ラーメンの味の手本のような感じでしょうか。

だから「なんとしても、もう一度斉藤のあの味が食べたい!」という気持ちで、斉藤の味のラーメンづくりをすることに決めました。

思い出の味の再現で、大変だったのは?

羽原

斉藤のご主人は、人に味を教えるかたではありませんでした
すでに店はありませんから、味の調べようがないので苦労しましたね。

だから味を思い出しながら、何度も味の調整を繰り返し、思い出の味の再現を試みたんです。

それでようやく納得のいくラーメンができてメニューに出したのが、1990年代終わりごろ。

といっても、ちゃんと味が再現できているかどうかは確認するすべがないのですが(笑)。

斉藤の味をオマージュしたラーメンという表現が正しいかもしれません。

そして斉藤の味を目指したラーメンをベースに、私らしさも加えていきました

ちなみに今も出している手割きメンマは、斉藤でやっていたのを取り入れたものですよ。

お多津のラーメンを目当てに全国各地からお客が訪れるように

お多津:店長 羽原利彦さん

笠岡ラーメンは好評だった?

羽原

そうですね。おかげさまで多くのファンがつきました。

同じころ、いわゆるラーメンブームがおこりまして、東京やら大阪やら全国各地から当時の店にラーメンを食べにお客様がやってきました

2000年代はじめごろからは、ご当地ラーメンとして笠岡ラーメンが注目され始め、当時の店に笠岡ラーメンを目当てのお客様が多く来店するようになったんです。

レギュラーだった笠岡ラーメン(中華そば)のほかにも、時季限定でいろいろなラーメンも出していて、これも人気でした。

実験的なラーメンにも挑戦しましたよ。

冷やしラーメンだとか、シュールストレミングを使った日本一臭いラーメンとか(笑)。
インスタントラーメンの味を、実際に一から再現してみたりとかもしました。

ゆっくりくつろぎながらラーメンを楽しめる店づくり

お多津:羽原さん手づくりの装飾
羽原さんが自作した店内の装飾

こうのしま お多津の特徴は?

羽原

ゆとりのある店内で、ゆったりとリラックスしながらラーメンを楽しめることですね。

店のまわりには自然も多く、鳥の鳴き声もいっぱい聞こえます。

お客様が駐車場に車を停めて、店内へ向かってくるときに、背伸びをされるかたが多いんですよ。

まさにリラックスしていただいているようで、当店を象徴する一コマだと思いますね。

座敷もテーブルもありますし、子供連れのかたも大歓迎です!

あとは、やっぱり笠岡市民にとって懐かしの味のラーメンが食べられることかな。
とはいっても、もう斉藤を知らない世代のかたも多くなってきましたが。

今後は「限定ラーメン」復活も視野に

お多津:店長 羽原利彦さん

今後の展望ややってみたいことがあれば知りたい。

羽原

コロナ禍が落ち着いて、お客様が安定してくれば、いろいろな時季限定ラーメンをこうのしま お多津でもやってみたいですね。

あと、今すぐ近くで国道2号線バイパスの造成工事をしています。

バイパスが完成すれば当店へのアクセスもいっそうよくなりますので、イベントをしてみるのもいいんじゃないかと思いますね。

当店は駐車場がかなり広いです。

この広い土地を活用して、フリーマーケットなんかしてみるのもおもしろいかもしれません。

おわりに

お多津:外観

笠岡ラーメンというご当地ラーメンと懐かしい笠岡の名店の味、そして店長の和食のバックグラウンドと感性。

それらを見事に融合させた個性的でおいしいラーメンを食べられるのが、こうのしま お多津の魅力ではないでしょうか。

ぜひ一度、こうのしま お多津のラーメンを堪能してみてください。

「こうのしま お多津」は、2022年12月25日をもって閉店しました。
2023年1月から「中華そば&居酒屋 むさし」が営業しています。

こうのしま お多津のデータ

名前こうのしま お多津
住所岡山県笠岡市神島4090
電話番号0865-67-7200
駐車場あり
営業時間平日:午前11時〜午後2時
土日祝日:午前11時〜午後8時
定休日
祝日の場合は営業
支払い方法
  • 現金
  • PayPay・au PAY
予約の可否不可
ただし、午後5時以降で宴会利用の場合は予約可能
座席全24席
・カウンター:2脚
・4人がけテーブル席:3卓
・2人がけテーブル席:1卓
・8人がけ座敷:1卓
タバコ
トイレ
子育てベビーカーの入店可能
子供用椅子あり(座敷のみ)
子供用食器あり
バリアフリー
車椅子での入店可能
トイレは車椅子非対応
ホームページこうのしま お多津 公式Twitter
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アサノ ・ヨウスケ

アサノ ・ヨウスケ

フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。地域情報サイトも運営。カメラ片手に街を散策。あなたの知らない備後地方を切り取り、備後の奥深さを伝えます!

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お多津:中華そば(笠岡ラーメン醤油味)

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